ロールス・ロイス&ベントレー・デイ2023
ようやく訪れた秋は、日本国内各地で自動車イベントもめじろ押し。そんな中から、「日本ロールスロイス・ベントレー・オーナーズ・クラブ(RRBOCJ)」が横浜赤レンガ倉庫で毎年開催しているクラブのフラッグシップ的イベント、「ロールス・ロイス&ベントレー・デイ」をご紹介させていただきたい。
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日本で継続している最古のR-R/ベントレー愛好家クラブ
イギリスが世界に誇る高級車メーカーの「ロールス・ロイス」と「ベントレー」は、現在ではそれぞれ独自の道を歩み、ともに素晴らしい成功を得ている。しかし、1931年から前世紀末まではロールス・ロイス社が両ブランドを所有し、基本を一にする姉妹車として世界に君臨してきた。
そのため、両ブランドを比翼の鳥、連理の枝のごとき良きパートナーとみなし、双方を愛好し続けるファンは今でも非常に多いことから、オーナーによる愛好家クラブなども両ブランドを「セット」のごとく規定している事例が、洋の東西を問わず大多数を占めているかに見える。
「日本ロールスロイス・ベントレー・オーナーズ・クラブ(RRBOCJ)」も、そのひとつ。両社がたもとを分かつ以前の1996年に結成。現在も活動を継続しているロールス・ロイス/ベントレーの愛好家クラブとしては、日本国内で最も旧い歴史を持つ。
入会資格は、年式・モデルを問わず、ロールス・ロイス&ベントレーのオーナーであること。「心豊かにクルマ道楽」をモットーとして、年間を通じてツーリング会などさまざまなイベントを行っているという。また、地方イベントにも積極的に参加することで地域社会の町興しに貢献する、あるいは社会活動などにも積極的に関与しているのも、このクラブの大きな特徴といえるだろう。
そんなRRBOCJが毎年11月下旬に恒例行事として開催しているのが、同クラブのフラッグシップイベントともいうべき大規模ミーティングの「ロールス・ロイス&ベントレー・デイ」。2002年に神宮外苑絵画館前広場にて初開催されたのち、2004年以降は横浜赤レンガ倉庫前広場へと会場を移して現在に至っている。そして2023年10月22日(日)、通算で23回目となる「ロールス・ロイス&ベントレー・デイ2023」が無事開催されることとなった。
この日の赤レンガ倉庫前広場には、古くは1920年代からちょうど1世紀後に至る各世代のロールス・ロイスおよびベントレー、そしてオーナーであるクラブメンバーたちが集結した。そのこと自体は昨年までと変わらないながらも、今年はある特別な趣向が用意されていたのだ。
23回目にして、初めてコンクール・デレガンス形式で開催
これまでのロールス・ロイス&ベントレー・デイは、愛車を並べてクルマ談議に花を咲かせるミーティング型のイベントとして、20年以上の歴史を重ねてきたのだが、今回は初めて、本格的なコンクール・デレガンス形式で行われることになった。
ジャッジは、株式会社カーグラフィック社長の加藤哲也氏を審査委員長とし、かの白洲次郎・正子夫妻の孫で古美術に造詣の深い白洲信哉氏、さる自動車メーカーの現役デザイナーである久保田記生氏、そしてベントレー・ジャパンで長らく名物広報マンだった横倉 典氏が審査員として参加。またR-R/ベントレー専門の博物館にて20年以上キュレーションに携わっていた筆者も、事務方も兼ねて審査メンバーに名を連ねさせていただいた。
いっぽうエントリーは、今回のイベントに参加したクラブメンバーの愛車すべてが対象。「CLASS A/R-R:第二次大戦前のロールス・ロイス」、「CLASS A/B:第二次大戦前のベントレー」、「CLASS B/R-R:第二次大戦後のロールス・ロイス」、「CLASS B/B:第二次大戦後のベントレー」、「CLASS C/R-R:シャドウ/SZ時代のロールス・ロイス」、「CLASS C/B:Tタイプ/SZ時代のベントレー」、「CLASS D/R-R:21世紀のロールス・ロイス」、そして「CLASS D/B:21世紀のベントレー」からなる8クラス・46台を、朝の開会式の直後から審査員全員で1台1台を、午前中いっぱいかけて検分・採点しながら歩き回る。
そののち、車両の希少性やスタイリングの美しさ、オリジナリティやコンディションなどについて、それぞれの評価軸から採点。その集計結果をベースに、まずは各クラスの部門賞を決めたのち、今回のコンクール最上位に相当する「ベスト・オブ・ショー」の決定に至ることになっていた。
8クラス46台の頂点に輝いたクルマとは?
その結果「第二次大戦前のロールス・ロイス」クラスは1938年型「ファントムIIIパークウォード製ツーリングリムジン」。「第二次大戦前のベントレー」クラスは1929年型「W.O. 4 1/2リッター・ブロワー」。「第二次大戦後のロールス・ロイス」クラスはオーナー自らレストアを手がけたという1961年型「シルヴァークラウドII」がそれぞれ選出された。
大激戦区となった「第二次大戦後のベントレー」は、昨年の米ペブルビーチ・コンクール・デレガンス1938年型「ファントムIIIパークウォード製ツーリングリムジンにも出場した1953年型「Rタイプ・グラバー製DHC」。「シャドウ/SZ時代のロールス・ロイス」クラスは、1978年型「コーニッシュ2ドアサルーン」。「Tタイプ/SZ時代のベントレー」クラスは、1991年型「コンチネンタル」。「21世紀のロールス・ロイス」クラスは、じつは超希少車の2001年型「コーニッシュV」。「21世紀のベントレー」クラスは2016年型「ミュルザンヌ・スピード」が部門賞を獲得した。
そしてこの中から、「ベスト・オブ・ショー」に1938年型R-RファントムIIIパークウォード製ツーリングリムジン。「ベスト・ベントレー」には、1953年型Rタイプ・グラバー製DHCが、それぞれ最高得点で受賞。 さらに審査員特別賞として、1950年型R-R「シルヴァーレイス フリーストン&ウェッブ製DHC」。クラブメンバーの投票による特別賞として、ロールス・ロイスは1956年型シルヴァークラウド、ベントレーは1928年型「W.O. 6 1/2リッター・スペシャル」が選出された。
* * *
あくまで身内のコンクールではあるものの、赤レンガ倉庫前広場は一般ギャラリーや外国人も含む観光客で大盛況。そんな中で行われた表彰式では、受賞されたオーナーたちの晴れやかな表情が見られることになったのだ。
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