現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 90年以上あるマセラティのオープンカーの歴史を3分で振り返る。ヘンリー・フォード2世をして「美しい」と言わしめたクルマとは?

ここから本文です

90年以上あるマセラティのオープンカーの歴史を3分で振り返る。ヘンリー・フォード2世をして「美しい」と言わしめたクルマとは?

掲載 5
90年以上あるマセラティのオープンカーの歴史を3分で振り返る。ヘンリー・フォード2世をして「美しい」と言わしめたクルマとは?

1930年代から始まったオープンモデルの物語

マセラティ「グランカブリオ」のコンセプトは4つ挙げられます。ひとつ目は「オープントップのエレガンス」、2つ目は「細部へのこだわり」、3つ目は「贅沢な素材」。そして最後に「並外れた品質」。そんな理想的で流行に左右されない自然な美しさを持つマセラティのオープンモデルは、どのような歴史をたどって現在に至るのでしょうか。

マセラティ「グランカブリオ」が復活! V6「ネットゥーノ」を搭載したトップモデル「トロフェオ」から登場です

動く芸術品と評された3500GT

マセラティ初となるオープンモデルは、1931年型「4CS」と1932年型「8CM」という、レース用に誕生した2台を公道用に改良したマセラティの起源にさかのぼる。この物語は1930年代に始まり、マセラティ兄弟が会社を去る前に発表した最初のロードカーの後継モデルである、ピエトロ・フルア氏がボディを手がけた希少な「A6/G 2000スパイダー」へと続いていく。この時点では、コレクターズアイテムとして少数生産されたに過ぎなかった。

1940年代後半、マセラティはさまざまな国際モーターショーに参加し、当時の偉大なイタリア人コーチビルダーたちによってデザインされたクルマを発表するようになった。コンバーチブルのストーリーは、この頃、形になり始めていたのだ。ファン・マヌエル・ファンジオ氏が伝説の「250F」でトライデントにF1世界選手権の総合優勝をもたらした1957年、「3500GT」は初の量産ロードスポーツカーとしてジュネーブモーターショーで発表された。これは、大西洋を越えてアメリカに渡った最初のマセラティでもあった。

2年後の1959年ジュネーブモーターショーでは、ジョヴァンニ・ミケロッティ氏がデザインし、ヴィニャーレが製作した235psを発揮する3.5Lエンジンを搭載したコンバーチブル「3500GT ヴィニャーレ」を発表した。イタリアの新聞社が「動く芸術品」と評したほど、このクルマはそのスタイルで名を残す運命にあった。

ファストバッククーペをエレガントに再解釈したミストラル

1960年代、マセラティは歴史的な転換期を迎える。マセラティは車名に使っていた頭文字をやめ、風にちなんだ名前をつけるようになったのだ。その最初のモデルが、地中海に吹く強い北風にちなんだ「ミストラル」だった。ピエトロ・フルア率いるコーチビルダーによって設計されたミストラルは、ファストバッククーペをエレガントに再解釈したスパイダーとして1964年に発表された。パワフルな3.5Lまたは4.0Lの6気筒エンジンを搭載し、爽快なパフォーマンスを発揮した。

また伝説によると、ジョルジェット・ジウジアーロ氏の天才的な手腕によって生み出された「ギブリ」をガレージに置くことにこだわる理由を部下に尋ねられたヘンリー・フォード2世はこう答えたという。

「同じくらい美しいクルマができるまで、そこに置いておくんだ」

未来への新たな一歩となるフル電動オープンカー

1980年代、マセラティは180ps V6ツインターボによるターボエンジンを導入し、最高速度は215km/hを超えた。「ビトゥルボ スパイダー」はザガートによって開発され、ホイールベースを2400mm縮めることで2シーター(リアに折り畳み式の2座席を装備する)に変身させた。このクルマは1984年に発売され、1994年まで進化を続け、10年間で3000台以上を販売した。

マセラティは2000年代に入ってフェラーリの傘下に入り、オープンカー「スパイダー」の生産を再開した。「スパイダー」は、「ミストラル」と「ギブリ」の歴史に再びつながる基本的な名称であり、このジャンルの重要なマイルストーンとなっている。「4200GT スパイダー」としても知られる「スパイダー」は2001年に登場し、豪華なインテリアで390ps、最高速度283km/hを発揮するパワフルな4244cc V型8気筒エンジンを備えた、洗練されたクルマとして発表された。

そして2009年に「グランカブリオ」を発表。ピニンファリーナによってデザインされた「グランカブリオ」は、パワフルなV8エンジンと最先端技術によってイタリアンスタイルとエレガンスのエッセンスを体現し、ドライビングプレジャーと妥協のないパフォーマンスを両立させるというマセラティの取り組みのシンボルとなった。

2024年2月に発表された新型「グランカブリオ」は、3.0L V6ツインターボのネットゥーノエンジンを搭載していたが、新たに登場した「グランカブリオ フォルゴーレ」は、このクラス初のフル電動オープンカーであり、未来への新たな一歩となる。

AMWノミカタ

マセラティはオープンモデルがスタートした当時から、「美しさ」と「パフォーマンス」を高い次元でイタリアらしく両立させてきたブランドだということがわかる。サーキットでも公道でも、そして長距離ドライブでも常にドライビングの歓びをもたらすだけではなく、理想的で流行に左右されない自然な美しさを持つデザインは、ずっと時代を超越した存在であり続けるだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン

みんなのコメント

5件
  • tak********
    Biturboは並外れたトラブルを誇っていた。
    都合3台ほど乗ったがトラブルは色々あった。
    でもMASERATIの魅力はそんな次元じゃない所にある。
    馬や蛇にはスタイルや音で魅了されるが、三又槍は車内に乗り込んだ瞬間
    場違いだったことに気付く。
    それは堅気の乗る車じゃない事にね。
  • kmq********
    北方謙三は、まさにコレに若葉マークを付けて乗っていた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村