現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > いま見ると超絶カッコイイ「クラウン」はなぜ当時不人気だったのか? 「クジラクラウン」を今こそ見直そう!

ここから本文です

いま見ると超絶カッコイイ「クラウン」はなぜ当時不人気だったのか? 「クジラクラウン」を今こそ見直そう!

掲載 34
いま見ると超絶カッコイイ「クラウン」はなぜ当時不人気だったのか? 「クジラクラウン」を今こそ見直そう!

リヤシートに電動リクライニング式のセパレートシート仕様がオプションで選べた

 先頃新型が登場し、その変貌ぶりが話題となったトヨタ・クラウン。じつはこれまでにも、モデルチェンジでその変貌ぶりが話題になったことがありました。今回はそんな1台、クジラの愛称を持つ4代目を振り返ります。

「クラウンらしくないクラウン」は過去にもあった! 新型に負けないくらいアヴァンギャルドで個性的なモデルとは

先進過ぎたスタイリングが裏目に働き営業的に苦戦

 今から67年前の1955年に初代モデルが誕生したトヨタのクラウンは、国産車としてはもっとも長い歴史を持つモデル(ブランド)です。そして歴代モデルのすべてが、高級車として持て囃されてきました。また歴代モデルがスタイリングやメカニズムで進化を遂げていくのですが、進化が少なくても、多すぎてもファンが離れていくために、進化のさじ加減がとても重要でした。

 今回の主人公である4代目クラウンは、進化が大きすぎて“失敗作”の烙印を押されてしまった1台です。その最大の要因はスタイリングにありました。それまでのスタイリングから一新し、スピンドル・シェイプ(紡錘形)と呼ばれる丸みを帯びたシルエットに生まれ変わっています。

 ディテールを細かく見ていくと、まずはバンパーが特徴的でした。両サイドがボディラインに沿って上方に回り込んだ形状も、このクラスでは珍しかったのですが、何よりも一般的なメッキバンパーではなく、ボディと同色にペイントされたカラードバンパーだったのです。

 さらにノーズ先端部分を絞り込み、細長いメイングリルの上、少し後退した位置にサブグリルを設け、そのサブグリルがボディサイドに回り込んだ先にターンシグナルランプを配置するなど、それまでの“常識を超えた”スタイリングだったのです。

 その一方で、メカニズム的にはコンサバで、3代目で初めて採用されたペリメーター型フレームのほか、サスペンションはフロントがコイルスプリングで吊ったダブルウィッシュボーン式の独立懸架を採用。リヤもコイルスプリングで吊ったアクスルを4本のリンクでコントロールするリジッド式ということも継承されていました。

 さらに搭載されるエンジンも、基本的には3代目からの継承で1988cc(ボア×ストローク=75.0mmφ×75.0mm)直6 SOHCのM型がメイン。最高出力は低圧縮比仕様のM-C型が105ps、2バレル・ツインキャブ仕様のM-D型が115ps、SUツインキャブ仕様のM-B型が125psと多くの仕様をラインアップ。

 また廉価版の一部グレードには1994cc(ボア×ストローク=88.0mmφ×82.0mm。最高出力は98ps)直4プッシュロッドの5R型エンジンが搭載されていました。先進過ぎて、それまでのコンサバなユーザー層が離れていったとされるスピンドル・シェイプのスタイリングは、見た目だけでなく大きなウィークポイントを抱えていたとも伝えられています。

 それは冷却性能の不足。ボディ先端を絞り込んだことでグリルからエンジンルームへの通風が限られてしまい、とくに夏季にはオーバーヒートが続出してしまったそうです。またボディのコーナー部分が丸く絞られたことで車体の見切りが悪くなり、取り回しに支障が出るとの不評も相次いだと伝えられています。

 結果的に、大きなターゲット層である法人ユーザーも、先代でハードトップを追加するなどして開拓してきた個人ユーザーも、ライバルの日産セドリック/グロリアに乗り換えるケースが増えてしまいました。同月にフルモデルチェンジして3代目の230型に移行したセドリックと、4代目に移行すると同時にセドリックと双子車となったグロリアの連合軍は、コンサバなスタイリングで登場したこともあって、進歩的に過ぎた4代目クラウンは苦戦。1955年に登場した初代モデルから維持してきた、このクラスのトップセラーの座をセドリック/グロリアに譲ってしまったのです。

高級・豪華路線をまい進するも……

 それまではスーパーデラックスが最上級グレードでしたが、この4代目ではさらに上級のスーパーサルーンがラインアップされています。またリヤシートに電動リクライニング式のセパレートシート仕様がオプションで選べるようになっていました。

 さらにデビュー3カ月後には2563cc(ボア×ストローク=80.0mmφ×85.0mm。最高出力は130ps)直6 SOHCの4M型エンジンを搭載した2600スーパーサルーンを追加設定。1年半後には4Mを搭載した2600スーパーデラックス、2600デラックスを追加するなど、高級/豪華路線を突き進んでいくことになるのです。

 しかし、マーケットでの苦戦は続きました。そこで1973年10月にはスタイリングにも改良のメスが加えられ、前後のカラードバンパーをメッキバンパーに交換するなど大幅なフェイスリフトが実施されました。またスポーティグレードのSLにポルシェ・タイプの5速MTを用意してエンジンもパワーアップ。

 さらに1974年の1月には2L仕様のスーパーサルーンとSLに電子制御式燃料噴射(EFI)システムを採用したM-E型エンジン(排気量は1988ccで最高出力は135ps)搭載モデルをラインアップに追加しています。しかし、こうしたさまざまなテコ入れ、いやトヨタ流の“カイゼン”も人気を復活させる特効薬とはなりませんでした。その結果、4代目クラウンは、3年8カ月の短期間でモデルライフを終え、後継の5代目に座を譲ることになったのです。

 しかし今振り返ってみると、4代目クラウンが不人気だった理由が今ひとつ納得できません。デザインの好き嫌いは十人十色。また時代背景というかトレンドもあると思うのですが、個人的にはハードトップのデザインは格好いいと感じています。

もしレースに出ていれば……

 クラウンといえば2代目のS40系が鈴鹿サーキットで1963年に行われた第1回日本グランプリのサポートレース、2L以下のツーリングカーによるCIVレースに参戦し、多賀弘明選手が優勝を飾っていました。

 また3代目のS50系は、参加台数こそ多くはありませんでしたが、ストックカーレースで活躍しています。とくに初代センチュリー用のV8プッシュロッドの2981cc(ボア×ストローク=78.00mmφ×78.0mm) 3V型エンジンを搭載したハードトップが、トヨタのワークスドライバーである蟹江光正選手のドライブで参戦。

 圧倒的多数を誇る130型セドリック勢を相手に回し、1970年の11月に富士スピードウェイで開催された全日本ストックカー富士200マイル・レースでは王者・鈴木誠一選手のセドリックに次ぐ2位入賞を果たしていました。

 そしてこうした好成績以上に、その雄姿は印象的で記憶に残る1台でした。今更ですが、4代目クラウンも格好いいハードトップがあったのですから、3V型エンジンを搭載して出場できていれば……、と個人的には思えてなりません。

こんな記事も読まれています

RBのホームレースで2台揃ってQ3進出「今週末の裕毅はとても乗っていた」とHRC折原氏。CEOも称える/F1第7戦
RBのホームレースで2台揃ってQ3進出「今週末の裕毅はとても乗っていた」とHRC折原氏。CEOも称える/F1第7戦
AUTOSPORT web
バッテリー駆動より使い勝手ヨシ! 大型“燃料電池トラック”普及のカギは? 出力でも値段でもない
バッテリー駆動より使い勝手ヨシ! 大型“燃料電池トラック”普及のカギは? 出力でも値段でもない
乗りものニュース
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス 決勝
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス 決勝
AUTOSPORT web
角田、今季最高グリッド獲得でチームへ感謝「クルマにペースがなければ今日のようなアタックはできなかった」/F1第7戦
角田、今季最高グリッド獲得でチームへ感謝「クルマにペースがなければ今日のようなアタックはできなかった」/F1第7戦
AUTOSPORT web
大型トラックは基本雪道に強い……が弱点は急勾配にあった!
大型トラックは基本雪道に強い……が弱点は急勾配にあった!
WEB CARTOP
「高齢者の孤独死」年間6.8万人の衝撃! そうなりたくなければ、「公共交通」にもっと関心を持つべきだ
「高齢者の孤独死」年間6.8万人の衝撃! そうなりたくなければ、「公共交通」にもっと関心を持つべきだ
Merkmal
愛車の履歴書──Vol37. 君島十和子さん(前編)
愛車の履歴書──Vol37. 君島十和子さん(前編)
GQ JAPAN
ジャガー「Fペイス」 ブランド90年祝う特別グレード追加 多彩な人気オプションを標準装備
ジャガー「Fペイス」 ブランド90年祝う特別グレード追加 多彩な人気オプションを標準装備
グーネット
ノート「AUTECH CROSSOVER」のマイチェンを事前告知。5月29日に発表へ!
ノート「AUTECH CROSSOVER」のマイチェンを事前告知。5月29日に発表へ!
月刊自家用車WEB
911カレラに乗って運転スキルを磨く!ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京が新プログラム
911カレラに乗って運転スキルを磨く!ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京が新プログラム
グーネット
スバル 「レヴォーグ レイバック」でアイサイトX紹介 人とくるまのテクノロジー展2024
スバル 「レヴォーグ レイバック」でアイサイトX紹介 人とくるまのテクノロジー展2024
グーネット
MINI『コンバーチブル』新型、2024年後半に発売…EV設定の可能性も
MINI『コンバーチブル』新型、2024年後半に発売…EV設定の可能性も
レスポンス
これ1台あればすべてが事足りる──新型メルセデス・ベンツE 220d 4MATICオールテレイン試乗記
これ1台あればすべてが事足りる──新型メルセデス・ベンツE 220d 4MATICオールテレイン試乗記
GQ JAPAN
リカルド予選9番手「裕毅より苦労していたが、徐々に改善。集中すべきエリアは分かっている」/F1第7戦
リカルド予選9番手「裕毅より苦労していたが、徐々に改善。集中すべきエリアは分かっている」/F1第7戦
AUTOSPORT web
まるで高速道路を“森林”に!? コンクリに塗れば「CO2をめっちゃ吸収する」魔法の溶剤がスゴイ!
まるで高速道路を“森林”に!? コンクリに塗れば「CO2をめっちゃ吸収する」魔法の溶剤がスゴイ!
乗りものニュース
マクラーレンF1代表、ノリスがイモラで惜敗も勝利には届かなかった?「相手はフェルスタッペンだからね」
マクラーレンF1代表、ノリスがイモラで惜敗も勝利には届かなかった?「相手はフェルスタッペンだからね」
motorsport.com 日本版
トヨタの「新型SUVミニバン」!? 全ドア「スライドドア」&タフ外装採用! 斬新3人乗り仕様もある「クロスバン」の示すものとは
トヨタの「新型SUVミニバン」!? 全ドア「スライドドア」&タフ外装採用! 斬新3人乗り仕様もある「クロスバン」の示すものとは
くるまのニュース
フェルスタッペン前代未聞! F1とシムレースで1日2勝の離れ業。ホーナー代表「彼はまさに”レーシングマシン”だ!」
フェルスタッペン前代未聞! F1とシムレースで1日2勝の離れ業。ホーナー代表「彼はまさに”レーシングマシン”だ!」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

34件
  • クジラは2ドアクーペが本命じゃないか?
  • 亡父が乗っでました。4ドアの黒でヘンテコリンな車でしたが、クラウンの新車ってだけでステイタスはあったように思います。
    リアシートのヘッドレスト後ろからドでかい毛バタキを出して埃を払ってから走り出してたような記憶があります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23.8869.0万円

中古車を検索
クラウンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23.8869.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村