初回 クーペらしく美しいスタイリング
text:Piers Ward(ピアス・ワード)
【画像】G22型 BMW 4シリーズ 先代と最新のM4も 全101枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
真新しいBMW 420dが、英国編集部にやって来た。歓迎したいけれど、どうしてもこの鼻先が気になる。フロントグリルの話題からは、逃れることはできないだろう。
試乗レポートの内容をお読みいただいた方もいるかと思うが、強く夢中にさせるほどではなかったようだった。これから長期間一緒に過ごすなかで、どのような気持ちの変化があるのか、今から楽しみではある。
フロントグリル以外のスタイリングは、物議を醸しだすということはないだろう。クラシカルなクーペラインを備え、美しい。
ドア下端の深いキャラクターラインは、クルマの低い姿勢を強調している。後ろに行くにつれて緩やかに上昇し、ボディ側面を綺麗にまとめている。
長期テスト車は4気筒ディーゼルだが、Mスポーツのリアスポイラーは標準装備。ガーニーフラップと呼ぶと、聞こえが良い。
すでに走りの詳細には何度か触れているから、ここでは少し視点を変えようと思う。まずは、BMW 420dの装備内容について詳しく見ていきたい。
このクルマはMスポーツ仕様で、エアインテーク周りの造形はアグレッシブ。だがアークティックレース・ブルーメタリックというボディ色は、形を微妙に全体になじませ、それほど攻撃的には見えない。色自体も美しい。
充実装備のパッケージ・オプション
最近はグレーのボディが人気だが、この色なら個性もあるし、必要以上の注目も集めないだろう。クーペなら上品であるべきだと思う。420dのカラーのように。
サンプロテクション・ガラスの色ともよく馴染む。これは320ポンド(4万5000円)のオプション。今のような寒く薄暗い季節では気にならないが、これからの暖かい日差しには有効な装備だろう。
この420dに追加されているオプションは、ほかにテクノロジー・プラス・パッケージとコンフォート・プラス・パッケージ。英国の場合、テクノロジー・パックは3650ポンド(51万1000円)と安くはないが、色々な装備が付随してくる。
まず目を引くのは、ドライビング・アシスタント・プロフェッショナルとパーキング・アシスタント・プラス、ヘッドアップ・ディスプレイ、ハーマン・カードン社製のステレオだと思う。
ドライブレコーダーと、スマートフォンのワイヤレス充電機能も付く。ほかにブルートゥース接続機能とWiFIホットスポット、ジェスチャー・コントロールなども備わる。
コンフォート・パックの方は、1950ポンド(27万3000円)。ヒーター内蔵のステアリングホイールにパワー・トランクリッド、キーレスエントリー、電動フロントシートなどが付いてくる。
まだ筆者は160kmほどしか乗っていないが、コンフォート・パックを付ける価値はあると感じた。特に冬場では、ヒーター内蔵のステアリングホイールがうれしい。
便利なダッシュボードのショートカットキー
テクノロジー・パックの方は、これから。ヘッドアップ・ディスプレイやハーマンカードンのステレオは素晴らしい。個別に選ぶとしても、装備させたいと思う。ジェスチャー・コントロールは、筆者の息子がいろいろ試して楽しんでいる。
一方で、ドライビング・アシスタント・プロフェッショナルの有効性はまだ確認できていない。アダプティブ・クルーズコントロールとレーンキープ・アシストは、筆者の好きな機能ではないというのが本音ではある。
ドライブレコーダーは、ありがたいと感じたくない装備。パークアシストと連動したシステムで、車両に搭載されたカメラ映像を自動的に40秒毎記録してくれる。便利な機能だが、有効だったと思うときは、来ない方がイイ。
インテリアは、長時間過ごすのに快適な空間だ。大きなタッチモニターは備わるが、日常的に操作する機能、エアコンなどへは実際に押せるボタンが残されている。まだモニターとにらめっこ、ということはない。
このダッシュボードからショートカットキーがなくなったら、悲しく感じるだろう。最大8つの機能を、ドライバーが任意に登録できる。とても便利なボタンだ。
BMW 420dは、長距離クルーザーとして優れた実力を備えていることは、薄々と感じている。ロックダウンが解除されオフィスへの通勤が始まっても、快適に移動できそうだ。
筆者はロンドンから北に130kmほど離れた、ピーターバラに住んでいる。トゥイッケナムのオフィスまで、150kmほどはある。毎日の長距離通勤を安楽にこなせるなら、ありがたいばかり。
189psと40.7kg-mで0-100km/h加速7.1秒
4気筒ディーゼルエンジンは洗練され、車内にいても気になるノイズはほとんどない。189psと40.7kg-mを備え、0-100km/h加速は7.1秒でこなす。今時のクーペとしては、中の中、といったスペックだと思う。
特にディーゼルエンジンらしく、中回転域での太いトルクは特筆モノ。流れをリードするような走りも、余裕でこなせる。
ステアリングホイールの反応は鋭く、滑らかな乗り心地は、グランドツアラー寄りの420dの個性をほどよく高めている。18インチという、賢明なホイールサイズも良い。
少し残念なのが燃費。このクルマのオドメーターは、1200kmを差している。筆者が乗り始めてからは、短距離移動が多かった。この条件で表示されている平均燃費は、12.6km/L。WLTP値で、カタログ上は23.8km/Lがうたわれている。
長距離旅行などを通じて、燃費の変化も見ていきたい。理想と現実は近づくだろうか。少なくとも、出だしの印象は充分に良い。
セカンドオピニオン
先日、オプション満載の420iと1日をともにした。長期テスト担当者のピアス・ワードもほどなくして、受け入れにくいフロントグリルは気にならなくなるだろう。
BMWらしい、ゆとりある長距離走行時のマナーと、後輪駆動らしい動的特性を備えつつ、乗り心地も犠牲にはなっていない。頭に残るのは、その走りのみだった。
テストデータ
テスト車について
モデル名:BMW 420dクーペ Mスポーツ(英国仕様)
新車価格:4万2440ポンド(594万円)
テスト車の価格:4万9030ポンド(686万円)
オプション
テクノロジー・プラス・パッケージ:3650ポンド(51万1000円)
コンフォート・プラス・パッケージ:1950ポンド(27万3000円)
アークティックレース・ブルーメタリック塗装:670ポンド(9万3000円)
サンプロテクション・ガラス:320ポンド(4万5000円)
テストの記録
燃費:12.6km/L
故障:なし
出費:なし
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