クルマ界のアベンジャーズ
ホットハッチのフォルクスワーゲン・ゴルフRを漫画作品に例えるなら、さながら多彩なヒーローたちが集結した、アベンジャーズといったところだろう。クルマに想定できる、どんな問題にも立ち向かえるからだ。
【画像】ザ・マルチプレイヤー VWゴルフR エステート 競合するステーションワゴンと比較 全112枚
すこぶる速く走れるし、運転は楽しい。大人4名での移動にも困らない。適度な大きさで、市街地にもピッタリ。四輪駆動だから、季節を問わず能力を発揮できる。家族での普段使いをためらうほど、尖った高性能というわけでもない。
素晴らしいマルチプレイヤーが、ゴルフRだといえる。わかる人が見れば、容姿が普通のゴルフと違うことは一目瞭然。サウンドも聴きごたえがある。かといって、過度に目立つほど自己主張が強くないところも良い。
優れたゴルフRが、ステーションワゴンになったとしたら、喜ばしい以外の何物でもない。フォルクスワーゲンとしても、理にかなった判断だといえる。ハッチバックのゴルフRが備える能力や質感を損なうことなく、一層の実用性や利便性を追加できるのだから。
そんな期待へ応えるように、6代目と7代目のゴルフには「R」のステーションワゴン、エステート(ヴァリアント)が存在した。そして期待通り、新しい8代目ゴルフにも満を持して登場となった。
320psの4気筒ターボに四輪駆動
ゴルフR ヴァリアントとハッチバックとの違いは、基本的にはワゴンボディへの変更対応のみ。フロントに収まるエンジンは、ハッチバックと同じ最高出力320psを発揮する2.0L 4気筒ガソリンターボで、油圧で制御される四輪駆動システムが組み合わされる。
サスペンションとブレーキも、ハッチバックと同様に専用品。先代よりトレッドが僅かに広げられ、スプリングレートは高められている。より鋭い操縦性を獲得するために。
ボディの後半部分が伸ばされたことで、フロント寄りだった前後の重量配分は改善している。それに伴い、サスペンションの設定はヴァリアントの専用となるが、ハッチバックのRとの差は小さいという。
トルクベクタリング機能付きのアクティブ・リア・ディファレンシャルは、標準装備。英国では2095ポンド(約33万円)のオプション、Rパフォーマンス・パッケージを追加すれば、ドライブモードで「ドリフト」を選択できるようになる。
プログレッシブ・ステアリングも標準で付いてくる。ステアリングホイールを切り込むほど、レシオがクイックに変化していく。
ダイナミック・シャシー・コントロール(DCC)とフォルクスワーゲンが呼ぶ、アダプティブダンパーはオプション。サーキット前提の溝の少ないタイヤと、19インチ・ホイールという組み合わせもオプション。どちらも、今回の試乗車には装備されていた。
8代目として整ったプロポーション
ゴルフが新世代へモデルチェンジしたことに合わせて、ゴルフR ヴァリアントも、これまでの特徴を抑えつつスタイリングを刷新。先代の、若干ぎこちなかったプロポーションは改められている。
ハッチバックよりホイールベースとリア側のドアが延長されたことで、リア・オーバーハングが不自然に長くは見えなくなった。高めのボンネットが生む、少しずんぐりした印象は、これまで通りではあるけれど。
一方で筆者は、8代目ゴルフのデザインは、全体的に個性が若干足りないように感じている。その頂点に君臨する「R」としても、もう少し視覚的なアイデンティティやアピール力を備えていても良いように思う。
インテリアの訴求力は高い。車内空間は充分広く、前後のシートは膝前にも頭上にも、大人が座って余裕を感じる。
荷室は大きく、フロアの下にもさらなる収納スペースがある。形状も、使い勝手は良さそうだ。
もしステーションワゴンとしての能力を優先するなら、オプションのパノラミック・サンルーフは選ばない方が良いだろう。天井が低くなるためだ。
ステアリングホイールとペダルとの関係性は良く、ドライビングポジションも良好。インテリアの知覚品質も高いといえるものの、ダッシュボードなどの素材の一部は硬く単調。もう少し柔らかく、テクスチャーのある素材が用いられても良いと思う。
この続きは後編にて。
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