この記事をまとめると
■今、商用ユース以外でも軽トラックが人気となっている
いま軽トラ・軽1BOXが熱い! 商用車を乗用で乗るメリットとブーム到来の理由
■税金などの維持費が安く、取り回しなどの使い勝手も良好だ
■軽トラックはカスタマイズやアウトドア、マリンユースなど楽しみ方が無限大だ
いま個人ユースで楽しむ人が増えている
農家や商店、運送業で使用されている軽トラック。ただ、近年、商用利用だけでなく個人ユースで楽しむ人が増えつつあるようです。
なぜ、いま軽トラックが注目を集めているかを探っていきましょう。
■軽トラックとは
軽トラックとは、その名の通り軽自動車規格に合わせて開発されたトラックのことを指します。
エンジンは660cc以下、車両寸法は全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高は2000mm以下の軽自動車規格に合わせて作られています。
荷台寸法は現在、販売されているダイハツ・ハイゼットとスズキ・キャリイともに荷台長1940mm、荷台幅1410mmと同サイズ(荷台高は両車で異なります)。
限られた全長の中で定員2名の乗車スペースを得たうえで最大限荷台の長さを採りたいと考えた場合、この荷台寸法になるのでしょう。
ただし、両車ともキャビンを拡大し居住性を重視した仕様をラインアップしており、それらは荷台が小さくなっています。
軽トラックの積載重量は350kg。ただし、現場では基準以上の積載量を積むケースも少なくないため、サスペンションやシャシーはそれを想定し設計されているようです。
■軽トラックの歴史
現在も多彩な分野で活躍する軽トラックのルーツはミゼットなど1950年代まで活躍したオート三輪。
オートバイの車体を流用し荷台を設けた車両から発展していったオート三輪は第二次大戦前から活躍していました。しかし、戦後まもない1949年に軽自動車規格が誕生し、当時、オート三輪に搭載されていた750ccエンジンが使えなくなったことで徐々に衰退。
1950年代後半からは四輪のトラックがオート三輪の販売台数を上回り、以降、軽トラックが小型トラックの主流となっていきました。
■軽トラックのメリット
商用で使用する場合とやや異なりますが、レジャー用途で軽トラックを楽しむ場合もさまざまなメリットを有しています。一般的な乗用車(軽自動車含む)と比べてのメリットを挙げてきましょう。
1)経済的な負担が少ない
軽トラックが区分される軽自動車の小型貨物自動車(4ナンバー)は、軽自動車税が年間5000円(営業用では4500円)と、一般的な乗用の軽自動車と比べ5800円も安く設定されています。
また車両価格が軽乗用車に比べるとリーズナブル。ダイハツ・ハイゼットは69.3万円からスズキ・キャリイは75.2万円から購入可能です。
2)多くの荷物を積載可能
いまどきのミニバンや軽ハイトワゴンも多くの荷物を積載することができますが、軽トラックの荷台はそれらのラゲッジスペースとは大違い。350kgまでの荷物を積むことが可能です。
とくにホームセンターで販売されている木材などラージサイズのミニバンでさえ積むことができない長尺物(最大3740mmまで)を積載することができるのはDIY好きにとって大きなメリットといえるでしょう。
3)小回りが効く
狭いあぜ道や生活道路で活躍する軽トラックは、前輪の切れ角を最大限取るように設計されています。そのため、ホイールベースもできるだけ切り詰められておりダイハツ・ハイゼット、スズキ・キャリイともに最小回転半径は3.6m。軽乗用車で一番売れているホンダN-BOXは4.5m、最小回転半径が一番小さいスズキ・アルトでさえ4.2mであることを見ると、この数値がいかに優れているかがわかります。
ただ、これらのメリットがある反面、乗車定員は2名、車内は狭い、ホイールベースが短いことなどで乗り心地がイマイチなどのデメリットも有しています。
■いま軽トラックが注目されている理由
軽トラックが活躍できるフィールドは街中をはじめ、山、海、川辺など多彩。積載能力の高さや車両価格が安いことでさまざまな楽しみ方ができるといま注目を集めています。
どのような理由で軽トラックが注目を集めているかを見ていきましょう。
1)カスタマイズ性の高さ
近年、軽トラックをカスタムするユーザーが増えてきたことでカスタムパーツが続々と発売されています。
他のクルマと同様に内外装をドレスアップすることはもちろん、車高を上げて走破性能を高めることや積載性を向上するためのキャリアやカーゴボックスなどカスタム用途も多彩。
ニーズに合わせて、自分好みにカスタムを楽しめるのが軽トラックファンにとっては大幹魅力のようです。
2)キャンプブーム
コロナ禍において、ますます注目を集めているキャンプ。ブームが広がりを見せるなか、軽トラキャンパーも増殖しているようです。
そんな軽トラキャンパーに人気なのが荷台泊。軽トラックの荷台にテントを備えるカスタムパーツや車両が販売されているほどで、それらはテントの組み立て&収納する手間を省くことができるためキャンパーから特に好評です。
3)マリンスポーツなどでの活用できる荷台の可能性
アウトドア同様、サーフィンやウインドサーフィンなどマリンスポーツを楽しむ人も軽トラックに注目しているようです。
その理由は軽トラックの荷台スペースがボードや用具を積むことに適していること。また荷台をカスタムすることでシャワーを設置することなどカスタムの自由度も人気の要因です。
また、実用性だけでなく、リフトアップしたりオーバーフェンダーを装着したりと見た目をカスタムできるパーツも多くなったことも近年、サーファーから軽トラックが注目される大きな理由でしょう。
■現在購入できる軽トラック
ここまで、軽トラックが個人ユースで注目されつつあることを述べてきましたが、じつは新車で購入できるのはダイハツ ハイゼットとスズキ キャリイ、そしてそれらのOEMに限られてしまいます。 現在、新車で購入できる軽トラックをピックアップしましょう。
・ダイハツ・ハイゼット(2014年~)
全長3395mm×全幅1475mm×全高1780~1885mm、ホイールベース1900mm 荷台長1650~1940mm×荷台幅1410mm×荷台高285mm 車両価格:69.3~144.1万円 2014年にデビューした10代目となる現行モデル。軽トラック初となる衝突被害軽減ブレーキシステムなどを備えたダイハツの先進安全増備「スマートアシスト」を備えるなど、ひと昔前の軽商用車では考えられないほどの性能を有しています。
ボディタイプはスタンダードを基準にハイルーフ仕様、ならびにキャビンを拡大したジャンボ、さらに特装車など多彩なタイプを用意。
近年、広がりつつある軽トラックをサーフィンなどのレジャー用途で使うユーザーから人気を集めているのがシートのリクライニングが可能でシート後方に荷物置き場を備えたジャンボ。荷台こそ標準仕様より小さくなりますが快適性や利便性が優れているのが特徴です。小さくなったとはいえ荷台もキャビン側が窪んでいるため2mくらいまでのショートボードなら積載可能。ちなみにロングボードのユーザーは軽トラック用のキャリアなどを用いることで運搬しているようです。
ハイゼットに用意されているエンジンはKF型直3自然吸気のみ。最高出力46psですが、車重が軽いため走行性能に不満を感じるユーザーは少ないはず。トランスミッションは電子制御式4速ATが組み合わされスムーズな加速と低燃費を実現しました。
駆動方式はFRをベースに切り替え可能なパートタイム4WDをラインナップ。また最小回転半径は3.6mと悪路などでの使い勝手は抜群です。
・スズキ・キャリイ(2013年~)
全長3395mm×全幅1475mm×全高1765~1885mm、ホイールベース1905mm 荷台長1480~1940mm×荷台幅1410mm×荷台高290mm 車両価格:75.2~142.45万円 11代目となる現行モデルがフルモデルチェンジにより登場したのは2013年。先代モデルまで用意されていたロングホイール仕様は廃止され1905mmのショートホイール仕様のみとなりました。
エンジンは最高出力46psを発揮するR06A型直3エンジンのみを用意。トランスミッションは5速MTと3速AT、また一部グレードにMTをベースにクラッチ&シフト操作を自動で行う5速AMTをラインナップしました。
ハイゼット同様、キャビンを拡大し座席後方空間を広げたスーパーキャリーを2018年に追加。個人ユースで軽トラックを楽しむユーザーにスーパーキャリーはとくに注目を集めています。 室内空間はハイゼットジャンボよりもゆとりがあり、運転席のシートスライド量は最大180mm、リクライニングは最大40°を誇ります。
ただし、軽トラックの本分は農業や運搬などに使用するビジネスユース。ボディー表面積100%に防錆鋼板を使用。標準仕様の荷台はビールケースが60個、20Lのポリタンクを40個積載可能。ハイゼットより低い荷台床面地上高650mmと荷物を積み下ろししやすい低くてフラットな床面を採用しました。
また、スーパーハイゼットの荷台もハイゼットと同じくキャビン側が窪んでいるため2mくらいまでの長尺物が積載可能。衝突被害軽減ブレーキを備えた先進安全装備「スズキ セーフティ サポート」も用意されています。
・トヨタ・ピクシス トラック(2014年~)
車両価格:94.6~121.55万円
ダイハツ・ハイゼットのOEM。ハイゼットのフルモデルチェンジに合わせて、現行モデルが登場しています。
ハイゼット同様、先進安全装備「スマートアシスト」を2018年の一部改良で搭載。ただし、キャビンを拡大したハイゼットジャンボと同じ仕様はラインナップされていません。
・スバル・サンバートラック(2014年~)
車両価格:85.8~147.4万円
長年、軽トラック界を牽引したサンバートラックも先代モデルからピクシス同様、ダイハツ・ハイゼットのOEMモデルとなっています。ハイゼットとの違いはエンブレムなどほぼありません。
装備などもOEM元のハイゼットに準じるのですが、ピクシス同様、ハイゼットジャンボはラインナップされていません。
・三菱ミニキャブトラック(2014年~)
車両価格:90.86~134.97万円
スズキ・キャリイのOEMモデル。先進安全装備などの仕様や装備はキャリイに準じますが、グレードは3タイプと整理されています。
また、個人ユースに注目されているキャビンを拡大したスーパーキャリイに準じる仕様は用意されていません。
・日産NT100クリッパー(2013年~)
車両価格:91.74~133.97万円
三菱との合弁会社NMKVがあるものの、軽トラックはミニキャブトラックと同じくスズキ・キャリイのOEMモデル。
キャリイ同様、インテリジェント・エマージェンシーブレーキや踏み間違い衝突防止アシストなど先進安全装備を備えているがキャリイとは違い安全装備は「セーフティ パッケージ」と呼んでいます。
・ホンダ・アクティトラック(2009~2021年)
軽トラックファンから惜しまれつつ2021年4月に生産を中止したアクティトラック。
T360を源流とするホンダの軽トラックの長い歴史に幕が降りましたが、OEMモデルの導入を含めて後継モデルは登場しないと予想されています。
■想像以上に奥が深い軽トラック
商用はもちろん、レジャーやカスタム車両のベースとして人気が高まっている軽トラックには多くの魅力があることがわかりました。
もちろん、乗用車に比べると日常使いでデメリットはありますが、それ以上のメリットや楽しみ方を可能とする軽トラックは大きな可能性を秘めています。
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みんなのコメント
維持費も安く小回りも利いて、スーパーカブの
ような使い方ができてセカンドカーに最高。
軽トラの人気は大きく高価になった普通車か
らの反動かも。