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アウディA6アバント新型C8系 初試乗 マイルドハイブリッド搭載、正常進化

掲載 更新
アウディA6アバント新型C8系 初試乗 マイルドハイブリッド搭載、正常進化

もくじ

どんなクルマ?
ー マイルドハイブリッドを全グレードに
どんな感じ?
ー アウディのイメージ通り
ー 2.0ℓ4気筒がスイートスポット
ー サスペンション選びは慎重に
「買い」か?
ー 長距離移動もいとわぬ全方位的な快適さ
スペック
ー アウディA6アバント40 TDIスポーツのスペック

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どんなクルマ?

マイルドハイブリッドを全グレードに

先に発表されたサルーン(セダン)は、5月に試乗をしているが、アウディの中でも根強い人気を誇るのが、ステーションワゴンのA6アバント。今年の終わりには、英国にも登場する予定だ。

サルーンからの派生モデルながら、アバントも抜かりはない。アウディは、裕福な家庭が望むであろう多様性を叶えてくれる、万能モデルとしてA6を位置づけているためだろう。ハイエンド・モデルに相応しい快適性と見栄えの良いスタイリングを備えつつ、環境面にも配慮は欠かさない。また様々な最新技術を盛り込みながら、よりスポーティな味付けに仕上がっている。

市場ニーズを反映し、実用性をさらに高めるために、全幅、全高、ホイールベースは拡大。リアシートの頭上空間に加えて、膝前や肩周りの空間にも余裕が出ている。全長はオーバーハングを短くすることで縮め、アピアランスでのスポーティさも高めたと、アウディは主張する。

シャープなラインを持ったボディの内面には、ハイブリッド・アルミニウム製のシャシーと、5リンクサスペンションを備える。脚まわりの選択肢は豊富で、通常のコイルスプリング(パッシブ)に加えて、車高が低くなるスポーツサスペンションや、コイルスプリングにアダプティブダンパーの組み合わせと、アダプティブ・エアサスペンションが選べる。また一新された4輪操舵システムもオプションに加わった。

さらに、ドライバー支援技術に加えて、A7やA8でも採用する、マイルド・ハイブリッドも全グレードに盛り込まれている。エントリーグレードでは電圧は12Vとなるが、上位の6気筒モデルには48Vのシステムが用いられている。

コースティング時やブレーキング時にはエネルギーを回生し、48Vシステムの場合、リチウムイオン・バッテリーを充電。0-22km/hまではエンジンのスタート、ストップをコントロールし、54km/h以上のコースティング時にも、短時間ながらエンジンを停止させる。燃費はハイブリッドシステムを搭載しない場合より10%ほど向上するという。

それでは、さっそく詳しく見ていこう。

どんな感じ?

アウディのイメージ通り

アウディA6は、読者が持たれているであろうイメージ通りのクルマだ。このクラスにおいては挑戦者的な立ち位置だといえる。先代モデルを踏まえて、洗練性を高めているものの、仕上がりは想定の範囲内といったところで、驚きや目新しさは、さほど感じられないことも事実。

しかし、それが悪いとは思わない。エグゼクティブ・エステートとは、最高水準での「万能さ」を叶えてくれるオールラウンダーである必要がある。A6アバントは、まさにそれを体現していると思う。

スタイリングに関しては好みがあるところだが、新しいアバントは、先代よりもカッコよくなったと思う。整った面構成に膨らんだホイールアーチが組み合わされ、意図的に低く構えたスタンスにデザインされている。ただ、幅が一層広くなったフロントグリルは、好みではないひともいるだろう。

今回のテスト車両に装備されていたホイールは、20インチか21インチだったが、ホイールの直径が小さくなると、スタイリングの勢いが目減りする可能性はある。リアウインドウはかなりきつく寝かされているが、アウディのデザイナーによれば、メルセデス・ベンツCLSのようなシューティング・ブレークまでは必要ないとしている。また、ラゲッジスペースの実用性にも影響はないという。

といいながら、ラゲッジスペースの奥行きはわずかに増えていても、後部座席を畳まない状態での容量は、先代と同じ598ℓ。それよりも大きくなったのはリアシートの空間で、180cmを超える身長の大人でも、余裕を感じられるだろう。

そのほか、インテリアのしつらえはアウディそのもの。仕上げは完璧で、素材の雰囲気も上質。小さなスイッチ類の滑らかな動きからも、ドイツ製品に期待するような精度を感じ取ることができるはず。バーチャルコクピットも、グラフィックが新しくなったことによって、より鮮明になった。

2.0ℓ4気筒がスイートスポット

ただし、ひとつ残念なところがある。ナビゲーションや音楽などのインフォテイメントシステムの操作が可能なマルチメディアインターフェイス「MMIタッチ」のデュアルスクリーンレイアウトに関して、以前から改善を求めているのだが、今回も変化はなかったのだ。

物理的なボタンの場合、まれに2~3回操作しないと反応しない場合があるものの、押し込んだ感覚やクリック感で、操作したというフィードバックがある。ディズプレイでの操作の場合、移動中は特に、必要以上に操作が面倒な場合があり、慣れれば直感的に操作できるようになるとはいえ、従来式のロータリースイッチのほうが、視線の移動も少なくシンプルで使いやすかったように感じる。

シンプルさといえば、英国でのエンジンラインナップ。追ってバリエーションは増やされるはずだが、現時点では2種類で、どちらもディーゼル。ひとつは、滑らかな50 TDIと呼ばれるグレードのV6エンジンで、もう一方は今回のテスト車両にも搭載され、販売数の多くを占めるであろう、2.0ℓの直列4気筒。40TDIと呼ばれ、203psを発生する。

エンジンは従来モデルよりもあらゆる面で進化を遂げている。最大出力も最大トルクもわずかながら増え、燃費も若干向上している。1710kgという車重と大きなボディサイズながら、7速デュアルクラッチATの力も借りて、アバントに相応しい走りを披露する。

静止状態からの発進はややタメが必要になるが、走り出せばスムーズで直感的。電動モーターがレスポンスと洗練性のスイートスポットになるように、アシストしてくれる。力強く加速するときなどは、モーターが頑張っていることが、聞こえてくる音からもわかる。

ベースグレードの方が、上級のV6モデルと比較して、オールラウンダーとして優れているように感じられるのは、従来モデルと同様。V6エンジンの方が明らかに活発ではあるものの、価格は9000ポンド(129万円)も高くなるし、8速ティプトロニックATも、滑らかさでは劣っているのだ。

サスペンション選びは慎重に

4ドアサルーンと同じように、A6アバントのマイルド・ハイブリッドは黒子に徹した働きをする。惰性走行時では、エンジンは気づかないうちにストップしているが、わずかなアクセル操作でエンジンはすぐにスタート。車内には風切り音やロードノイズが響かないばかりか、耳障りなエンジン音すら届かず、洗練性を高めている。

エンジンは4気筒に決めたとして、サスペンションは慎重に選んだほうが良さそうだ。試乗では、標準のコイルスプリングにアダプティブダンパーの組み合わせと、オプションのエアサスペンションの組み合わせを、交代で試した。その結果、標準のコイルスプリングの方が、落ち着きのあるボディコントロールと、しっかりしていながら優れた乗り心地との、一貫性をより強く感じられた。エアサスペンションは、低速域では思いのほか落ち着きがなく、あえて選ぶ必要性はないように思う。

運動性能に関しては、われわれが試した後輪操舵システムを搭載していたクルマは充分に機敏だった。54km/hまでは、前輪の方向と逆位相に最大5度まで切れ角が付き、回転半径を通常よりも1.1m小さくしている。明らかにライバルモデルより低速域での運転は安楽。55km/hを超えると、前輪の向きと同位相に制御され、高速道路での安定性を高めてくれる。

かといって、A6アバントがスリリングなスポーツカーになったわけではない。自然なコーナリングの振る舞いは、エンターテイメント性が高いというより、落ち着いた印象。郊外の狭い国道などでは、広くなった全幅に神経を使うが、ライバルもそれは変わらない。

どうしても気になるのが、インテリアの優れた質感を濁してしまう、操作性の良くないインフォテインメントシステムのスクリーン。特に人間工学を重視しているアウディだけに、残念だ。ライバルはよりシンプルで簡単なインターフェイスを採用している。改善を重ね続けているA6にとって、評価を下げてしまっている。

「買い」か?

長距離移動もいとわぬ全方位的な快適さ

ステーションワゴンに何を求めるかで、A6アバントの評価も変わってくる。わかりやすいキャラクターという面でいえば、ボルボV90やジャガーXFの方が、強いだろう。しかしコーナリングの身のこなしは、スウェーデンのワゴンよりも遥かに上手だし、品質やテクノロジー、車内空間などの面では、英国のワゴンより優れている。

有力な選択肢となってくるEクラスは、インテリアのハイテク感や上質さではいい勝負。ただし、車内空間は広く、長距離移動の快適性でもEクラスのほうが勝っていると思う。これまでも何度も比較しているが、インゴルシュタット製ワゴンの最大の敵は、ミュンヘンのワゴン、BMW 5シリーズだといえる。

A6を楽しむ方法は、クルマの雰囲気と同じく、どんな状況でも落ち着いてドライブすること。思わず笑顔になるような機会は少ないかもしれないが、自信を与えてくれる正確なステアリングと並外れたグリップ力は、このクラスの中でも白眉。

やや控えめなディーゼルエンジンを搭載したA6だが、アウディが意図するとおり、真のオールラウンダーとしての高みを獲得していることには間違いない。地道に、旧モデルを改善し続けてきた成果だろう。長距離移動の難なくこなす全方位的な快適さは、このカテゴリーの中でも最高の水準を実現していると思う。

アウディA6アバント40TDIスポーツのスペック

■価格 4万740ポンド(586万円)
■全長×全幅×全高 4940×1890×1460mm
■最高速度 239km/h
■0-100km/h加速 8.3秒
■燃費 21.2km/ℓ
■CO2排出量 124g/km
■乾燥重量 1710kg
■パワートレイン 直列4気筒1968cマイルドハイブリッド
■使用燃料 経由
■最高出力 203ps/3750-4200rpm
■最大トルク 40.7kg-m/1750-3000rpm
■ギアボックス 7速オートマティック

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