Exterior 上質かつ威風堂々とした佇まいを表現
グローバル仕様のハイエースと一部の構造を共有しながら、より上級指向のミニバンとして作られたのがグランエースだ。
【試乗】いま話題の巨大ミニバン「トヨタ・グランエース」は圧巻の豪華さと驚異の取り回しがスゴイ!
グローバル仕様のハイエースは、「人を乗せるためのクルマ」としての性能・機能を追求する開発がされている。スタイリングにおいては、大きなボディサイズを生かした広いグラスエリア、水平基調で安定感のあるベルトラインが特徴だ。そのうえで、フロントマスク、テールビューを中心に、グランエース専用のデザインが施されている。
フロントマスクは、メッキの大型アッパーグリルをヘッドライトと連続したデザインとすることで、ワイド感と押し出し感を強調。フォグランプまわりやロアグリルにもメッキを施し、アクセントとしている。ボディサイズが大きいとメッキパーツの存在感が強調されすぎることがあるものの、そうならないよう、ほどよい高級感にまとめられている。
リヤまわりでは、ほぼ垂直面となるバックドアに立体感を持たせるために、バンパーの張り出しを大きくし、L字型テールランプとメッキガーニッシュを組み合わせた。こちらも高級感はあるが、スマートなデザインと言えるだろう。送迎車ニーズがメインということもあり、華美な装飾ではなく、スタンダードなプレミアム感を目指したのだ。
サイズはこれまでのトヨタの最大級ミニバンであるアルファード(FF)と比較して、全長で350~355mm、全幅で120mm、全高で55mm大きい。大きな箱をイメージさせる外観は、外から見ても車内の広さが実感できる。ホイールベースは3mを超えているが、タイヤの切れ角が大きいうえに最小回転半径5.6mに収めているので取りまわし性は悪くない。
クローム枠で囲われた2眼式のLEDヘッドライトは、外側がロービーム、内側がロー/ハイビーム切り替え式となる。その下のLEDはデイタイムランニングランプ。ウインカーはヘッドライトの内側に配置される。
リヤコンビランプは大型で迫力を演出。テールランプはL型に点灯し、ウインカーは中央部分、ブレーキランプはウインカー上部の3本ライン部分が点灯。リバースランプはバックドアガーニッシュの上部に備わる。
エクステリアの各部にメッキのアクセントを効果的に配置。ドアミラー(LEDウインカー&ヒーター付き)、メッキベゼルのフォグランプ、ボディ同色のリヤスポイラーも備わる。
スポーク部分をリムまでつなげるデザインとすることで大径感を強調した専用デザインのアルミホイール(6穴タイプ)を装着している。タイヤサイズは235/60R17(LTタイヤ)となっている。
車両の前後左右にカメラを配置し、周囲の状況をモニターに映し出すことができる。駐車時には駐車枠を示すほか、クルマを真上から見たようなバーチャル映像を表示する。
Interior 特別なクルマをドライブしている優越感に浸れる
ボディサイズの大きさを最大限生かし、広大な室内スペースを確保した。フロアが高いため、室内高に関してはアルファード(1400mm)をやや下まわる1290mmとなっているが、室内長(プレミアムで3290mm、Gで3365mm)と室内幅(1735mm)は国産乗用車ではトップクラスだ。
ダッシュボードまわりは、メーターフードにソフトパッドとリアルステッチを採用。ステアリングやドアトリム、グローブボックスの一部を木目調とし、金属調加飾パネルをアクセントとして加えることで、さりげない高級感を演出している。
ボディの大きなクルマを運転する際、取りまわし性や見切りの良し悪しは気になるが、フロアの高さを利用してドライバーの着座位置が高く設定され、さらにグラスエリアを広く取ることで視界特性が向上。水平基調のダッシュボードやドアミラー取り付け位置の最適化により、フロントピラー周囲の運転視界も良好だ。後席乗員にとっても、見晴らしがよく明るい室内は快適性が高い。
操作系では、ハンドルとペダルとシートの位置関係を最適化し、スイッチ類を機能別に集約配置。サイズの大きなスイッチもあるが、直感的に操作しやすいレイアウトだ。シフトレバーは左右のウォークスルーが可能なインパネシフトとなっている。
ハンドルは上部グリップが木目調となる本革巻き。4本スポークタイプだが、中央下部には加飾パネルが装着される。スイッチの周囲をシルバーパネルで区切ることで、運転中のスイッチの操作性を高めている。
メッキ調リングで加飾された2眼式メーターは右に速度計、左に回転計を配置したシンプルなデザインで視認性が良好。中央にはフルカラーのマルチインフォメーションディスプレイが備わる。
燃費や運転支援システムの作動状況、オーディオの設定といった情報を切り替えて表示することができる。タイヤ空気圧モニターは、スペアタイヤ含めた5本分をリアルタイムで表示する。
ハンドルのスイッチでオーディオの設定変更やハンズフリーの操作、マルチインフォメーションディスプレイの切り替え、クルーズコントロールの設定変更などを行える。
ステアリングコラムの右側にライトスイッチ、左側にワイパースイッチというオーソドックスなレイアウト。ヘッドライトおよび間欠ワイパーはオートモード機能を備える。
運転席のドアパネルにはドアミラーの格納/展開と角度調整スイッチ、ドアロックの開錠/施錠スイッチ、パワーウインドウ(前席左右のみ開閉)のスイッチを配置する。
パワースライドドアは左右ともにワンタッチオート開閉&イージークローザー機能付きとなる。車両に近づくと自動で開くウェルカム機能や予約ロック機能も備えている。
8インチディスプレイオーディオを全グレードに標準装備する。オーディオやカーナビ(オプション)、DCM(車載通信機)の画面、パノラミックビューモニターを表示する。スマートフォンとの連携機能も備える。
空調装備は、フロントにフルオートエアコン、リヤにオートエアコン(いずれもナノイー)を標準で装備する。温度は前後独立で調整することができ、リヤエアコンはフロント側からも操作することができる。
車両後方に取り付けられたカメラの映像をルームミラーに表示。後席に人を乗せているときや、荷物を満載して後方確認がしにくいときに重宝する。レバーで鏡面モードに切り替えられる。
Utility & Equipment 豪華さだけでなく使い勝手にもこだわる
木目調や金属調加飾によって高級サルーンに匹敵する上質感を演出しているが多人数乗車を想定したミニバンらしい機能や装備も充実している。とくに後席の快適性を高めるリヤエアコンやサンシェード、豊富な収納スペースなど使い勝手のいい装備が満載だ。
シートヒーターは左右前席と2/3列目のエグゼクティブパワーシートに装備される(写真のスイッチは前席用)。
事故や急病時に、ボタンでオペレーターに通報(またはエアバッグ作動で自動通報)できるヘルプネットにも対応する。
照明&スライドカバー付きバニティミラーを前席左右のサンバイザーに装備する。プレミアムには後席用も設定。
ダッシュボード中央下側に電源ソケットを配置している。アクセサリーソケットは120Wに対応。
ダッシュボード右下にオートハイビーム、スライドドア、DPF(排ガス浄化装置)の再生燃焼用スイッチを配置する。
スマートキーではドアロック操作のほか、パワースライドドアのウェルカム/予約ロック機能の設定も行える。
後席乗員の快適性を高める機能装備やアイテムを数多く搭載している。ルーフにはリヤオートエアコンの操作パネル、ナノイー噴出口、読書灯、さらには後席用バニティミラーも備える(プレミアム)。
格納式サンシェードはスライドドアウインドウとリヤクォーターウインドウに装備。充電可能なUSB端子はセンターコンソール後方および左右のリヤクォータートリムに2個ずつ配置する。
スライドドアトリムとリヤクォータートリムには、サイドカラーイルミネーションを装備する。後席室内を下向きに照らす間接照明で、点灯しても車外からはそれとわからない明るさに設定されている。
運転席またはリヤエアコンパネルの操作スイッチにより、アンバー・クリアブルー・ホワイトの3色の照明を切り替えられるので、気分やそのときの雰囲気に合わせてカスタマイズできる。
室内の広さを活用して、各部に収納スペースが豊富に用意されている。カップホルダーはダッシュボード左右のほか、センターコンソール、ドアポケット、サイドテーブル、2列目シートのアームレスト(プレミアムでは3列目も)、リヤクォータートリムに装備。
小物収納スペースは、グローブボックスのほかダッシュボードのポケット、ドアポケット、リヤクォータートリムなどを装備する。
Seat すべての乗員に特別な移動を提供
グランエースは、5mを超える全長や1.9m超の全幅を生かして実現した広大な室内空間に3列または4列のレザーシートを配置することで6~8人がゆったりと乗車できるよう作り込まれている。各乗員の居住スペースを大きく取ることで、すべての座席で心地いい移動を可能にしている。
前席は全車にパワーシートを装備。運転席は前後スライド/リクライニング角度/シート上下/座面前端上下の8ウェイ調整式で、助手席は前後スライド/リクライニング角度の4ウェイ調整式だ。調整はレバーによりワンタッチで行うことができ、最適なシートポジションに設定できる。
広い室内でゆったりとくつろいで乗車できることがグランエースの最たる魅力と言える。シートはプレミアム、Gともに、全座席が上質なレザーシートとなっている。
プレミアムは3列シートの6人乗りで、左右前席と2列目/3列目がパワーシート。2列目/3列目はオットマンや大型アームレストを備えるエグゼクティブパワーシートだ。8人乗りのGは4列シートとなり、左右前席と2列目は6人乗りと同じで、3列目が手動式のキャプテンシート、4列目がチップアップシートとなる。4列シート仕様では、シートの数が増える分だけ、2列目以降の足もとスペースは小さくなるが、フル乗車でも窮屈に感じない。
■Premium(6人乗り)
6人乗りのプレミアムでは2列目と3列目がエグゼクティブパワーシートとなる。オットマンやフタ付きの大型アームレストを備え、2列目では中央部に折りたたみ式のサイドテーブルも装備する。
3列目は2列目と形状は同じシートだが、2列目よりも左右の間隔を近づけて装着しているため、外側の肩まわりには余裕がある。最後部までスライドさせれば、広大な足もと空間を実現する。
アルファードと同サイズのシートを装着しているが、室内幅が大きい分、横方向のスペースがさらに広くなっている。
後席4座席にオットマンを装備。それぞれを独立してスライドさせることで、さまざまなシートアレンジが可能だ。
エグゼクティブパワーシートの調整スイッチとシートヒーターのスイッチをアームレスト側面に配置している。車内中央部に備わっているので、反対側の席から調整することもできる。
2/3列目のシートスライドは素早く操作するため手動式となっている。3列目以降へのアクセスを容易に行えるようワンタッチで前倒し&スライドできるウォークイン機能も備えている。
エグゼクティブパワーシートの大型アームレストにはカップホルダーを備えている。ガイド付きなので細めの缶やペットボトルにも対応する。後方には小物収納スペースが用意されている。
■G(8人乗り)
8人乗りも、2列目は6人乗りと同じエグゼクティブパワーシートとなる。大型アームレスト、折りたたみ式サイドテーブルを装備。
Gの3列目シートは左右独立式のキャプテンシートとなる。シートの両側に回転式のアームレストが備わる。
3列目シートは、4列目への乗り降りがしやすいように、手動によるレバー調整式となっている。シート外側のスライドレバー、リクライニングレバーでシートポジションの調整を行う。
4列目は6対4分割のチップアップシートとなる。左右独立でスライドできるほか、座面も独立して折りたためる。
Luggage & Accessibility ミニバンに求められる能力も追求
多くのミニバンがそうであるように、車室と荷室がつながっているグランエースに荷物を積載するためには、シートをスライドさせたり倒したりするアレンジが必要だ。
基本的には荷室となる最後部のスペースは、最後列のシートを前方にスライドさせることで拡張が可能だ。6人乗りでは840mm、8人乗りでは650mmの前後スペースを確保できる。ただし、これは最後列をもっとも前側にスライドさせたときのもので、最後列に乗員がいる場合には、もう少しスペースは小さくなる。8人乗りの最後列をチップアップシートにしたのは、少しでもスペースを大きく取るためだ。とはいっても、上下左右にも広い空間があるので、積み方を工夫すれば相当な量の荷物を積載できる。
シートアレンジのパターンとしては、全座席独立でシートスライドが可能。左右席を同じ位置にしたりオフセットさせたりすることで、いろいろな形や大きさの荷物を、乗車人数やどの座席に乗るかなどの条件に応じてアレンジできる。アームレストを装備する豪華仕様のパワーシートはフルフラット化などはできないが、そもそもフロアの面積が大きいので、アレンジパターンにかかわらず、リヤの各座席の足もとに荷物を置くなど、積み方を工夫することができる。
※寸法は編集部による実測値です
■Premium(6人乗り)
6人乗りでは3列目シートのスライドによって荷室容積が大きく変わるが、後席4名がゆとりのあるシートポジションを取っても、最後部にはスーツケースをタテに4つ積載できる。
3列目への乗り降りは、2列目を前倒しするか、2列目中央をウォークスルーで移動する。左右どちらのドアからも同じようにアクセスできる。シート背面には後ろから操作できるレバーが備わる。
3列目はシート側面のレバー操作だけでなく、ラゲッジルーム側からもスライド操作が行える。左右それぞれスライドできるので、乗員の人数、荷物の種類や大きさに応じたアレンジが可能だ。
■G(8人乗り)
8人乗りでは、2列目/3列目/4列目のアレンジにより、必要なラゲッジスペースを確保する。3列のシートはそれぞれ左右独立でスライドできるので用途に応じてアレンジできる。※寸法は編集部による実測値です
4列目は、座面を跳ね上げて前後長をコンパクトにできるチップアップシートを採用。跳ね上げたままでスライドさせることもできるので、荷物の大きさや量などに応じて使い分けるといいだろう。
4列目シートの後方には、スライド用レバーとチップアップ用レバーが備わる。スライドとチップアップは、6対4分割式で左右独立して操作可能。レバー操作でロックが解除される仕組みだ。
全高が2m近いので、バックドアをオープンするとかなり高い位置になるが、閉じる際にはバックドアトリムのストラップを使えば楽に操作できる。ストラップの取り付け位置は、ミニバンとしては平均的な高さだ。※寸法は編集部による実測値です
フロントドアはドアパネルの横幅が小さいので、最小限の開閉操作で乗り降りができる。スライドドアは左右開口幅が広く高さも十分。
スライドドアからの乗降するときに使うステップは左右幅が広く、足を載せやすい形状だ。ウェルカムランプも備わる。
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