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トヨタ・カローラ・クロスZ(ハイブリッド)試乗 SUV感<使い勝手でコスパ良し

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トヨタ・カローラ・クロスZ(ハイブリッド)試乗 SUV感<使い勝手でコスパ良し

SUV濃度は薄め……

トヨタのSUVラインナップではヤリス・クロスとRAV4の中間に位置するモデルがカローラ・クロスである。

【画像】「コスパ」のSUVはどんな感じ?【カローラ・クロスを詳しく見る】 全128枚

一方、悪路対応やアウトドアレジャー適性、いわばSUV濃度で図るならトヨタSUVでは薄め。

ヤリス・クロスとRAV4の中間にあってもコンセプトや適応用途を考慮するならヤリス・クロスの上級仕様と捉えてもいいだろう。

他のカローラ系同様にGA-Cプラットフォームを採用しているが、2WD(FF)車のリアサスには同系唯一となるトーションビーム式を採用。

また、4WDはハイブリッド車のみに設定され、出力控え目の誘導モーターを用いたE-Fourで、性能的には生活四駆に近い。

他のカローラ系対比あるいはRAV4を基準に据えるとハードウェア面ではダウングレードした印象が拭えないのだが、ここはカローラ・クロスを評価するうえで重要である。

開発要点の1つがカローラのバリエーションとして求めやすい価格設定にある。

悪路踏破性の向上やプレミアムを求めれば価格がカローラ系よりも1クラス上にシフトするのは必須だろう。

要するに「先ずコスパありき」のモデルなのだ。

ならばコスパの「パ」は? となるが、それが悪路踏破性でないのは前述のとおり。

「パ」はもう1つのSUVの特徴にある。

カローラ車格で生まれたゆとり

車体寸法をカローラ・ツーリングと比較すると全長はカローラ・ツーリングとほぼ等しく、全幅は80mm広い。全高は160mm大きい。

サイズの違いの多くはSUVスタイルの影響と考えてもいいだろう。

全幅が大きいのはワイドトレッドとフェンダーによるが、高い全高はキャビンの拡大に影響し、室内高が100mm拡大している。

室内長と室内幅は同等だが、前後上下の絞り込みを抑えたキャビン周りのデザインもあって、室内はカローラ・ツーリングよりもひとまわり以上大きく感じられる。

高くなったアイポイントもあって見晴らしも向上。

ミニバンほどのゆとりはないにしても、家族や友人と和気あいあいと過ごせる室内に仕上がっている。

また、荷室のフロアパネルはパワートレインと駆動方式別に設計を変更し、荷室容量の拡大にも積極的。

収納や後席機能にハイト系軽乗用ほどの工夫はないにしても、最近のコンパクトカーではかなりキャビン機能にこだわった設計である。

リアオーバーハングが短く、一昔前ならショートワゴンにも分類できる昨今のステーションワゴンのキャビンスペースや積載性に不満のユーザーにとってSUVパッケージングがもたらすキャビンは魅力的。

カローラ・クロスに限らず、ほとんどのコンパクトSUVが同じような実用面のメリットを備えるが、カローラの車格で展開したことがゆとりを生み出している。

気になるサスの出来栄えは?

スペックを一読して先ず引っ掛かったのが2WD車のリアサス。

軽量小型のFF車ならトーションビームは常套だが、カローラ系は2WDも4WDもダブルウイッシュボーンを採用。

ところがカローラ・クロスはトーションビーム。サス形式を見ると大きなヤリス・クロスの印象を持たれても仕方ないだろう。

正直いって期待薄で試乗に臨んだのだが、予想を裏切る。

ダブルウイッシュボーン以上とはいわないが、よく似た乗り味に仕上がっていた。

段差乗り越えなどの突き上げに厳しいのはダブルウイッシュボーンに及ばないが、トーションビームとしては比較的衝撃が抑えられている。

うねり通過での沈み込みストロークの使い方は凡庸なトーションビームにはないしなやかさがあり、全体的に穏やかな乗り心地を示す。

ロールなどの姿勢変化はやや大きめ。高めの重心を硬さでねじ伏せるのではなく往なしで治めていく感じだ。

操縦性の精度感あるいは切れ味とか軽快感を望めば、物足りなさを覚えるかもしれないが、気負わず何気なく操れる感覚はファミリー&レジャー向けのワゴンとして選ぶには似合いだ。

SUVの燃費ハンデはない

パワートレインは他のカローラ系やプリウスで馴染みの1.8Lスプリット式ハイブリッド。

ダイナミックフォースエンジンを採用する最新型と比較すれば旧世代型の印象は否めないが、搭載する2ZR-FXEは急速燃焼こそ採用していないが大量クールドEGRなどの熱効率向上技術を採用し、技術的にはダイナミックフォースエンジンの母体と考えてもいい。

ドライブフィールもトヨタの最新ハイブリッド車と比較して遜色はない。

回転数の急激な変化を抑えたエンジン制御や踏み増し直後のトルクを持ち上げ気味にした電動感覚など、シリーズ式の運転感覚を部分的に取り入れた最新仕様にアップデートされた感じ。

プリウスより半世代くらい進化しているように思えた。

注目は燃費である。

WLTC総合モードで26.2km/L。0.6km/Lながら17インチホイールを履くカローラ・ツーリングより勝っているのだ。

ちなみにRAV4ハイブリッドは21.4km/L(S 2WD)、ヤリス・クロス・ハイブリッドは27.8km/L(Z 2WD)である。

燃費1番で選ぶタイプとは言い難いが、SUVの燃費ハンデは無視できる。

燃費面でもしっかりカローラファミリーなのだ。

使い勝手良し コスパは?

ハイブリッドSで比較するとカローラ・クロスはカローラ・ツーリングの9.9万円高、カローラ・セダンの17.6万円高。

ワゴン/セダンなら1グレード上のモデルを選択できる見当になるが、同車格の範疇に収まっている。

カローラ・クロスのアドバンテージはカローラ系では最も広いキャビンと穏やかな乗り味。

適応用途の拡がりを考えればファミリー&レジャー用途では価格差以上に魅力的である。

視点を変えてRAV4のハイブリッドX 2WDと同等装備で価格差は60万円以上。

1クラス以上も上のパワートレーンを考えれば納得だが、キャビンユーティリティを基本にワゴンとして使うなら適応用途に大きな隔たりはない。

また、日常用途の比率が高まるほどカローラ・クロスに有利になる。

SUVをSUVらしく使いたいユーザーにはすすめにくいモデルだが、SUV云々にこだわらず使い勝手のいいモデルを求めるならカローラ・クロスはけっこうはまるモデル。

ポストワゴン/セダンに位置付けてもいいし、スポーティな乗り味よりも穏やかな運転感覚を求める向きにも適している。

高い悪路対応力を求めないファミリー&レジャー用途向けの最有力候補車なのだ。

トヨタ・カローラ・クロスZ(ハイブリッド)のスペック

価格:299万円
全長:4490mm
全幅:1825mm
全高:1620mm
ホイールベース:2640mm
車両重量:1410kg
パワートレイン:直列4気筒1797cc+モーター
最高出力(エンジン):98ps/5200rpm
最大トルク(エンジン):14.5kg-m/3600rpm
最高出力(モーター):72ps
最大トルク(モーター):16.6kg-m
システム出力:122ps
ギアボックス:電気式無段変速機

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みんなのコメント

6件
  • 最近よく見かけるようになった。
    車格的にもXVより一回り大きい感じ。
    4WD性能など問わなかったら、コスパも良く良いと思う。
  • TNGAデサイン
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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