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失われつつある魅力的な自然吸気エンジン! 至高のNAエンジン車5選

掲載 更新 24
失われつつある魅力的な自然吸気エンジン! 至高のNAエンジン車5選

■魅力的な自然吸気エンジンを搭載したクルマを振り返る

 2000年代に欧州車から広まったダウンサイジングターボエンジンは急激に普及し、今では日本車にもだいぶ浸透しています。

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 ダウンサイジングターボエンジンは燃費やコストの面で有利であり、車体の軽量化にも大きく寄与することから、採用が拡大されたといえるでしょう。

 その一方で、昔ながらの自然吸気エンジンは数を減らしつつあり、ハイブリッド車の普及もあって、とくにパワフルで高性能な自然吸気エンジンはもはやレアキャラな状況です。

 そこで、これまで販売された至高の自然吸気エンジン車を、気筒数別に5車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「ビート」

 1991年5月、ホンダは日本初のミッドシップオープン2シーターの軽自動車「ビート」を発売しました。

 ルーフは手動式のソフトトップを採用し、外観は低いボンネットからリアまでなだらかに上昇するラインが特徴的で、美しささえ感じられるスポーツカーのフォルムです。

 室内ではシート生地にゼブラ柄を採用するなどポップな印象で、着座位置が低いことから体感的なスピードが速く感じられました。

 そして、リアアクスルのほぼ直上に横置きに搭載されたエンジンは660cc直列3気筒SOHCで、「アクティ」や「トゥデイ」のエンジンをベースに開発。

 専用の3連スロットルが奢られ、カムシャフトやピストンも専用品となっており、最高出力は自然吸気ながら64馬力を8100rpmで発揮します。

 ターボエンジンに対して最大トルクで劣りますが、アクセルに対するレスポンスに優れ、なにより64馬力を達成した唯一無二の660cc自然吸気エンジンという特別な存在です。

 ビートは1996年に生産を終了しましたが現在も多くの愛好家がいて、比較的現存数が多いことからホンダもパーツの再生産をおこなうなど、サポート体制も整っています。

●日産「パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1」

 日産は1978年に、新時代のFFコンパクトカーとして初代「パルサー」を発売。当初はベーシックカーというコンセプトでしたが、1990年には世界ラリー選手権に出場するベース車「パルサーGTI-R」を発売するなど、高性能モデルを展開します。

 そして、1997年には5代目をベースに、N1カテゴリーのレースで勝つことを目的として開発された「パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1」がラインナップされました。

 パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1は、当時の最大のライバルであるホンダ初代「シビック タイプR」を打倒することを目標に、日産とオーテックジャパンがタッグを組んで開発。

 ボディは3ドアハッチバックのみで、エンジンは1.6リッター直列4気筒DOHCの「SR16VE型」を搭載。最高出力はスタンダードモデルの「VZ-R」が175馬力だったのに対して、専用のシリンダーヘッドを搭載し、ポートや燃焼室、吸排気マニホールドの研磨などのメカチューンが施され、クラストップの200馬力を7800rpmで絞り出しました。

 出力的にはシビック タイプRの185馬力を15馬力上まわりましたが、さらに1998年には「パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1 VersionII」を発売。最高出力は200馬力のままでしたが、サスペンションの強化と車体の軽量化、フジツボ技研製マフラーが装着されるなど、さらに戦闘力をアップ。

 実際のスーパー耐久シリーズではシビック タイプRと互角以上の戦いを繰り広げましたが、わずかに及ばずタイトル奪取とはなりませんでした。

 しかし、市販の1.6リッター自然吸気エンジンで200馬力に到達したのは、金字塔といえるでしょう。

●ポルシェ「718ケイマン GT4」

 1996年に、ポルシェは「911」よりも安価なモデルとして「ボクスター」を発売。オープン2シーターのボディで、リアミッドシップに水平対向6気筒を搭載するピュアスポーツカーとして開発されました。

 さらに2005年には、2代目ボクスターとシャシやエンジン、足回りを共有するクローズドボディの「ケイマン」が登場し、より走りを重視したコンセプトを採用。

 そして、現行モデルの「718ケイマン」は2016年に登場して、標準グレードのエンジンは2リッター水平対向4気筒ターボにダウンサイジングされました。

 しかし、2019年にはサーキット走行を視野に入れて開発された高性能モデルの「718ケイマン GT4」がデビュー。

 718ケイマン GT4に搭載されるエンジンは4リッター水平対向6気筒DOHC自然吸気で、最高出力420馬力を7600rpmで絞り出します。

 組み合わされるトランスミッションは6速MTのみで、シャシ、サスペンション、ブレーキも大出力に見合うアップグレードが施され、優れた運動性能を発揮。

 まさにピュアスポーツカーの原点に回帰したモデルです。なお、同型のエンジンを搭載するオープンモデルの「718スパイダー」もラインナップされています。

■「天使の咆哮」と評されたエンジンを搭載するスーパーカーとは?

●BMW「M3」

 BMWで最高峰の高性能モデルとして君臨するは、Mハイパフォーマンスモデルです。車名は「M」から始まり、この称号こそ最高峰の証といえます。

 2021年1月には日本でも最新の「M3セダン/M4クーペ」が発売されましたが、その元祖となる初代M3は1985年に誕生。

 初代は直列4気筒エンジンでしたが、2代目と3代目では直列6気筒エンジン(イレギュラーでV型8気筒もあり)、そして2007年に登場した4代目ではシリーズ最後の自然吸気エンジンとなった4リッターV型8気筒DOHCが搭載されました。

 4代目M3のエンジンは最高出力420馬力を8300rpmという高回転で発揮。トランスミッションは6速MTと7速DCTが組み合わされます。

 吸気系には各気筒が独立した8連スロットルが採用されており、アクセルに対するレスポンスも大排気量自然吸気ならではの良さをさらにブラッシュアップ。

 次世代のモデルから3リッター直列6気筒ツインターボにスイッチしたため、この4代目M3は最後の自然吸気モデルとして、今も多くのファンを魅了し続けています。

●レクサス「LFA」

 トヨタは2010年にその技術力を誇示するかのように、2シーターのFRスーパーカー、レクサス「LFA」を発売しました。世界限定500台とされ価格は3750万円からと、価格もスーパーです。

 ボディはロングノーズ・ショートデッキの古典的なFRスポーツカースタイルを採用しましたが、デザインは最新の空力理論を取り入れたアグレッシブなフォルムを実現。

 このロングノーズのなかに収められたエンジンは、最高出力560馬力を8700rpmで発揮する新開発の4.8リッターV型10気筒DOHC自然吸気です。

 また、エンジンにはF1で培った技術がフィードバックされ、10気筒が独立したスロットルに、チタン製のコンロッドやチタン製吸排気バルブを採用し、レッドゾーンを9000rpmに設定することで「天使の咆哮」と呼ばれる甲高く澄んだエキゾーストノートを奏でました。

 トランスミッションはリアデフと一体となった6速AMTのトランスアクスルが採用され、48:52という理想的な前後重量配分を達成しています。

 シャシはカーボン製モノコックで外板もカーボンとアルミを多用し、ブレーキもカーボンセラミックを使用した結果、車重は1480kgと軽量です。

 さらに、2012年には「ニュルブルクリンクパッケージ」をオプション設定し、カーボン製の固定式大型リアウイングやカナードなどの空力パーツが追加され、足まわりのさらなる強化と、最高出力571馬力までエンジンがチューンナップされました。

 そしてLFAは2012年12月に予定どおり500台目の生産を終え、今では伝説的なモデルとして語り継がれています。

※ ※ ※

 今回、紹介していないV型12気筒エンジンですが、かつてはフェラーリとランボルギーニがトップモデルにこぞって採用していました。

 しかし、フェラーリはV型8気筒ターボエンジンが主流となり、現行モデルでV型12気筒エンジン車は「812」シリーズのみです。

 またランボルギーニも「アヴェンタドール」にV型12気筒エンジンを搭載していますが、2021年7月7日に限定モデルの「アヴェンタドール LP780-4 Ultimae」が登場し、これが最後の純粋なV型12気筒自然吸気エンジン車となるとアナウンスされました。

 今後、フェラーリは全車ターボエンジンに移行すると目され、ランボルギーニもターボ化とハイブリット化はマストですから、もはやスーパーカーメーカーとして存続していく以上、脱・自然吸気エンジンは避けられないでしょう。

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みんなのコメント

24件
  • 本来ならホンダこそがこういうエンジンを維持し継承していくべき担い手であろうに
    ミニバンと軽ばっかという酷い有様、残念
  • 感覚は人それぞれ、私が個人的にこれはいい!!と思ったのはDC5に搭載されていたTypeR用K20A。カチンと切り替わるB型やF20Cよりも全域トルクフルで素晴らしいエンジンでしたね。あと日産のオーテック系のSR20(P10プリメーラやS15シルビア)はハイカム、ハイコンプ仕様のパンチがいい感じでしたね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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