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コンパクトカー並みの取り回しやすさを実現したメルセデス・ベンツのプレミアムBEV「EQE SUV」

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コンパクトカー並みの取り回しやすさを実現したメルセデス・ベンツのプレミアムBEV「EQE SUV」

メルセデス・ベンツの電気自動車への力の入れ方はかなりのものだ。日本でもEV専用のディーラー(メルセデスEQ)を横浜にオープンした。専用のモデルも次々発表している。メルセデスはEVモデルをEQと名付け、メルセデスEQというネーミングにしている。専用のプラットフォームを新たに設計、開発するだけでなく、電気自動車ならではのパッケージを活かしたデザインは、これまでの自動車にはない斬新さがあった。

 とくに、2022年9月に発表されたセダンタイプの「EQE」「EQS」のデザインのようにフロントからリアに向かい弧を描いているようなボディーが、他のエンジン付きセダンと一線を画したデザインで人々を驚かせた。その後、2023年5月に「EQS」」をベースにした「EQS SUV」を新しく開発。それはルーフを延ばしたワゴンタイプのSUVだった。フロントマスクのデザインは、スリーポインテッドスターを中心にしたブラックパネル。ボンネットなどの継ぎ目も少ないメルセデスEQモデルのスタンダードになった。すでに3車種、発売されている。

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メルセデスEQの第4弾EVモデル「EQE SUV」

 2023年8月。メルセデスEQは第4弾のEVモデルを発表した。「EQE SUV」だ。4ドアの「EQE」をベースにリアのラゲージスペースを大きくしたワゴンタイプのモデル。「EQS SUV」が3列シート、7人乗りだったが「EQE」は2列シート5人乗りとした。ボディーサイズは全長4880mm、全幅2030mm、全高1670mm、ホイールベースは2030mm。パワーユニットは89.0kWhの電池容量で、前後にモーターを搭載し、一充電走行距離は、528kmと表示されている。

 グレードは「EQE350 4MATIC SUV ローンチエディション」(以下350SUV)と「AMG EQE 53 4MATIC SUV ローンチエディション」(以下、53SUV)。車両本体価格は「350 SUV」は1369万7000円。AMGは1707万円(予価)。



 特徴としては、CD値0.25という空気低減ボディー、ヒートポンプの採用、さらに走行状況に応じてクラッチを切ることで前輪をフリーにし、モーターによる抵抗を低減させるディスコネクトユニットの採用がある。試乗車は「350SUV」の1stエディション。受け取った状態は、充電量82%で、走行可能距離は471km、MAX508kmと表示されていた。

 ドア下のステップは固定式。Aピラー内側に乗降用のグリップがないので乗りこみはハンドルにつかまる形になる。高めの着座位置だが、メーターの位置も高めなので、ドライビングポジションは、見下ろし型ではない。

 シフトレバーはコラムから生えているレバータイプのメルセデス方式を踏襲している。R-N-D。Pはレバーの頭部を押す。ドライブモード(DYNAMIC)はE/C/S/Iの4モード。オフロードモードも標準だ。



0→100km/hが5秒台、スーパースポーツに変身する恐ろしいSUV

 Cモードを選択し、走り出す。走り出すと軽くヒューンというモーター音が聞こえてくる。加速時はEVの重さを感じさせない。ふつうにアクセルを踏めば、スタートはやや緩慢に動き出すが、すぐに前を行くクルマに追いつく。信号待ちで先頭からスタートすると、普通にアクセルを踏んだつもりでも、いつの間にか後続を引き離している「EQE SUV」がいる。

試しにスタートと同時に、アクセルをグイッと踏みこむと、室内に伝わる音がヒューンという軽い音から、ギュイーンという大きめのメカニカルサウンド的な音に変わり、加速も0→100km/hが5秒台、というスーパースポーツに変身する恐ろしいSUVなのだ。292PS、765Nmは見せかけの数値ではないのだ。

 パドルスイッチはハンドル裏に装備されているが、変速用スイッチではない。回生モードの設定用だ。回生を強力/通常/回生なしにセレクトできる。強力回生でも完全停止はできない。操縦性だがCモードでは低・中速ではハンドルはやや重めで、切りこみも抵抗感のある味付け。

スポーツモードに切り換えると、全体に重めになり、真剣にハンドルと格闘しなければならない。乗り心地もスポーツモードは低速からゴツゴツした動き。高速走行では、大きなうねりのようなところでは、やや横ゆれもある硬めな設定。ちなみにタイヤは、ピレリ「P ZERO」の265/40R21を装着していた。

 後席に座ってみた。床はフラットで広い。3人掛けはもちろんOK。膝の余裕もある。ヘッドスペースはやや狭め、身長170cm以上には狭く感じる。後席背もたれは4/2/4で可倒するが、手動式。荷室とは床面がやや斜めで一体化し、スペースは十分に確保されている。



 街中走行で重宝したのは、回転半径の小ささだ。「EQE SUV」の後輪は小回り性能を良くするために後輪操舵を取り入れている。ターンする時などの低速域で、後輪は前輪と反対側に10度だけステアする(AMG53は3.6度)この動きは、最小回転半径を4.8mとコンパクトカー並みした。片側1車線+自転車道路のスペースがあれば、一発でUターンができた。

 電費と充電に関してだが、今回の試乗は、インポーターによる公式試乗会だったので、走行距離、走行時間も限られており、正確な数値はわからなかった。街を10~30kmしか走行しなかったので、電費は3~5kWh程度。充電もできるほど充電量は減少していなかった。

 メーカーによる充電時間の目安はCHAdeMO規格の50kWタイプの急速充電は10%→80%まで102分。30分間では10→30%。90kWタイプなら10%→80%まで54分と公開されている。交流200Vの家庭用だと10→80%は6時間以上、要する。この辺りのデータは後日、借り出して、実証したい。

■関連情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/eqe/overview.html

文/石川真禧照

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