フランスGPとして復活したポール・リカール。この地で行うF1のレースは28年ぶりとなるが、じつはほかのカテゴリーやテストでは使用されており、ここを走った経験を持っているドライバーは少なくない。そこで、テストでポール・リカールを走行したことがあるF2ドライバーの牧野任祐に、コースを解説してもらった。
90年までのポール・リカールは右コーナーだったが、新しいポール・リカールはさまざまなレイアウトがある中で最長のパターンが採用されたため、1コーナーは左~右と連続するシケインとなっている。
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「ただ、このシケインは上り坂になっているので、出口の2コーナーでアンダーステアが出やすいです」
2本目のストレートエンドには、3~7コーナーの5つのコーナーが連続する。
「まず、今回コースを下見して驚いたのが、3コーナーから5コーナーにかけての再舗装。F2のテストのときにはなかったので、最近舗装されたものだと思います。ただ、その路面がほかのアスファルトと違っていて、サンドペーパーのようにザラザラしていて、F1が走ると問題が起きるかもしれない。タイヤにもダメージが起きるかもしれないし、サーフェスが掘れるかもしれない」
「それと5コーナーがちょっと難しい。テストではまったくクルマが曲がりませんでした。6コーナーはいやらしいコーナーです。全開で行けないけど、次にロングストレートがあるのでできるだけ踏んでいきたいから、ミスしやすい」
7コーナーを立ち上がるとミストラルと呼ばれる1.8kmのロングストレートが待っているが、F1では途中にシケインを設けている。
「シケインといっても、じつはそんなに低速じゃないんです。F2だと普通シケインは2速で曲がるけど、ここは3速。それとストレートが平坦なので、ブレーキングポイントが見えづらい。コーナーまでの距離が書かれている『50m』とか『100m』の看板を頼るしかない」
また牧野はポール・リカールの独特の縁石に要注意だという。
「縁石の高さが内側と外側で違うので、セットアップの違いや、コーナーによって、完全に乗ってもいいところと、半分しか使ってはいけないところが出てくると思う」
「10コーナーは全開で、11コーナーは小さなスプーン。12コーナーは登っていて、まったくクリップが見えない状態で曲がっていく難しいコーナー。14、15コーナーはマシンが左右に振られるので、スナップオーバーが出やすい」
最終コーナーを立ち上がった直後に現れるピットロード入口も「シケイン状になっていて、結構難しい」
コース以外にも、ポール・リカールには気をつけなければならないことがあるという。それはランオフエリアにある青いラインと赤いラインだ。
「この2色のセブラはコースアウトしたマシンを止めるために作られていて、コース上のアスファルトよりもグリップが出るように作られているので、ミスしてコースオフすると、タイヤを痛めてしまう。また同じゼブラでも青色と赤色でグリップが違って、赤色はエクストリームグリップといって、ハイグリップの青色よりもグリップ力が高いんです」
最後にオーバーテイクポイントを聞いてみた。
「抜きどころは1コーナーと8コーナー。3コーナーと10コーナーはまず無理。ただ最終コーナーは真後ろについて走るとダウンフォースが抜けるので、立ち上がりで少し離されて、DRSを使って追いつくだけで精一杯なので、おそらくオーバーテイクは8コーナーだけになるでしょう」
つまり、もしレースが1ストップになると、単調な展開になりかねないというのが、牧野の予想だ。タイヤで厳しくなるのは左フロントだという。いかに左フロントタイヤをいたわることができるのかがポイントになりそうだ。
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