その気になれば誰でも取得できる JAFのAライセンス
とにもかくにも「ワタシ、Aライセンス持ってますヨ~」という会話は、結構なレース好きやカーマニアに対しても自慢できるポイントだ。サーキット野郎(性別問わず)にとっては憧れのアイテム? であることは間違いない。
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Aライセンス(Aライ)とは、JAFの公式レースに出場するために必要な“モータースポーツライセンス”のひとつで、出場する運転者が取得しないといけない『ドライバーライセンス』のこと。Aライセンスを所有しているとレースに出場できるが、Bライセンス(Bライ)ではラリー、ジムカーナ、ダートトライアルのスピード行事までが出場可能となる。
さて、ここでは、そのAライセンスを取得するまでの流れを、実体験をもとにレポートして行こう。
正直、お金も時間も必要だが、昔に比べると……
もちろん人にもよるが、Aライセンスを取得するには、毎日の仕事に追われながらも会社を休むなどスケジュールを調整して講習会などに参加する時間をつくる必要もあるし、その講習費用や講習会会場までの交通費を考えると、サラリーマンの1ヶ月のおこづかいでは結構キツイものがある。そう、まずは、そこを乗り越えるモチベーションが大事で「俺(ワタシ)は、絶対にJAFのレースに出るんだ!!」という高い志が必要になってくる。
けどその一歩さえ踏み出せば、Aライセンスを取得すること自体はそれほど難しいことではない。ようするに、その気になれば誰でも取得できるのがAライセンスなのである。峠でイチバン速いとか草レースに出ているとか、自動車の運転が上手いとか下手とかは別のハナシで、さらには競技の経験がなくてもAライセンスを取得することは可能である。
かつては、Aライセンスを取得するにはBライセンスを取得して競技に一度出場し“完走すること”が最低条件だったのだが、いまはBライセンスなしでも、一足飛びにAライセンスが取れるようにもなっている。昔に比べるとハードルが下がっているようだが、BライなしでもAライが取れることをご存知ない方も案外多いようだ。
そんなワケで「JAFの公式レースに出たい!!」という決意は固まった。今回は(1)サーキットも走ったことない(2)JAFにも入会していない(3)もちろんBライセンスもなしというケースを前提に、ここからの話を進めていくことにする。こういう人でも『Aライセンスは取れるんだ』という意味も込めて。
BライなしでAライセンス講習を受講するために必要な条件とは
Aライを取得するための一般的な流れを簡単に言ってしまえば、全国の主要サーキットなどで開催されている“Aライセンス講習会”を受講し、座学→筆記試験→合格→実技走行試験→合格という順序。
ここでBライなしでAライセンス講習会を受講するためには(1)運転免許証(2)JAF会員証(3)スポーツ走行証明書があることが受講資格になってくる。
(2)のJAF会員証は、Aライ講習会の会場でもJAFへの入会は可能な場合もあるが、前もって入会しておくほうがスムーズ。ここで(3)のスポーツ走行証明書というのは少々説明が必要になる。
Bライセンスがない場合でもAライ講習会が受講できる条件として加わったのが「JAF公認サーキットを50分以上走った」という証明書があること。これが(3)のスポーツ走行証明書になる。
JAF公認サーキットで開催されている、いわゆるフリー走行などを走って、公認サーキットから走行記録証明書を発行してもらわねばならないのだ。※証明書の有効期限は発行日から24ヶ月以内と定められている。
その「公認」というのがミソで、どのサーキットでもOKということにはならないので注意が必要。Aライ講習を受講するために必要な走行証明書は現在のところ十勝、SUGO、エビス、もてぎ、筑波、袖ヶ浦、富士、スパ西浦、鈴鹿、セントラル、岡山国際、阿讃、オートポリス。以上の各公認サーキットで発行してくれる。
しかし富士や鈴鹿に限ったことではないが、公認サーキットでスポーツ走行(フリー走行)をおこなうには、サーキット独自が発行するライセンスを取得する必要がある。もちろん取得は簡単で講習を受けるのみ。ただし講習日が限られている場合もあるし、富士スピードウェイレーシングコース用のライセンスの取得料金は入会金1万3100円、年会費3万400円となり合計で4万3500円(税込)が必要。
費用の高さに「ゲっ!?」と思う人も少なくないだろう。しかし、公認サーキットのなかには、スパ西浦モーターパーク(愛知県)のようにライセンスの受講料がなんと!! 無料というところもある。
スパ西浦モーターパークの場合は、50分間のフリー走行(4輪)が平日5700円。Aライに必要な50分の走行が一枠でクリアできる。前もって「Aライ取るから走行証明書が欲しいんだけど……」と伝えておけば、発行の準備までしてくれるというありがたき幸せ。
手続き的には、ライセンス講習の開催日程を確認して、前日までに予約しておくぐらい。その日のうちに、走行証明書がもらえる。走行証明書はAライセンス講習会まで大事に保管しておこう。
ちなみに参加できる車両はレースカーである必要はなく、純正の乗用車(軽自動車)でOK。車両規定を満たしていないオープンカーなどは走行できないので、不安な場合は問い合わせておいたほうが確実だ。むろん、走行時には長袖長ズボン、ヘルメットやグローブ、シューズが必要。
いよいよAライセンス講習会に参加
公認サーキットが発行する走行証明書が手に入ったら、次はいよいよAライセンス講習会に参加。どの講習会に参加するかは、住まいのエリア、スケジュールにもよるが、インターネットで「Aライセンス講習会」で検索すれば、情報はすぐに見つけることが可能。
なかでも、富士スピードウェイで開催される、ソニックレーシング主催のAライセンス講習会に注目してみたい。ソニックレーシングとはJAF公認の加盟クラブで、10年以上のAライ講習の実績があることで有名。年2回のAライセンス講習会以外にも、モータースポーツに関するさまざまな活動をして、盛り上げに貢献。Aライセンス講習会に関する疑問や質問にも、納得が行くまでとことん対応してくれる。
Aライセンスの講習内容は、JAFの規定で厳密に定められているので、どの講習会でも同じである。
【講義】・基礎講義 30分以上(Bライなしの人)・国内競技規則講義 30分以上・競技車両規則講義 30分以上・国際モータースポーツ競技規則講義 30分以上・レーシング講義 30分以上・筆記試験 30分
【実技】・基礎実技 60分以上・走行実技試験 60分以上
講義の途中は休憩が設けられているが、長時間座りなれていない人にはかなり苦痛かもしれない。眠たくなるのは必至だがそこは、Aライのために我慢。筆記試験は、規則書を見ながら回答しても構わない(他人と共有するのはNG)ので、合格実績は99%以上。
走行実技は上手いor下手ではなく、信号やフラッグ、マナーに関することが理解できているかが採点されるという内容だ。実技においてもそれほど難しいものではないが、実際にコースを走りながらだと、信号やフラッグを見落とすこともなくはないので、学んだ内容を意識して真剣に走る必要はある。Aライ講習会の実技でもサーキットを走る服装や装備は必要で、フルノーマルの乗用車でOK。
筆記試験、実技試験に合格すれば、晴れてAライセンスホルダーになれる。すべて1日で終了。
費用などまとめ
Aライセンスを取得するには、ここで紹介している以外にもすでにBライセンスを持っている場合も含め、いくつか方法がある。たとえばJAF公式レースの入門レースとして人気の、ホンダN-ONEによるワンメイクレース『N-ONE OWNER’S CUP』であれば、当該レースに出場することを前提としたN-ONEワンメイクレース事務局によるAライセンス講習会なども開催されている。
さて、最後にBライセンスなしでAライセンスを取得するときのコストの目安は以下の通り。高いと感じる人も多いだろうが、これこそが、Aライセンスを所有しているステイタスとも言える。
【今回のケースで必要になったコストの目安】・JAF入会金&年会費 6000円・スパ西浦モーターパーク走行料 5700円・ソニックレーシングAライセンス講習会 2万5000円(Bライなし)《教材費実費》・モータースポーツイヤーブック 4700円・モータースポーツハンドブック 1019円・JAF国内競技車両規則 3850円・FIA国際モータースポーツ競技規則付則H項 714円
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みんなのコメント
多少値段が上げてでも国際規格サーキットの走行ライセンスと互換性持たせるとかしないと、サーキット野郎(性別問わず)だとしてもわざわざAライを取る意味は現状ほぼ無い。レースやりたいなら、ライセンス不要なJAF非公認レース(いわゆる草レース)が各地でやってるし。