ロータス ヨーロッパの後継として1976年に生まれたエスプリ
1970年代中ごろ、子どもたちの周りにあるさまざまなモノがクルマ関連グッズと化した空前絶後の「スーパーカーブーム」。当時の子どもたちを熱狂させた名車の数々を振り返るとともに、今もし買うならいくらなのか? 最近のオークション相場をチェック。今回は永遠のアイドル、ロータス「ヨーロッパ」の後継モデルである「エスプリ」を振り返ります。
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ジウジアーロによるウェッジシェイプが子どもたちの心を鷲づかみ
スーパーカーブームのきっかけとなった池沢早人師さんによる漫画『サーキットの狼』の主人公である風吹裕矢がロータス「ヨーロッパ」に乗っていたこともあり、往時の子どもたちにとってロータスという名のスポーツカーメーカーはなじみ深い存在だった。
ヨーロッパは4気筒エンジンを積んだピュアスポーツカーでありながら、『サーキットの狼』の影響でスーパーカーとして語られることになった。その後継車として1976年に登場した2シータースポーツカーの「エスプリ」(これまた4気筒エンジンを採用)も、ランボルギーニ「カウンタック」やフェラーリ「BB」(いずれも12気筒エンジンを搭載)と肩を並べるクルマとして扱われた。
スーパーカーブーム全盛時は、これといった定義づけが曖昧だったこともあり、マルチシリンダーエンジンを搭載するウェッジシェイプのミッドシップ車以外にもスーパーカーとして括られたクルマが複数あった。そのような状況の中で、BMW「2002ターボ」なども熱心なファンを獲得したのだ。
といった感じだったので、世界的な工業デザイナーとして知られるジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたウェッジシェイプのエスプリが難なくスーパーカーの仲間入りを果たしたのは当然のことで、往時の子どもたちは「ロータスというレース界の名門が造ったキビキビ走れる最新鋭ミッドシップ車」として、エスプリにも羨望の眼差しを向けた。
『007』でボンドカーとしても活躍し不動の人気を誇った
70年代スーパーカーブーム全盛時の状況を総括すると、ランボルギーニ「カウンタックLP400」とフェラーリ「365GT4/BB」が子どもたちのヒーローとして君臨。トラディショナルなFR車ながらフェラーリ「デイトナ」、マセラティ「ギブリ」もそのスタイルのよさや性能がスーパーカーとしての条件を満たしていたことにより、華麗なる始祖として扱われた。
そして、280~290km/h級のマキシマムスピードを標榜したマセラティ「ボーラ」やデ・トマソ「パンテーラ」はもちろん、ポルシェ「911」シリーズもライバルとなる「ディーノ」などに負けない存在感を発揮。ラリーで常勝を誇ったランチア「ストラトス」も子どもたちを熱くさせた。
そのような群雄割拠の中で4気筒エンジンを積んでいるエスプリの位置づけはどうだったのかといえば、スペック的にはスーパーカーの王道から外れているリアルスポーツだったが、ジウジアーロがデザインしたバランスのいいスタイリングが秀逸だったことにより、エキゾチックカーとして捉えられたのであった。
ジェームズ・ボンドの活躍を描いた映画『007』シリーズのボンドカーとして、1977年公開の『007/私を愛したスパイ』に潜水可能な秘密兵器として登場したので、そのイメージも強いが、新世代ロータスを代表するスーパーカーとして子どもたちを魅了したエスプリの功績は大きいといえるだろう。
現時点では不遇と言っていいほどお買い得
知名度の高さのわりにエスプリの流通価格は安値となっており、情報がやや古いが2020年1月アメリカでRMサザビーズが開催した「ARIZONA」オークションでは、1978年式のエスプリ・シリーズ1が3万6400ドル(当時レートで邦貨換算約400万円)で落札された。レストアから走行900マイル(約1450km)以内で、オリジナルのドライブトレインを維持しているとのことなので、驚くほどリーズナブルだといえるだろう。
同時代のフェラーリなどと比較するとジウジアーロボディ時代のエスプリは総じて安価で、ロータスの社内デザインによるニューシェイプモデル(1987年登場)であっても500~700万円ぐらいで流通している。そのうち正当な評価を得る可能性があるが、エスプリは現時点では超お買い得なスーパーカーだ。
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みんなのコメント
実際に乗るわけじゃ無いスーパーカーのエンジンや出力がどうだろうと、スーパーカーブームの頃の少年には直接関係ないことだったからね。
プラモデルやミニカーや消しゴムにエンジンは積んでないw