この記事をまとめると
■スズキから新型車、フロンクスが登場
トヨタも舌を巻くコストダウンマジック! スズキ車の圧倒的なコスパとその秘密
■インドで生産されるクロスオーバーコンパクトSUVだ
■クローズドコースでFF、AWDモデルに試乗した
欧州車を思わせる流麗なデザイン
スズキが新型のクロスオーバーコンパクトSUV「フロンクス」を登場させた。インドの工場で生産され日本に輸入されることになる「フロンクス」の走りを、修善寺サイクルスポーツセンターのクローズドコースで試した。
同社のコンパクトスポーツ「スイフト」のプラットフォームを共有し、ロングホイールベース化し車高を高めたフロンクス。そのスタイリングはクーペSUVとして流麗なデザイン性に主眼が置かれている。一見して欧州のクロスオーバーSUV的なデザインで存在感がある。
とくにボディサイドのデザインはボリューミーなタイヤハウスやフェンダーなど、手の凝った造形だ。
パワートレインには1.5リッターの直4ガソリンエンジンが搭載され、ベルトドライブのジェネレーターによるハイブリッドシステム(ISG)を採用しマイルドハイブリッド仕様となっている。
トランスミッションは6速ATを搭載。CVTが多い同クラスのなかでトルコンATを採用しているのは、グローバル展開を見越してのことだろう。
前輪駆動のFFとビスカスカップリングによるAWDの2種類があり、グレードはワングレードとなっている。
まずはFFに試乗してみる。室内の雰囲気は豪華な印象で、インパネやドアパネル、シートにもステッチを縫い込んだレザーを採用。シルバー加飾が大胆に施されたダッシュボードの造形も、クラスを超えた贅沢さが感じられる。
シートは両サイドのサポート性が高く、ホールド性に優れているが、少し窮屈な座り心地でもある。一方、後席は足もとも広く、パッケージングに優れていて実用性は高そうだ。
クラスを超えた静粛性を備えている
ATセレクターはIパターン。Dレンジにシフトして走り始める。発進加速時にはISGのアシストが得られ、力強い。電動車やターボ付き車の高トルクに慣れた身にも力不足を感じさせない。加速を続けると2~3~4とスムースにシフトアップしていく。この感覚はCVTと異なりステップ比が心地いいのだ。ここで気がついたのは室内の静かさだ。遮音性に優れていてエンジン音のキャビンへの侵入を抑え込み、また振動も上手く抑制している。
速度が高まってくるとタイヤのロードノイズが若干気になるが、それでも全体的にはクラスを超えた静粛性を備えていると言える。
タイヤはグッドイヤー・トリプルマックス2という聞き慣れない仕様だが、生産国はインドとなっていて国内のアフターマーケットには流通していなさそうだ。トレッドの溝が浅く、ランドシー比の大きそうなハイグリップ系なパターンデザインだ。ロードノイズはタイヤが発生するので、日本の路面にマッチングさせる必要がありそう。
サスペンションはフロント・ストラット、リヤ・トーションビーム式でロールを抑えた操縦性に仕上げている。ハンドリングはライントレース性に優れていて、重厚な走り味。質感の高さが同クラスのライバルに対してアドバンテージが得られている。
次にAWD仕様を試す。AWDといっても高度な電子制御ではなく、プリミティブなビスカスカップリング方式ということで、生活4駆としての役割に徹している。国内の販売店からは4駆の要望が高く、フロンクスのAWDは国内専用モデルとなるようだ。
走り始めるとFFよりも一層質感が高く、またフロア振動も抑えられていて重厚さを増した乗り味となっている。フロアトンネルにプロペラシャフトを通す関係でフロア剛性が高く、またリヤ・サスペンションのトーションビームにもデファレンシャルを抱え込んでいるため足まわりの剛性感もはるかに高い。
結果として快適性、ハンドリング、操縦安定性、トラクションを含め全天候性に優れていて、これは人気を博しそうだ。価格設定次第だが、仕組み的にFFとAWDの価格差を小さくできるだろう。
デザインだけでなく走行性の高さも重視するならAWDがお勧めだが、クラスを超えたデザイン性の高さが魅力なので市街地のユーザーから山間地域までスズキの強力な販売網効果もありフロンクスは全国で見かける機会が増えそうだ。
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