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改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力

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改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力

出だしから印象は鮮明 シャープに反応するHV

2025年仕様のアップデートを経て、マクラーレン・アルトゥーラがまったく異なる個性のスーパーカーになったわけではない。それでも、より積極的で引き締まり、パワフルになったことは間違いない。出だしから印象は鮮明だ。

【画像】さらにワイルド&ドラマチック! マクラーレン・アルトゥーラ ハイブリッドのスーパーカーたち 全181枚

アルトゥーラは、マクラーレンのモデルラインナップで、従来のスポーツシリーズに位置する。上級のスーパーシリーズと比較して、日常側にあったといえる。それでも、洗練性を維持しつつ、速さと興奮が追い求められている。

特にその印象を生んでいるのが、シャープに反応するハイブリッド・パワートレインだ。マクラーレン570Sの優しい初動を覚えている人なら、右足を僅かに傾けた瞬間、積極的に加速しだす振る舞いへ驚くはず。

エンジンの回転数を保つため、低いギアを選ぶ必要はない。ドライバーが求めた瞬間、シームレスに融合された電気モーターが加勢。エンジンは5000rpmから本領を発揮し、8500rpm目掛けて登り詰めていく。ターボブーストが効く感じも気持ち良い。

2022年にAUTOCARが計測した680ps仕様のアルトゥーラは、0-100km/h加速を3.2秒、0-161km/h加速を6.3秒でこなした。2025年仕様が、これを塗り替えたことは確実だろう。

音響は厚みが増し、カリスマティック。ポルシェの水平対向6気筒と、フェラーリのフラットプレーンV型8気筒を融合させたような響きの瞬間もある。

理想像なステアリング 運転へ夢中にさせる

ただし、パワートレイン・モードをエレクトリックにした場合は注意が必要。スポーツ・モードなどと、動力性能の差はかなり大きい。ストップ&ゴーの多い市街地では、もどかしさが先に立ってしまいそうだ。

とはいえ、最長27km前後を電気だけで走れ、1度慣れてしまえば運転しにくくは感じないはず。60km/h以上でも小気味よく速度を乗せていき、高速道路の走行車線にも対応できる。

ステアリングは、まさに理想像。開けた公道へ駆け出せば、重み付けやレシオ、手のひらへの感触、フロントの反応が完璧に調和していることを理解できる。直感的で情報量豊かで、運転へ夢中にさせる魅力がある。

グリップの変化や、フロントタイヤへ伝わる衝撃の存在は感じ取れるものの、操舵を邪魔することはない。3スポークが支える美しいリムを、優しく握っていれば良い。

スーパーカーとしては全幅が狭く、視界も優れるため、車線の中央を保つことも難しくない。安定したグリップとレスポンスで意図通りに操れ、過度に緊張することなく、高い速度域へ踏み出していける。

アップデートで獲得した、最新のアダプティブダンパーとエンジンマウントは、少なくとも公道では効果を明確に感じにくい様子。そもそも、以前から不満があったわけではなかった。

それでも、スポーツ・モードでは従来以上にしっかり路面へ設置している印象。公道を許容するしなやかさを備えつつ、姿勢制御は明確にタイトだ。

丸みを帯びた親しみやすさ 電動化技術が無償?

コンフォート・モードを選ぶと、息を合わせるように路面の凹凸を受け流し、揺れを最小限に抑えてくれる。隆起したエッジ部分などを通過すると、落ち着きへ影響が出る場合はあるようだが。

コーナリングの鋭さと、ライン調整の幅という点では、最新のミドシップ・フェラーリと比べても、その差は限りなく小さいだろう。即座に興奮を誘うタイプではないかわりに、アルトゥーラには丸みを帯びた親しみやすさがある。

スパイダーでも、正確な姿勢制御や回頭性は変わらない。狙い通りに、連続するカーブを堪能できるはず。

走行中の車内は、エレクトリック・モードならかなり静かだが、V6エンジンが始動しても、穏やかに高速道路を流している限りうるさいわけではない。80km/hでの走行中は、72dBAだった。参考までに、典型的なファミリーハッチバックは66dBA前後だ。

さて、最後に英国価格。アップデート後のアルトゥーラは、20万ポンド(約4000万円)を超えた。といっても、V8エンジンを搭載していた570Sとほぼ同じといえ、電動化技術が無償で追加されたと考えられなくもない。

このお値段は、ポルシェ911 ターボやアストン マーティン・ヴァンテージ、メルセデスAMG GTなどと大差ないもの。マセラティMC20やランボルギーニ・ウラカンは僅かに高く、フェラーリ296 GTBは遥かに高額だ。

妥協ない動的能力 最高水準の操縦性

日常的な移動からサーキットの走行会まで対応できるスーパーカーをお探しのドライバーへ、望ましい1択であることは間違いない。動的能力に妥協は感じられず、直感的な操縦性は最高水準。公道での洗練性も素晴らしい。

従来の個性までがリセットされたわけではなく、ダイレクトでエモーショナルな特徴は、明確に強化された。マクラーレンの入口側にあるハイブリッド・スーパーカーは、盤石な進化を遂げたようだ。

◯:高効率・軽量化を叶えたパッケージング モーターが融合した妥協ない動的能力 車重増を実感させない、安定感が高く情感豊かな操縦性
△:やや硬くなった乗り心地 一部のライバルへ僅かに届かない敏捷性 電気だけで走れる距離が27km前後と短い

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:21万2230ポンド(約4245万円)
全長:4539mm
全幅:1913mm
全高:1193mm
最高速度:329km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃費:21.8km/L
CO2排出量:104g/km
車両重量:1498kg
パワートレイン:V型6気筒2993cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:700ps(システム総合)
最大トルク:73.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

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