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【ニューモデル試乗記】CX-5のディーゼル車の地道な改良がスゴすぎる!? たった“コレだけ”で楽にスムーズに走れるなんて……。

掲載 更新 23
【ニューモデル試乗記】CX-5のディーゼル車の地道な改良がスゴすぎる!? たった“コレだけ”で楽にスムーズに走れるなんて……。

2020年12月3日に発表されたCX-5の“年改”では、XD系の2.2Lクリーンディーゼルエンジンが190馬力から200馬力にパワーアップしている。これは燃料噴射量を増やすことで、3000~4500回転をトルクアップした結果。ハードウェアの変更はいっさいなく、制御のみで“大台”のパワーに乗せている。

 
開発担当者によると、動力性能はもともと信頼・耐久性にマージンをもった設定。これまでの市場実績を見ても、モアパワーを受け入れる十分な余裕があるという判断から、今回の出力向上が行われた。
 
出力とトルクアップですごみの増したパンチ力試乗したのは、同時に新設定の「XDブラックトーンエディション」4WDと、2020年5月の発売以来好評の「XDスマートエディション」FFという、2台の特別仕様車。首都高速道路を中心に実力を試すと、確かに3000回転以上のパンチ力がすごみを増している。しかも、最高出力が10馬力アップしたうえ、4500だった発生回転数は500回転も低くなっている。より短時間で最高出力に到達するため、フルパワーを引き出しやすくもなっているのだ。
 
とはいえ、動力性能は従来の190馬力でも十分すぎるほど。高速道路の合流や加速でも3000回転以上回す場面はほとんどなく、パワーアップの必要性があったわけではない。どちらかと言えば、“190”より“200”のほうが高性能という商品力のイメージアップが狙いだろう。
 
実用域での使いやすさは歴然 今回のXD系の進化で注目すべきは、むしろ上より下。高速域のパワーバンドよりも、普段使いで中心となる低回転の実用域である。
 
アクセルの踏み込みに対する加速のリニアリティが増しているのだ。ゆっくり踏み込めば、穏やかに加速。従来のように、ややもすると発進で意図した以上に加速し、唐突に感じられることがなくなり、加速の一体感が増している。アクセルのフィーリングは精度が高く、しっとり滑らかになった感触さえある。素早く踏み込めば、もちろん力強く車速を上げる。
 
スプリングひとつで“クルマとの一体感”を向上スロットル特性の制御に変更はない。見直されたのはアクセルペダル。内蔵のスプリングを若干強めのものに替えることで、踏力が20%ほど重くなっている。たったそれだけだ。
 
 
この極めてシンプルな改良に、マツダが地道に研究を重ねた人間工学の知見が詰まっている。マル秘かもしれないのでいちおう伏せておくと、ペダル踏力を重くした最大の狙いは、ドライバーに足裏の“ある筋肉”を使わせることにある。その筋肉を使ってペダルの踏み込み操作をすると、頭や上体をそれぞれ支える首筋や腹筋なども同調するという。つまり、アクセルを踏み込むと体全体が加速Gに対して無意識に身構えるため、ドライバーが加速に一体感を覚えるというわけ。発進直後に沸き上がる4.5Lガソリンなみの大トルクが、これによって確実に扱いやすくなっている。
 
これは人間が本来持っているバランス感覚に着目したもの。人間が自然にバランスを取ろうとする能力を引き出し、クルマとの「人馬一体」を高める考え方は、新世代車両構造技術「スカイアクティブビークルアーキテクチャー」の一環としてマツダ3から導入された、“骨盤を立てて座らせる”シートと同じだ。「人間中心のクルマづくり」を愚直に追求し続ける、マツダらしい通好みの改良なのである。
 
踏力が重くなったといっても、女性ユーザーの扱いやすさや長時間の運転疲労などにも十分配慮した設定だ。また、踏力がブレーキペダルに近づいたことで、踏みかえの際のフィーリングも向上している。
 
変速機の改良はガソリン車の方が感じやすい、らしい 6速ATもクラッチを締結する油圧コントロールの制御見直しで、特にキックダウン時の変速レスポンス向上が図られている。これについては効果をはっきり体感できなかったが、開発担当者によればガソリン車のほうがわかりやすいとか。また、ガソリン車のスポーツモードには、高回転域を必要以上に維持しない新制御がスカイアクティブXに続いて採用されている。
 
頻繁に改良を重ねながら、ATの段数だけは相変わらず先代から変わっていない。動力性能的には6速のままで十分だが、加速の質感や高速燃費、また最高出力と同様に数字の大きさがもたらすイメージでは、やはり7速や8速あたりが欲しいところだ。しかし、モデルライフも第4コーナーを迎えた現行型で、多段化はもうないだろう。
 
センターディスプレイは10.25インチに拡大され、コックピットのもの足りなさも解消している。まさに熟成極まった感のあるCX-5。現行型の完成を見たと言ってもいいのではないだろうか。
 
 

マツダの旗艦SUV「CX-8」がさらなる高みへ。一部改良で内外装や走りの質感を向上

 
[特別仕様車 XDブラックトーンエディション(4WD・6速AT)主要諸元](ベースグレード:XD プロアクティブ)
【寸法mm・重量kg】
全長:4545mm
全幅:1840mm
全長:1690mm
ホイールベース:2700mm
トレッド:前後1595mm
最低地上高:210mm
車両重量:1690kg
 
【エンジン・性能】
型式:SH-VPTS
種類:直4DOHCディーゼルターボ
総排気量:2188cc
最高出力:147kW(200ps)/4000rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/2000rpm
使用燃料・タンク容量:軽油・58L
WLTCモード燃費:16.6km/L
最小回転半径:5.5m
乗車定員:5人
 
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後マルチリンク
ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
タイヤ:前後225/55R19
 
【メーカー希望小売価格】
359万1500円
 
 
 
[特別仕様車 XDスマートエディション(FF・6速AT)主要諸元](ベースグレード:XD)
【寸法mm・重量kg】
全長:4545mm
全幅:1840mm
全長:1690mm
ホイールベース:2700mm
トレッド:前後1595mm
最低地上高:210mm
車両重量:1610kg
 
【エンジン・性能】
型式:SH-VPTS
種類:直4DOHCディーゼルターボ
総排気量:2188cc
最高出力:147kW(200ps)/4000rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/2000rpm
使用燃料・タンク容量:軽油・56L
WLTCモード燃費:17.4km/L
最小回転半径:5.5m
乗車定員:5人
 
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後マルチリンク
ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
タイヤ:前後225/65R17
 
【メーカー希望小売価格】
302万5000円
 
 
〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉

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みんなのコメント

23件
  • 新技術を出し惜しみなく提供する姿勢は素晴らしいと思いました。
  • 改良が早くて困ります。
    トヨタなしではやっていけないがマツダらしさはあってよいかな。
    好みはありますが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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