駆動用モーターの最高出力は503ps
トラックなどの商用車を電動化する、ルナズ社のアプライド・テクノロジーズ部門が設立したのは2021年。現在はゴミ収集車へ注力しているものの、追って幅広い用途のトラックにも対応したいと考えている。
【画像】ベースはメルセデス ルナズの電動ゴミ収集車 スカニアと出揃う日本メーカーのBEVも 全128枚
アプライド・テクノロジーズ部門の真新しいワークショップは巨大で、トラック3台分の作業ラインが用意され、年間1100台がラインオフする計画にある。従業員は現在120名だが、300名へ増やすことが目標だという。
さて、そろそろゴミ収集車へ話を戻そう。ルナズが最初に選んだ車両は、英国でも主力として活躍している、メルセデス・ベンツ・エコニックだ。
メルセデス・ベンツの保証期間は一般的に7年間だが、80万kmまで耐用できるよう設計されている。英国のゴミ収集車の場合、7年後の走行距離は13万km前後になるが、廃棄物処理業者や地方自治体は、保証期間が満了すると車両を交換してしまうらしい。
エコニックは、まだ活躍できる状態にある。そこでルナズの出番。徹底的に洗浄し、ディーゼルエンジンが降ろされ、新しい電動パワートレインが組まれる。きれいに改装されたキャビンが乗り、ゴミ収集用のコンパクターが架装される。
駆動用モーターの最高出力は370kW(503ps)。ハイとローが選べる2段トランスミッションを搭載するが、急な坂道でもゴミを満載した状態で発進・停止を繰り返すことを考えれば、必要なメカニズムだといえる。
駆動用バッテリーは最大393kWh 車内も一新
ラダーフレームの両側に並べられる駆動用バッテリーの容量は、最大で393kWh。1ユニット当たり65.5kWの容量を持ち、通常は4ユニットから6ユニットが積まれるという。走行する地域に応じて、具体的な容量が決定される。
充電能力は22kWと低い。急速充電器にも対応可能だが、ゴミ収集車は回収を終えると翌日まで車庫で保管されることが通常なため、高価な装備は必要ない。
キャビン内部も入念にアップサイクルされる。シートは新しいクロスで張り替えられ、明るいイエローのシートベルトへ交換される。冬場に備えて、エアコンより効果的に温まれるという理由から、シートヒーターも備わる。
ダッシュボードには、10.0インチのモニターが2面追加される。1つは車両周辺の映像を確認するカメラ用。もう1つは、アップル・カープレイに対応したインフォテインメント・システム用だ。
運転環境も見直され、主要な操作系の殆どが運転席側に移動。ステアリングホイールから手を伸ばすだけで、触れられるようになっている。リアカメラとセンサーが追加され、後方を監視する負担も減らされている。
カップホルダーは、通常のエコニックには2つしか備わらないが、5つへ増やされる。仮に4名体制でのチームが組まれても、飲み物の置き場には困らない。
エアコンの操作パネルも新しくなり、ボタン類も強化される。ゴミを収集するスタッフが、ダッシュボードへ足を載せることを考慮して。
ほぼ無音で走るゴミ収集車は非現実的
サイドミラーは、カメラとモニターのシステムへ交換。狭い市街地を走ることが多いゴミ収集車の場合、ボディから大きくはみ出したミラーは、接触事故の原因になりやすい。
ゴミを溜めるコンパクターは、圧縮ブレードなどがアップグレードされる。配線用のワイヤーは、ネズミに噛み切られにくい強化品を採用しているそうだ。
大型トラックということで、今回は助手席への同乗。BEVが静かだというのは当たり前になっているかもしれないが、ゴミ収集車がほぼ無音で走るという体験は、かなり非現実的だった。
ルナズのワークショップを出ると、フェンスで仕切られたシルバーストーン・サーキット横の道へ出る。普段は大型トラックに乗ることのない筆者だが、想像以上に快適なことへ驚く。パワートレインはスムーズで、かなり加速も鋭い。
サーキットでは新しいF1マシンがテスト走行中で、数名のファンが熱心にカメラを向けていた。われわれの接近に気が付き振り返ると、エンジン音のしないゴミ収集車を、不思議そうに眺めていた。
大人4名が乗っても、キャビンは窮屈に感じられない。フロントガラスが大きく、見晴らしが良い。ベースは7年前のエコニックだが、遥かに新しいトラックのように感じる。
ルナズの開発者は、回収作業をシミュレーションするため、ゴミの収集ボックスをこの付近の路上に並べて検証しているという。今回は短時間の同乗にすぎず、現場で問題なく活躍できるのか判断は難しいものの、完成度は間違いなく高いと感じた。
2023年後半に実際の収集ルートで検証開始
2023年後半には、ルナズの電動ゴミ収集車は実際の収集ルートで検証をスタートさせる予定。現在は、それに向けた最終テストへ力が注がれている。廃棄物処理業者との協議が始まっており、入札へ向けた準備も進んでいるとのこと。
同社の創業者、デイビッド・ローレンツ氏は、新しい電動トラックより安く仕上がり、新たに7年間の保証を付帯できると説明する。さらにその7年後には、再びアップサイクルを加え、もう一度路上で活躍することも可能だという。
加えて、ルナズの取り組みで注目するべきは、電動化の作業を他の拠点でも可能なように、フォーマット化しようとしていること。世界中へアップサイクルされたトラックを輸出するのではなく、主要な市場の近くへ拠点工場を構えたいと考えている。
彼らの取り組みの成果は、最終的にどれだけ多くの電動ゴミ収集車が街角を走ることになるのか、あるいは多くの電動トラックが走り出すかで判断される。それが見えてくるのは、まだ数年は先になる。
しかし、ルナズの取り組みに感銘を受けたことは間違いない。この努力が、無駄になるとは考えられない。
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