デビュー以来、欧州Dセグメントのベンチマークとして高い評価を得ている3シリーズ。このたびワゴンモデルが日本上陸を果たした。最新世代らしく徹底的に練り込まれたユーティリティ性など魅力が満載だ。
走りの洗練度がセダンを超える理由は?
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実は、ドイツのミュンヘン近郊で実施された国際試乗会でもセダンよりツーリングの方が走りの洗練度が高いと感じていた。ただ、CO2の排出削減が徹底され少しだけ重量が増すランフラットタイヤを履いていなかったので確信が持てないでいた。ところが、日本でも印象が変わらなかったのだ。
だが、理屈には合わない。ボディ後部が筒抜けになるので、ツーリングに限らず一般論としてワゴンはセダンよりも剛性が下がり制振や遮音の面でも不利になるからだ。にもかかわらず、試乗車となった320dはMスポーツでありサスペンションが引き締まっていても硬さが気になることがない。むしろ、セダンよりも振動をマイルドに吸収してくれる。
もちろん、ボディ剛性を低下させないための対策が施されているはずであり、それが乗り心地の面でも効果をもたらしたと考えられる。室内と荷室の間に隔壁がないことで、振動の減衰性が逆に向上したのかもしれない。ロードノイズでも同様の効果が得られたようで、振動としての音も減衰しボリュームが低減している。荷室と一体となりセダンよりも室内空間が拡大することも、いい影響に結びついたのであろう。
優れた燃費も期待でき、ロングランは得意中の得意だ
ただ、ツーリングは同じエンジンを積むセダンよりも車重が50kg上乗せされる。車検証記載の軸重から計算すると、前後重量配分は47:53と完全なリアヘビーになってしまう。そのため、前後のロールバランスが損なわれそうだが心配はいらない。むしろリアがドッシリと落ち着き、それにより得た安定性の余裕を操縦性に振り分けているかのようだ。ステアリングを切り込むと、操作の通りに素直に向きが変わる。320dはxDriveを組み合わせるのでフルタイム4WDとなるが、コーナー進入時はフロントへの駆動力配分がゼロに等しいのでFR感覚の走りが実現されているわけだ。
重量増加により、加速性能が損なわれる心配もない。2Lの直列4気筒ディーゼルは低圧ターボと高圧ターボを備えているので、アクセルを踏み込んだ瞬間から力強さの余裕を感じる。そして、1500rpmを超えると最大トルクは400Nmに達するだけに力強さが一段と盛り上がり、3500rpmを超えるとコォーンという吸気音にグォーンという排気音が重なり迫力さえ感じる。
しかも、最高出力は320iが積む2Lの直列4気筒ガソリンターボを10ps超える190psを得ているため、高回転域まで伸びのある加速が持続する。アクセルを踏み続ければ、低いギアなら吹け上がりの勢いで5000rpmまで引っ張ることも可能だ。とはいうものの、3速以上はそこまでブン回す意味はない。4500rpmあたりからパワーが頭打ちになるので、中回転域までのトルクに活用した方がいいからだ。
それでも、ツーリングに頼もしい走りをもたらす。一定速度なら低回転域が維持され、優れた燃費も期待できる。それだけにロングランは得意中の得意であり、天候の変化に対する耐性も強いため、休暇が待ち遠しくなるはずだ。
【Specification】BMW 320d xDrive TOURING MSPORT/BMW320d xDriveツーリングMスポーツ
■全長×全幅×全高=4715×1825×1465mm
■ホイールベース=2850mm
■トレッド(前/後)=1585/1570mm
■車両重量=1730kg
■エンジン型式/種類=B47D20B/直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=84.0×90.0mm
■総排気量=1995cc
■圧縮比=16.5
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-2500rpm
■燃料タンク容量=59L(軽油)
■燃費(WLTC/JC08)=14.6/18.2km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後5リンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前225/45R18(7.5J)、後255/40R18(8.5J)
■車両本体価格(税込)=6,660,000円
お問い合わせ
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