秘めた魅力へ気付きにくいMC20
マセラティMC20は、アルピーヌA110と同じくらい独自性が強い。同社が選択したのは、カーボンファイバー製のタブ構造。フェラーリは、まだ主力モデルへ採用していない、高度な技術といえる。
【画像】似た個性のラテンなスポーツ マセラティMC20 アルファ・ロメオ・ジュリア アルピーヌA110 全108枚
フォルゴーレと呼ばれる、バッテリーEV仕様も控えている。最高出力は1200ps前後になるらしい。それでも、3.0L V6ツインターボ、ネットウーノ・ユニット仕様も当面生産が続く。もしマセラティが許可するなら、ぜひ直接乗り比べてみたいところだ。
提供価格はフェラーリ296 GTBより高く、スペック上の性能では届かない。販売数でも大きく水を開けられている。発進した瞬間の驚きは小さく、短時間試乗しただけでは、秘めた魅力へ気付きにくいかもしれない。
ブレーキペダルの感触は、見た目へ反するようにソフト。ステアリングホイールは大きめで、ダイレクト感はやや乏しい。バイワイヤ方式へ改められたアクセルペダルの反応も、若干の緩さを伴う。
サスペンションは、このクラスとしては間違いなく柔らかい。速度抑止用のスピードバンプを超えると、1度大きくリアが沈むほど。いずれもスーパーカーの体験として、多くの人が期待するものではないだろう。
アルファ・ロメオが作った大きなA110?
A110やアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオに通じる、ボディが滑らかに動く不思議な感覚は、630psのスーパーカーには不釣り合いかもしれない。軽めに調整された操縦系も。ある程度、ドライバー側の順応が求められる。
発進前に、MC20を適切に設定する必要もある。パワートレインの反応を鋭くする、スポーツ・モードを選びつつ、ダンパーはソフトに戻す。こうすることで、マセラティは魅惑的な体験を提供し始める。
アスファルトの不整はなだめられ、カーブの途中にある隆起部分を恐れる必要も消える。ステアリングの反応は至って自然。リアアクスルは安定し、仮にタイヤが軽く空転しても、落ち着きが乱れることはない。
本気を出せば、MC20は古いランボルギーニのような勇ましさを展開するのと同時に、繊細さも失わない。ボディは前後にピッチし、左右へロールする。あえて、フラットさには拘られていない。
アルファ・ロメオが、大きなA110を作ったようにも思えてくる。実際、MC20はアルファ・ロメオ8Cの後継モデルが想定されていた、という話も存在する。マセラティの上層部は、これを強く否定するが。
フィアット・クライスラーのCEOだった故セルジオ・マルキオンネ氏は、ミドシップの8Cというアイデアを温めていた。ところが2018年に急逝し、立ち消えとなっている。いずれにしても、最終的にマセラティとして誕生したことへ感謝したい。
古くから続いてきたブランド間での「共有」
古くからフィアット・グループは、ブランド間で部品を共有することが珍しくなかった。フェラーリ288 GTOのステアリングコラム・レバーは、ランチア・デルタと同じなことは有名だろう。
ステランティス・グループになった今でも、その姿勢は変わらない。MC20のステアリングホイールとシフトパドル、ダッシュボード上のスイッチ、電子機器などは、ジュリア・クアドリフォリオと基本的に同じものだ。
ステアリングの感触も近い。ジュリア・クアドリフォリオの方が僅かに重いが、シルキーなほどスムーズで、感触はやや薄い。
サスペンションの構造も、実は似ている。フロント側は、アルファ・ロメオがセミ・バーチャル操舵軸を与えたと表現する、接地性を高水準で保つダブルウイッシュボーン式。ただし実際には、1.5ウイッシュボーンと呼べる構造にある。
フィアット・クライスラー時代は、アルファ・ロメオとマセラティの間で、スタッフの交流やアイデアの共有も積極的だったという。ジョルジオ・プラットフォームの開発に携わった技術者は、MC20の開発現場にもしばしば参加していた。
BMW M3と異なる個性を与えたスーパーサルーンは、素晴らしい仕上がりになった。同じ哲学をミドシップのスーパーカーに適用したいと考えても、ラテン気質の人なら不思議ではない。
個性の似通った素晴らしいラテン系トリオ
実際、フィリップ・クリーフ氏という重要人物がいる。彼はフェラーリで458 スペチアーレを完成させた後、アルファ・ロメオへ移籍。ジョルジオ・プラットフォームの開発を率い、MC20の特徴付けにも関わった。
そして最近、彼はフレンチ・ブランドのCEOへ就任した。AUTOCARの読者ならご存知かもしれないが、アルピーヌだ。
他方、アルピーヌの再生に尽力した、現在のステランティス・グループのトップ、カルロス・タバレス氏は、マセラティのCEOにサント・フィチリ氏を指名した。彼は現在、アルファ・ロメオのトップでもある。
舞台裏での人間の動きも興味深いが、今回のトリオはそれ以上。アルファ・ロメオは、ジュリアを提供するまで、本来の可能性を発揮させることなく、クルマ好きを長年ヤキモキさせてきた。マセラティや、ずっと眠っていたアルピーヌも。
エンジンだけで走るスポーツカーは、もうすぐ終焉を迎える。こんな時代に、個性の似通った素晴らしいラテン系の3台が共存するという偶然。きっと後年に、ほろ苦い思い出として振り返るのだろう。
似た個性のラテンなスポーツ 3台のスペック
アルピーヌA110(英国仕様)
英国価格:5万4490ポンド(約1057万円)
全長:4181mm
全幅:1798mm
全高:1252mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:14.9km/L
CO2排出量:152g/km
車両重量:1102kg
パワートレイン:直列4気筒1798cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:251ps/6000rpm
最大トルク:32.5kg-m/2000-4800rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
マセラティMC20(英国仕様)
英国価格:22万7110ポンド(約4406万円)
全長:4669mm
全幅:1965mm
全高:1224mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:8.7km/L
CO2排出量:261g/km
乾燥重量:1475kg
パワートレイン:V型6気筒3000cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/7500rpm
最大トルク:74.2kg-m/3000-5500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
英国価格:7万8195ポンド(約1517万円)
全長:4643mm
全幅:1860mm
全高:1436mm
最高速度:307km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:229g/km
車両重量:1660kg
パワートレイン:V型6気筒2891cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:520ps/6500rpm
最大トルク:61.1kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)
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