現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > インド乗⽤⾞市場でEVの出荷量が倍増、全体の2%を占めるまで成長

ここから本文です

インド乗⽤⾞市場でEVの出荷量が倍増、全体の2%を占めるまで成長

掲載 19
インド乗⽤⾞市場でEVの出荷量が倍増、全体の2%を占めるまで成長

テクノロジー業界専門調査企業Coutnerpoint Research HK(以下カウンターポイント社)から、2023年のインド乗用車市場における出荷量調査が発表されたので、本稿ではその概要をお伝えする。

インド乗⽤⾞市場におけるEV急成⻑の理由と背景について

7月22日から土日祝のアクアライン上り線でETC時間帯別料金の社会実験を実施

2023 年度インド乗⽤⾞(PV)市場における出荷量は、前年⽐10%成⻑だったが、電気⾃動⾞(EV※)に限ればほぼ倍増しており、PV販売全体の2%を占めるに⾄った。
※本稿ではEVとはバッテリー駆動EV(BEV)を指し、プラグインハイブリッド(PHEV)は含まれない。

インド乗⽤⾞市場におけるEVの急成⻑の背景には複数の要因がある。都市部の消費者の関⼼が⾼まっていること、政府が普及を推進していること、インフラが整備されてきたこと、気候変動への懸念などだ。

充実したラインアップとUberとの戦略的提携により、Tata Motorsはインドにおける2023年EV市場の2/3を超えるシェアを確保している。それでもシェアの⼀部はMahindra&MahindraとBYDに奪われている。

そのMahindra&Mahindraは、乗⽤EVのラインナップがたった1⾞種にも関わらず、2476%の成⻑を記録しており、2023年の最速で成⻑するメーカーとなった。これに次ぐのがBYDとMG Motorになる。

Mahindraの成⻑は、2023年に発売した完全電動SUVのXUV400を積極的にマーケティングしたことによると考えられる。

BYDもインドではe6 MPVとAtto 3 SUVの2⾞種しかEVを販売していないが、2023年は1500%を超える成⻑となった。⾼級⾞カテゴリの⾞種を展開しているにも関わらず、BYDはインドにおけるEVメーカートップ5社に名を連ね、成⻑するEV市場の中で成功していることを⽰したのだ。

そんなBYDが最近発売したSealによって、同社の市場でのプレゼンスと競争⼒がさらに⾼まるとみられ、インドのEV市場に⼤きな動きを起こす可能性がある。

<図1: インド乗⽤⾞市場におけるEVブランド市場シェア>

出典:カウンターポイント社India Passenger Vehicle Model Sales Tracker

今後の⾒通し~EVがPV販売の約1/3を占める可能性

カウンターポイント社が提供するIndia Passenger Vehicle Model Sales Tracker によると、インド乗⽤⾞市場におけるEV販売は2024年に66%伸び、PV販売全体の4%を占めると予想される。

さらに2030年には、EVはインドにおけるPV販売全体のほぼ1/3を占めるまでに成⻑する可能性がある。

Maruti SuzukiのEV市場への参⼊により、Tataの独占状態に変化が起きる可能性も考えられる。さらにVinFastによるインドのTamil Nadu州での⼯場建設にみられるように、国内でのEV製造への関⼼や投資が⾼まっている。

これは、単に競争が激しくなることを意味するのみならず、⾃動⾞産業がサステナブルでエコフレンドリーな技術に進化していくことの表れと考えられる。

サプライチェーンの充実に関して、カウンターポイント社アソシエイトディレクターLiz Lee⽒は、次のように述べている。

「インドのEV市場は、急成⻑への変曲点にある。Ola、Reliance New Energy、ACC Energy Storageなどの主要プレイヤーが台頭してEV⽤電池の製造能⼒が⾼まったことに加え、政府のMake in India政策(2014年から政府が進める、インド国内での製造を促進する⼀連の政策)の後押しもあり、製造コストが下がりEV販売が加速した。

政府による政策、例えば、PLI(Product Linked Incentive/インド国内で製造された商品について、売上増加分の数%のインセンティブが政府から⽀給される)のスキームをAdvanced ChemistryCells(従来のリチウムイオン電池より⾼い性能を⽬指す様々な技術の総称。全固体電池もそのひとつ。)に適⽤したり、35,000⽶ドルを超える輸⼊EV⾞への関税を15%に引き下げたりしたことが、ゲームチェンジャーになっている。

これはTeslaに⾨⼾を開くだけではない。インドがEVや部品メーカーのエコシステムのために巨額投資を受け⼊れる準備が整ったことの表れでもある。つまり、インドが世界のEV市場における主要プレイヤーになるべく動き出したことの明確なサインと⾔えるだろう」

<図2: インド乗⽤⾞市場におけるEV市場シェア⽐較・2023年と2030年予測>

出典:カウンターポイント社India Passenger Vehicle Model Sales Tracker

インド乗⽤⾞市場における今後の⾒通しに関して、カウンターポイント社調査担当バイスプレジデントNeilShah⽒は、次のようにコメントしている。

「EVのエコシステムはまだ黎明期だ。インフラ整備が進み消費者の関⼼も⾼まれば、Teslaや例えばXiaomiのような急成⻑している中国メーカーが参⼊し、世界第4位のPV市場であるインドにおいてもイノベーションや競争が刺激されるだろう。

それだけではない。既存の⾃動⾞産業のエコシステムは成熟しているが、スマートカーを⽣産するためのエコシステムにとってもインドは魅⼒的だ。このエコシステムには、電池も、インフォテイメントも、ADAS/ADS向けセンサーの⼀式も含まれる。

インド国内での消費だけでなく、技術のR&Dやインドからの製品輸出という⾯でも、広範なバリューチェーン上の企業がインド市場を重視するだろう。

例えば、最先端の⾃動⾞⽤チップを製造するQualcommやMediaTek、安全関連のソフトを提供するBlackBerry、MIHコンソーシアム(⾞台などのハードから制御ソフトに⾄るまで、各社が得意な技術を提供して構成する、EV開発のオープンプラットフォーム)による設計・製造によってインド市場への参⼊の敷居を低くしたFoxconnなどが挙げられる」

調査概要
今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独⾃の調査⽅法で実施したものだ。調査時期は2023年1⽉1⽇~2023年12⽉31⽇。

関連情報(英語)
https://www.counterpointresearch.com/

構成/清水眞希

関連タグ

こんな記事も読まれています

5兆円超えって凄すぎ!! 営業利益5兆3529億円! トヨタが日本企業1位に輝いた理由はハイブリッドだった!?
5兆円超えって凄すぎ!! 営業利益5兆3529億円! トヨタが日本企業1位に輝いた理由はハイブリッドだった!?
ベストカーWeb
道路に書かれた「謎の▽」 意味はナニ? 大事な意味だけど…意外と忘れがち? 「白い逆三角」の正体とは
道路に書かれた「謎の▽」 意味はナニ? 大事な意味だけど…意外と忘れがち? 「白い逆三角」の正体とは
くるまのニュース
[旧型アルファード]新車時は450万円前後だったよね? 中古でも450万円超えってマジ!? 今後はどうなるのよ!!!!
[旧型アルファード]新車時は450万円前後だったよね? 中古でも450万円超えってマジ!? 今後はどうなるのよ!!!!
ベストカーWeb
ハチロク乗りもGR86乗りもすれ違ったら敬礼必至! 偉大なるご先祖「TE27」のレビン&トレノが胸熱すぎるクルマだった
ハチロク乗りもGR86乗りもすれ違ったら敬礼必至! 偉大なるご先祖「TE27」のレビン&トレノが胸熱すぎるクルマだった
WEB CARTOP
最強の「フォルクスワーゲン・ゴルフ」がワールドプレミア! 新型「R」「Rヴァリアント」発売へ
最強の「フォルクスワーゲン・ゴルフ」がワールドプレミア! 新型「R」「Rヴァリアント」発売へ
LE VOLANT CARSMEET WEB
日本最大級のモーターショー「ジャパンモビリティショー」が2024年も開催決定! 10月15日~18日に幕張メッセで「CEATEC」と併催。
日本最大級のモーターショー「ジャパンモビリティショー」が2024年も開催決定! 10月15日~18日に幕張メッセで「CEATEC」と併催。
くるくら
ヤマハ『MT-03 ABS』『MT-25 ABS』2024年モデルを発表。新色ダークグレーを採用
ヤマハ『MT-03 ABS』『MT-25 ABS』2024年モデルを発表。新色ダークグレーを採用
AUTOSPORT web
【ロイヤルエンフィールド】免許取得&新車購入で最大5万5,000円をサポートする「ライセンスサポートキャンペーン2024」を7/1より開催!
【ロイヤルエンフィールド】免許取得&新車購入で最大5万5,000円をサポートする「ライセンスサポートキャンペーン2024」を7/1より開催!
バイクブロス
大気汚染で年間4000人死亡! そんな渋滞ロンドンに登場した「信号システム」の驚きパフォーマンスとは
大気汚染で年間4000人死亡! そんな渋滞ロンドンに登場した「信号システム」の驚きパフォーマンスとは
Merkmal
約250万円! ホンダ 新型「コンパクト”ミニバン”」発表! 8年ぶり全面刷新の「フリード」どんなクルマ?
約250万円! ホンダ 新型「コンパクト”ミニバン”」発表! 8年ぶり全面刷新の「フリード」どんなクルマ?
くるまのニュース
これでF1のトラックリミット問題は解決する? レッドブルリンクで新たな対策が登場
これでF1のトラックリミット問題は解決する? レッドブルリンクで新たな対策が登場
motorsport.com 日本版
ホンダの本命、「N-VAN」がカワイイEVになって登場! 商用から個人ユースまで使える4タイプをラインナップ。
ホンダの本命、「N-VAN」がカワイイEVになって登場! 商用から個人ユースまで使える4タイプをラインナップ。
くるくら
ホンダ新型「“夜型”SUV」公開! ブラック感高めた「スタイリッシュモデル」! めちゃお買い得な「CR-V」台湾に登場
ホンダ新型「“夜型”SUV」公開! ブラック感高めた「スタイリッシュモデル」! めちゃお買い得な「CR-V」台湾に登場
くるまのニュース
どちら側が一般的? バイクの給油、左右どっちの給油レーンに入るのが良い?
どちら側が一般的? バイクの給油、左右どっちの給油レーンに入るのが良い?
バイクのニュース
BMW1シリーズ新型に頂点、300馬力の「M135」…英イベントに出展へ
BMW1シリーズ新型に頂点、300馬力の「M135」…英イベントに出展へ
レスポンス
走りがマジでスポーティな[プリウス]!! e-POWERは”ひと踏み惚れ”の力あり!? 燃費も走りも超いいクルマ3選
走りがマジでスポーティな[プリウス]!! e-POWERは”ひと踏み惚れ”の力あり!? 燃費も走りも超いいクルマ3選
ベストカーWeb
国内最大級のアウトドアイベント、東京アウトドアショー2024が開催
国内最大級のアウトドアイベント、東京アウトドアショー2024が開催
月刊自家用車WEB
【MotoGP】ドゥカティは移籍が決まっても”フェア”に扱うはず……マルティン「僕はドゥカティのためにレースしている」
【MotoGP】ドゥカティは移籍が決まっても”フェア”に扱うはず……マルティン「僕はドゥカティのためにレースしている」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

19件
  • ********
    冷蔵庫の普及率約33%
    エアコンの普及率は4.50%
    洗濯機の普及率は13%

    EVが2%ならそんなものでしょうね
    どんなに普及しても数年後はEV墓場が増えて
    いずれは消えるでしょう
  • ******
    インドに赴任してた経験があるが、大都市ですら停電が発生する
    BEVが普及するとは思えないな
    地方都市に充電スタンドなんて設置したらすぐ盗難されるだろうな
    まあ、倍増と言っても2%、誤差の範疇
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村