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ホンダN-VAN e 新価値もプラスした商用EV 使い方次第で楽しさが広がる 【試乗記】

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ホンダN-VAN e 新価値もプラスした商用EV 使い方次第で楽しさが広がる 【試乗記】

ホンダの軽商用N-VANにEVモデル「N-VAN e:」が追加され、試乗してきた。商用をメインとした働くクルマでヤマト運輸からの意見も取り入れ、商用として使い勝手のよいモデルに仕上げたモデルだ。それにプラスして小規模事業者や個人のホビーユースも踏まえたグレード設定もあるので、使い方次第という見方もできる。

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モデルは4タイプあり、いずれもEVで「e:G」と「e:L2」は法人向け(黒ナンバー)のリース契約のみとなっているが、「e:L4」と「e:FUN」 の2グレートは個人ユースできるモデルだ。ちなみにe:Gとe:L2は1座席、タンデム2座席というレイアウトで、まさに積載を前提にした内装になっている。

しかし4座席の通常レイアウトのe:L4、e:FUNでも助手席のダイブダウンができるので、1座席仕様とほぼ同等の使い方はできるから、1座席が欲しいという特殊な使い方を求める人でも心配はない。ちなみにe: L4やe: FUNに対し120mmフロア高を下げているのがe:G、e:L2の特徴でもある。

さて、試乗したのはe:FUNでいわゆるフル装備商用車だ。全モデルがフロントに駆動モーターを搭載したFWDで、出力は47kW(64ps)/162Nmと大トルクが頼もしい。法人限定のe:Gとe:L2は、じつは出力を抑えており39kW(53ps)で、航続距離優先になっている。ちなみに、N-VANのガソリンターボ車の最大トルクは104Nmなので、その力強さの違いは明確だ。

航続距離はWLTCモードで245km。搭載バッテリー容量は29.6kWhと、市街地リージョナルユースと考えれば十分な走行距離になる。またe:FUNには急速充電口が標準装備されている。つまり他のモデルは宅配など走行範囲が少ないエリアとなるため、自宅での充電が基本なのだ。

そのe:FUNで走行したのは横浜のみなとみらい地区から山手、本牧エリアにかけての一般道のみ。フル装備とはいえ、基本は商用車なので、リージョナルな使い方を中心に試乗した。

試乗インプレッション

走り出してすぐに感じるのは、それほど静粛性が高いとは感じないこと。静かという基準をどこに置くか、個人差があると思うので、敢えて言えば、通常乗用車の試乗を多くする立場からすると高い静粛性ではなく、フツー。おそらく、日常的にガソリンの商用車を利用している人であれば、静かさに感動があるかもしれない。もちろん、エンジンがないわけだから、静かではあるが、走行音に関しては吸音材、遮音材などの「豪華パーツ」の配置は少ないわけで、車内への音の入りはそれなりにあるのだ。

驚くのは力強さ。300kgの積載量を持っているだけにトルクは欲しい。ガソリン車の104Nmでも集配には影響のないレベルを考えると162Nmは余裕のある大トルクと言える。山手エリアの急坂が多い場所で、坂の途中からの発進や加速は楽々と動き出し、平地と変わらない力強さには多くのプロドライバーは驚くと思う。

また、ブレーキ制御もいい。EVなので回生ブレーキがあるが、バッテリーが満タン状態に近いと回生したエネルギーの格納場所がなく、回生ブレーキが効かないことがある。しかし、N-VAN:eはブレーキ バイ ワイヤなので、上手に摩擦ブレーキの油圧を上げて、減速をするので、ドライバーはブレーキを気にすることがなく、フツーに減速できるのは良い。

ステアリングは軽めで、車載したときにどの程度変化するか。だが今回は車載していないので不明。ただEPS制御は高いレベルに制御できる時代なので、気になることはないと想像する。

乗り心地も商用だからといって、悪いことはない。空荷の状態でも固さやゴツゴツ感はない。日常使いの範囲であれば気にするレベルにはない。

インテリアではゾーニングがわかりやすく、また四角いデザインを基本としているので、スッキリ感がある。先進的なのはシフトレバーがNSXと同じボタン式になっている点だ。スッキリとした印象に一役買っていると思う。そしてモニターも9インチサイズあり、十分な大きさだと感じるし、USBもモニターの横にあり、使い勝手が熟考されていることが伺える。

使い勝手の良さではスマホとの連動ナビで2024年冬からNAVITIMEと連動してサービスが始まる。HONDA Total careに加入する必要はあるが、スマホのアプリと車両情報を連携して充電に関する情報が得やすくなるのだ。

例えば充電スタンド検索では満空情報や、スマホで経路検索する際に最適な充電ポイントを考慮したルートが提示され、それをカーナビに送信することができるようになる。長距離移動をする場合でも安心の機能だ。

それともうひとつ、自車の駆動バッテリーから100Vに変換して電気を取り出せるHonda Power Supply Connectがある。充電口にこのアクセサリーを差し込んで100Vを取り出すことができるので、アウトドアで1500Wまでの家電製品を使うことが可能になる。またバッテリー残量が少なくなると自動で給電を止める機能もあるため、使いすぎて動けなくなる心配はないのだ。

こうした自動車の機能とは別の機能や価値の搭載が次第に増えてきている傾向があり、それもEVであることやインターネットにつながることで可能となる新価値がプラスされつつある。こうした商用の実用車でもこれだけの新価値を搭載しているのは、魅力的であり、豊富なシートアレンジも踏まえると使い方次第でカーライフをもっと楽しめる世界が増してくると感じた試乗だった。

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