現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「クルマ離れ」なんて昔の話!? 若者たちの中古車好き そのかなり興味深い理由

ここから本文です

「クルマ離れ」なんて昔の話!? 若者たちの中古車好き そのかなり興味深い理由

掲載 27
「クルマ離れ」なんて昔の話!? 若者たちの中古車好き そのかなり興味深い理由

 タイトルで「いまの若者たちは中古車が好き」と書いた。えっ、「若い人はお金がないんだからそんなのフツーだろう」って? いやいや、そんな単純な話じゃないんです。若者の中古車購入事情には驚くべき事実が隠されていたんです。

 それを読み解くヒントは、(株)リクルートの中古車情報メディア「カーセンサー」による、中古車に対するインターネット調査結果の中身。

「クルマ離れ」なんて昔の話!? 若者たちの中古車好き そのかなり興味深い理由

 2021年8月の全国約20万人(18~69歳の男女)を対象にした調査なのだが、これがかなり興味深い! “若い世代”を切り口にデータを読み解いていこう。

※本稿は2021年12月のものです
文/ベストカー編集部、写真/AdobeStock(トップ画像=FlamingoImages@AdobeStock)ほか、調査/(株)リクルート
初出:『ベストカー』2022年1月26日号

■購入台数だけでなく、中古車購入単価もトップ

表1:中古車の購入台数、市場規模 「延べ購入台数」と「1万人あたり購入台数」は、各エリアの対象年代(18~69歳)の人口に対する、1年間の中古車購入率の掛け合わせによる、全国規模の推測値。(株)リクルートによる算出

 まずは表1を見てほしい。特にそのなかの「延べ購入台数」の項目。

 調査したエリアの人口に対する、一年間の中古車購入率の掛け合わせによる全国規模の推測値だが、20歳代は一年間に延べ72.5万台も中古車を購入するという調査結果になった。実に各世代のトップ!

 次いで30歳代が60.6万台となり、若い世代が積極的に中古車を購入していることがわかる。

「なぜか?」。そのワケは後出の西村氏が話してくれるが、20~30歳代は「中古車購入単価」でも上位を占めているのが表1でわかる。高価な中古車を買う傾向が見て取れる。興味深い結果だ。

●若者はどんどん買い替える

表2:前回購入した中古車の乗車期間(%)。「乗車期間」とは、同じ中古車に何年乗り続けていたか、という期間のこと

 さらに、若い世代は中古車の購入サイクルが短い。それがわかるのが表2だ。

 前回購入した中古車の乗車期間、全世代の平均は6.1年。なるほどと思うが、「2年未満」と「2~4年未満」という短い期間の20~30歳代の欄を見てほしい。他世代より圧倒的に多いのが一目瞭然。

 特に「2年未満」の20歳代は22.3%。中古車購入の5人にひとり以上が2年未満で次の中古車へ買い替える、ということ。中古車業界にとっては歓迎したい世代といえる。

 その裏返しのような結果が「10年以上」。20歳代は極端に減り、60歳代は34.2%。長年乗り続けるのは中高年の傾向で、その心境、同世代の担当にもよくわかる(笑)。

●軽自動車は不人気!?

表3:直近で購入した中古車のボディタイプ(%)。2020年と2021年の比較、全体で見ると軽自動車が減り、セダンやSUV/クロカンが微増。そのSUV/クロカン、女性もなかなか高い比率となっている(9タイプのボディを紹介)

 人気のボディタイプがわかるのが表3。

 棒グラフの軽のところ、2021年の37.1%に対し2020年は40.2%と、2020年はやや高いが、これはコロナ禍の影響。とにもかくにも移動手段がほしいと安価な軽をみなさん購入。で、コロナがやや落ち着いた2021年、20~30歳代は他世代に比べると軽購入率は低い。

 で、何を好んでいるかというと……SUV。この欄を見ると、20歳代が14.8%、30歳代が13.6%と高い数値だ。若い世代は人気ゆえに高額傾向の中古SUVを好み、それが購入単価を引き上げていると判明!

 ということで、次項では中古車業界に精通する専門家にお話を伺い、中古車事情をさらに深掘りしたい!

■(株)リクルート自動車総研所長に聞いてみた「中古車市場現況と若者が中古車を買う理由」

 前項のレポートで「中古車大好き! 若者の傾向」がわかったところで、自動車業界全般と中古車業界に精通する、リクルート自動車総研所長の西村泰宏氏に、さらに中古車業界の現況などを聞いてみた。

──2021年はそちらの調査開始の2015年以降、過去最大の中古車市場規模とのことですが、要因は何でしょうか?

西村 購入台数も増えていますが、中古車市場規模の拡大は主に「単価の増加」ですね。単価が増加する要因は大きく4つあります。

1)新車購入層の中古車市場への流入
2)SUV(=単価の高いボディタイプ)の人気
3)安全性能などが進化し、そもそもの新車時価格の上昇
4)販売施策の変化で高年式中古車の流通増加

……ですね。

──ふむふむ。なるほど! 今回の調査結果、20~30歳代で「SUV/クロカン」を買う割合が増えていますけど、高い価格で売られるそれらを、若い世代が購入する理由は何でしょう?

西村 SUVは新車同様、中古車市場でも若者から人気です。ボディタイプ的には相対的に高額となるため、中古車で少しでもコスパのいいクルマを購入しようとする要望は高いです。

──20~30歳代に特に人気の「SUV/クロカン」の車種は何でしょうか?

西村 ハリアー、ヤリスクロス、ジムニー、ジムニーシエラ、RAV4などですね。その他ボディタイプではスポーツカーがその世代には人気です。軽自動車ではN-BOXやワゴンRなど、新車で売れている軽を購入される方が多いですね。

多少高額となっても流行のSUV/クロカンを選択する傾向が強い

──前出の表2で、20~30歳代の「中古車の買い替えサイクルの早さ」を紹介しましたが、なぜ早いのでしょうか?

西村 平成世代は「一生モノ」という言葉が徐々に当てはまらなくなる世代ですね。ファストファッションなど、その都度必要なものをコスパよく消費することに慣れています。より外観を重視するクルマ選びにも、自身の趣味嗜好が変化する数年で気楽に乗り換えることが現われていますね。

──「若い世代が積極的に中古車を購入するのはなぜか!?」と取り上げましたが、その「ワケ」がこれなんですね。若い世代は服を買うように、中古車もどんどん替える……と。

さて、登録済み未使用車など高年式のクルマが増えている傾向にある、と聞いたことがありますが、2022年以降もこの流れは続きそうでしょうか?

西村 「登録済み未使用車」にかぎるとメーカー&インポーターとディーラーとの販売戦略によりますので、確実に増えると明言することは難しいです。でも、残価設定ローンやサブスク、個人向けリースなどさまざまな取り組みによって、高年式中古車の市場流通は間違いなく増えていく傾向にありますね。

──最後に……、2022年以降、中古車市場はどのように変化していくかなど、予測がありましたら教えてください。

西村 最初に回答した「中古車市場規模の拡大の傾向」がいきなり変わることはありませんので、引き続き単価はじわりじわりと上がることが予測されます。

──なるほど! ほかには?

西村 また、若い世代が中古車市場により多く入り込んでくることで、消費サイクルも徐々に短くなることが予想されますね。その時、クルマの選び方が「今の生活にマッチしたもの、今の感覚でピンとくるもの」になると思いますね。

*   *   *

 この先、中古車市場を活性化させるのは「若い世代」かもしれない。今後も注視しなくては!!

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
WEB CARTOP
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
motorsport.com 日本版
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
motorsport.com 日本版
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
乗りものニュース
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
VAGUE
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
バイクのニュース
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
くるまのニュース
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
レスポンス
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
motorsport.com 日本版
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
ベストカーWeb
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
Auto Messe Web
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
モーサイ
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
Webモーターマガジン
今季最悪の路面が今季最高のスペクタクルを生む? F1ラスベガスGP、タイヤの“グレイニング”を抑えることが鍵に
今季最悪の路面が今季最高のスペクタクルを生む? F1ラスベガスGP、タイヤの“グレイニング”を抑えることが鍵に
motorsport.com 日本版
東京都に住むEVオーナーは注目!  最新設備の「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」の150kWh超急速充電を30分無料開放
東京都に住むEVオーナーは注目!  最新設備の「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」の150kWh超急速充電を30分無料開放
THE EV TIMES
「公道で操れんわw」「1.6億で仰天」超弩級のシューティングブレーク『ROCKET GTS』にSNSも熱視線
「公道で操れんわw」「1.6億で仰天」超弩級のシューティングブレーク『ROCKET GTS』にSNSも熱視線
レスポンス
新しいF1レースディレクター、ドライバーたちは好印象「これまでで最高のドライバーズブリーフィングだった」
新しいF1レースディレクター、ドライバーたちは好印象「これまでで最高のドライバーズブリーフィングだった」
motorsport.com 日本版
ノリス2番手「ロングラン・パフォーマンスの悪さに衝撃を受けた」マクラーレン/F1第22戦木曜
ノリス2番手「ロングラン・パフォーマンスの悪さに衝撃を受けた」マクラーレン/F1第22戦木曜
AUTOSPORT web

みんなのコメント

27件
  • 中古車を買う若者の行動は今も昔も同じ
    ただ車に興味の無い若者は買わないか新車を買って長く乗る
    それだけ
  • 単価的には随分と違うけど、古着を買って着る感覚なのかなぁ…と。
    勿論経済的な理由もあるのだろうけど、新品ではなく他人のお古でも値段に見合う価値を見出せばそれで満足するのだと思う。
    中古だってそれが自分のライフスタイルに合えば問題ないし、人目を気にして恥ずかしく思う必要はないし、それを笑う者もいないから見栄を張る必要もない。
    車離れが著しいと言われている若者が車に興味を持ってくれるなら新車だろうが中古だろうが関係なく
    車がある生活を楽しんでもらいたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村