そもそも「プラットフォーム」とは?
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
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「プラットフォーム」はいろいろな分野で聞かれる言葉だ。最も馴染みやすいのは、列車などの乗り降りに使う駅のプラットフォームだろう。
舞台とか基盤といった意味がある。
クルマの場合は「車台」と訳されることが多いが、複数のとらえ方がある。
以前はエンジンやサスペンションまで含めた走行関連の機能全般を、プラットフォームと呼ぶメーカーもあった。
最近は、ボディの底面を中心にしたピラー(柱)より下側の基本骨格を示すことが多い。
そのために同じプラットフォームを使って、セダン、ミニバン、SUVなど、いろいろなボディ形状のクルマを開発できる。
これが最近良く聞かれる「プラットフォームの共通化」だ。
プラットフォームは基本骨格だから、衝突安全性、走行安定性、乗り心地、車内や荷室の広さ、ドライバーの運転姿勢、乗員の着座姿勢まで、さまざまな機能に影響を与える。
開発には多額の費用と時間を要するから、共通化を図れば効率も高まる。そこで複数の車種で同じプラットフォームを使うようになった。
プラットフォーム共通化 概念が変化
プラットフォームの共通化が最も進んでいるのは軽自動車だ。機能や装備の割に価格が安く、さまざまな領域にわたってコストダウンを迫られる。
そこでプラットフォーム、エンジン、トランスミッションなどの共通化が進んだ。
軽自動車の場合は、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も、プラットフォームの世代が同じであれば数値を合わせることが多い。
製造行程のコスト低減まで含めて、可能な限り共通化を図っている。
このような工夫を凝らすことで、軽自動車は安全装備などを充実させながら求めやすい価格を実現できた。
近年では「プラットフォームの共通化」に関する概念も変わってきた。
従来は同じプラットフォームを使うことを示したが、今は「プラットフォーム開発における考え方の共通化」という意味で用いられることが増えた。
例えばダイハツの「プラットフォームの共通化」は、正確には「DNGAの考え方に基づく開発手法の共通化」だ。
ダイハツのDNGAプラットフォームは、軽自動車用、全幅が1695mm以下の5ナンバー車用、全幅が1750mm以下の3ナンバー車用に分けられる。
ダイハツとマツダの考え方を、事項でもう少しくわしく見ていこう。
「共通」「新開発」と見解が分かれる
ダイハツは車両のサイズに応じて3種類を設けた。
それでも衝突時の衝撃吸収構造、走行安定性の確保、室内スペースの取り方など、開発に際しての考え方は共通化されている。
きわめて大雑把な表現をすれば、主な違いはサイズだけなので、共通のプラットフォームを使うのと同様のコスト低減効果が得られる。
マツダにも同様のことが当てはまる。
マツダ2(旧デミオ)とマツダ6(旧アテンザ)に使われるプラットフォームは、ボディサイズに応じて異なるが、考え方と開発手法は「スカイアクティブシャシー」で共通だ。
このようにプラットフォームについては、共通化を含めて、さまざまな見方が成り立つ。
そのために同じ車種に関しても、開発者によって見解が異なる場合がある。
「プラットフォームは従来型と共通です」とコメントされたり、あるいは「新たに設計しました」と説明されるのだ。
見解が分かれる場合、サスペンションのみを新開発にしていることが多い。ボディの底面部分は共通で、ストラットやダブルウイッシュボーンは新開発だから、「共通」と「新開発」という2つの見解が生まれる。
後者の場合、機能を大幅に刷新したから新開発と考えているわけだ。
三菱、同一プラットフォームでも個性
今までのクルマを振り返ると、共通のプラットフォームを使って、運転感覚も似通っている車種は少なくない。
マツダ6とCX-5は、セダン&ワゴンとSUVだが、運転感覚は似ている。峠道などを走ると、両車ともにボディの前側を少し下げた姿勢を取りながら、車両を内側へ積極的に回り込ませる。
ただしそれは、プラットフォームの素性や共通化というより、セッティングの仕方によるところが大きい。
最近のクルマとしてはグリップバランスが若干前輪寄りで、マツダ車の運転感覚に統一性を持たせた。
逆のパターンにはアウトランダーがある。先代(初代)アウトランダーは、峠道などで良く曲がる代わりに、後輪の接地性は少し足りなかった。
これに比べて現行型は、共通のプラットフォームを使ってホイールベースも同じなのに、操舵に対する反応は少し穏やかになって後輪の接地性を高めた。
この違いについて開発者に尋ねると「先代型はスポーティ感覚を追求したが、現行型は後輪の接地性と安定性を高めて、走りのバランスを整えた」という。
つまりセッティングの違いだ。
アウトランダーは現行型になって安定方向に進化したが、エクリプス・クロスは方向性が違う。
プラットフォームとホイールベースは新旧アウトランダーと共通だが、新型アウトランダーよりも機敏に良く曲がる。
相対的に後輪の接地性は下がり、先代アウトランダーのスポーティ感覚に少し戻した印象だ。
このように三菱では、プラットフォームやホイールベースをRVRまで含めて複数の車種で共通化しながら、クルマの性格に応じていろいろな味付けをしている。
プラットフォームが共通だから、運転感覚まで同様になるとは限らない。
共通化でも超えられぬ限界 今後は?
共通のプラットフォームを使いながら、いろいろなクルマ造りを行えるが、超えられない限界もある。
走行安定性と乗り心地をバランス良くレベルアップしたり、各種の性能を下げずに大幅な軽量化を図るには、プラットフォームの刷新が必要だ。
同じプラットフォームを使って、味付けを変えたり性能の配分を変更することは可能でも、性能を大幅に高めるには造り変える必要がある。
衝突被害軽減ブレーキの高性能化にも、プラットフォームの刷新が不可欠な場合がある。
特に今のクルマ造りでは、環境性能の向上が重要課題になり、プラグインハイブリッドや電気自動車を開発する必要が生じた。
エンジンと燃料タンクを廃止して、モーター、制御システム、充電機能、大型の駆動用電池などを搭載せねばならない。
自動車であることに変わりはないが、機能とメカニズムの内容が変化するため、プラットフォームの変更も迫られている。
そうなるとプラットフォームを新規開発するが、環境性能に加えて、運転支援や自動運転の技術開発も急務だ。
プラットフォームを効率良く開発する必要があり、性格の異なる複数の車種で、共通のプラットフォームを使わねばならない。
そこで現行レクサスLS、現行トヨタ・クラウン、燃料電池車の次期トヨタ・ミライは、プラットフォームの基本部分を共通化した。
運転感覚にとどまらず、ガソリンエンジン車、ハイブリッド、燃料電池車まで、すべてを共通のプラットフォームが引き受ける。
今後はプラットフォームに限らず、さまざまなパーツやユニットを共通化して、量産効果を高める。
液晶タッチパネルが増えた理由も同様だ。共通のパネルを使ってコストを抑えながら、車種やグレードに応じてさまざまな情報を表示できる。最近は大画面が多いが、サイズアップの割にコスト上昇は少ない。
共通化を図りながら、いかに車種ごとの個性を表現するかが課題になっている。その象徴がプラットフォームだ。
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