日本の都市部では持て余す体躯を誇る、ジャーマン3のラージSUV。今回、この3台を比較試乗して気づかされたことは、フラッグシップサルーンよりも各ブランドのフィロソフィーが存分に表現されているということ。この“規格外”のSUVは、個性や先進技術を現すカテゴリーという新しい存在意義も帯びている。
GLS、X7は巨躯が走りを邪魔していない
アウディがクーペ風SUVの「Q8」にシリーズ初のRSモデルをラインアップ!
ジャーマン3のフラッグシップといえばサルーンが定番だが、世の趨勢によってSUVへと傾きつつあるとの思いが今回の比較試乗で強くなった。各ブランドが己のフィロソフィーを存分に表現するのがフラッグシップの役割でもあるが、サルーンよりもSUVのほうがわかりやすく思えたからだ。
それがもっとも濃厚に感じられるのがGLSだった。全長5220×全幅2030×全高1825mmでホイールベースは3135mm。日本の都市部では間違いなく持て余す体躯だが、走らせてみればその大きさと2690kgにも達する車両重量が、とてつもない快適性に寄与していることがわかる。ハイスピードで荒れた路面を突っ走っていってもピッチングはほとんど感じず、ボディの動きはゆったり。まるで豪華な大型クルーザーのように余裕ある乗り味で、路面の善し悪しなど意に介さずひたすら乗員をもてなすのだ。
上級モデルのGLS580 4マチック・スポーツは4L・V8ツインターボを搭載。ISG+48V電源も採用するが、これによってE-ACTIVE BODY CONTROLを構成。エアサスペンションに加えて4輪それぞれの48V電動油圧ユニットがストロークをコントロールし、コーナリングで車体が内側に傾くダイナミックカーブ機能が実現されているのだ。左コーナーで車体も左に傾いていくのは、頭で考えると不自然な気もするが、走らせてみるとそこまで違和感はなく、慣れてくると身体が楽で病みつきになる。ドライバーの疲労をなるべく軽減することで運転の集中力を途切れさせないメルセデスの安全哲学にも通じるのだ。
ライバルのX7に乗り換えてみると、低いウエストラインに面積の大きいウインドー、角度の立ったAピラーなどで、室内は明るく広々とした印象が強かった。BMWのスポーティなイメージとは少し違うような気もしたが、走り始めるとその意図するところがわかってきた。全長5165×全幅2000×全高1835mmにホイールベース3105mmと、X7もまたかなり大柄だが、見晴らしが良くボディの四隅が把握しやすいからそんなに持て余す感じがしない。実際よりもコンパクトに思えて一体感があるのだ。
アダプティブ ・エアサスペンションが路面や運転の状況に合わせて最適にアジャスト、さらにはカメラで前方の路面を認識してフィードフォワード制御まで行なうのは、もはやこのクラスでは常識になりつつあるが、その違和感のなさがX7では際立っている。後輪ステアもまた然り。路面の変化が大きく、大小様々なコーナーが連続するワインディングを走らせると、その本領を発揮して、ますますボディがコンパクトに感じられ、一体感の高さが半端ない。やはりBMWは、エレガントなフラッグシップSUVでも駆けぬける歓びを根底に持っているのだ。
M50iの4.4L・V8ツインターボは2580kgのボディを5秒以下で100km/hまで加速させる圧倒的なパフォーマンスの持ち主だが、8速ATも含めたパワートレインの成熟度にも光るところがある。ターボラグなどまるで感じさせないレスポンスの良さ、静かに走らせたいときはとてつもなく滑らかなシフトチェンジ。ドライバーの望みをくみ取って寸分違わぬ感覚でトルクを提供してくれる。高級車らしくスムーズに走らせるのも、切れ味鋭くスポーティに走らせるのも自由自在。本物のドライバーズカーだということが伝わってくるのだ。
Q8はキャラやブランドの先進性がよく現れている
Q8はQ7のクーペバージョンであり、ボディ上部が絞り込まれてコンパクトにみえるから、なんとなくフレンドリーにも感じられるのがちょっと嬉しい。室内に収まってみると、X7とは真逆でAピラーが寝ていてクーペライク。ほどよくタイトな感覚もあってスポーティだ。走り始めてみるとまず感じたのは洗練度の高さだった。GLSやX7も超がつくほど快適ではあるが、Q8は細かな振動まで綺麗に取り去り、あらゆる可動部のフリクションが低いことによる上質な乗り味が見事。静粛性の高さも圧倒的で、現実離れしているような感覚さえある。
快適性に重きをおいているのかと思いきや、コーナーでの振る舞いはスポーティ。全高が低いことを味方に、ロールが抑えられた姿勢で狙ったラインを正確にトレースする。後輪操舵も効いているからかタイトコーナーでもすばしっこく曲がる。決して硬くはないが、ほどよく引き締まったフィーリングだ。路面の荒れを見事に吸収して極めて快適な乗り味をもちながら、スポーティさも盛り込まれたエアサスペンションのセッティングがクーペらしさを強調。Q8を選ぶ価値を感じさせてくれる。
エンジンは3L・V6ターボで他の2台ほどパワフルではないが、比較的に軽い車両重量ということもあって軽快な加速をみせる。トルクに余裕があるから、一般的な走り方ではエンジンは存在を主張してこないが、4000~6200rpmの高回転域ではパワーが尻上がり的に盛り上がっていって気持ちいい。クーペSUVらしくスポーティだが、あくまでクールにそれを表現しているのがアウディらしい。機械的に洗練されていることを強調しているのだ。
フラッグシップは最新テクノロジーをふんだんに使うことで高みを目指していくが、大きく重たい大型SUVでの効果は絶大だ。だからこそ、各ブランドの主張や実力がわかりやすい。サルーンに乗るよりもフラッグシップとしてのメッセージ性が強く思えるのだ。
【REAR SEAT比較】
GLSは2列目が3人掛けのベンチシート、3列目が左右独立のシート。 X7の2列目シートはオプションのセパレートタイプを採用。Q8はQ7より30mm低い全高のため、他2台と比較すれば狭さを感じるものの、居住空間としては十分な広さを備える。
【LUGGAGE ROOM比較】
GLSは3列目シートを畳んだ状態で1350Lのラゲッジスペース容量を誇り、3台の中では最大。2、3列目のシート操作はすべて荷室脇のスイッチで行える。 X7は上下分割式のテールゲートが採用され3列目シートを畳んだ状態で750L、 Q8は605Lとなる。
【Specification】AUDI Q8 55 TESI QUATTRO DEBUTPACKAGE S LINE
■全長×全幅×全高=4995×1995×1690mm
■ホイールベース=2995mm
■車両重量=2210kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ターボ/2994cc
■最高出力=340ps(250kW) /5200-6400rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m) /1370-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=(前後)ウイッシュボーン
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤサイズ=(前後)285 / 40R22
■車両本体価格(税込)=11,220,000円
【Specification】BMW X7 M50i
■全長×全幅×全高=5165×2000×1835mm
■ホイールベース=3105mm
■車両重量=2580kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V+ツインターボ/4394cc
■最高出力=530ps(390kW) /5500rpm
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m) /1800-4600rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=(前)Wウイッシュボーン、(後)マルチリンク
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤサイズ=(前後)285/45R21
■車両本体価格(税込)=16,030,000円
【Specification】MERCEDES-BENZ GLS 580 4MATIC SPORTS
■全長×全幅×全高=5220×2030×1825mm
■ホイールベース=3135mm
■車両重量=2690kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V+ツインターボ/3982cc
■最高出力=489ps(360kW) /5500rpm
■最大トルク=700Nm(71.4kg-m) /2000-4000rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション=(前)Wウイッシュボーン、(後)マルチリンク
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤサイズ=(前)275/40R21、(後)315/40R21
■車両本体価格(税込)=16,690,000円
【PERSONAL CHOICE】MERCEDES-BENZ GLS 580 4MATIC SPORTS
使用ステージは街中よりも高速道路
このクラスならば、とにかく優雅な気分になれるGLSに惹かれる。ダイナミックカーブ機能なども素晴らしいが、それを差し引いても乗り味は極上でメルセデスらしい。高速クルージング専用車として欲しい。
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