昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は、昭和53年発売の日産 フェアレディZだ。
輸出仕様と同じ2.8Lエンジンを搭載したハイウエイクルーザー
日産 フェアレディZ 280Z-T 2by2:昭和53年(1978年)8月発売
日本で誕生したスポーツカーを語る時に、けっして忘れてはならない存在がフェアレディZだ。
昭和53年(1978年)の8月にフルモデルチェンジを受けてデビューしたこのモデルは、フェアレディZとしては2代目となるもの。1980年代を象徴するスポーツカーをコンセプトに開発されたS130型フェアレディZの登場は、日本のみならず北米などの海外市場でも極めて大きな話題となった。
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すでに北米市場を中心に大成功を収めていたフェアレディZのフルモデルチェンジで最も重要だったのは、従来のイメージを色濃く継承することで、それは一新されたスタイリングにも的確に表れていた。
だが、それはあくまでデザインコンセプトに限っての話。実際にはボディはもちろんのこと、メカニズム面でも従来のモデルとは大きく異なる構成をしていたことは当然だ。
ロングノーズ・ショートデッキという言葉に象徴される初代フェアレディZのスタイリングは、空力的にも相当な性能を発揮するものであった。それを受け継いだ2代目も空力特性の追求という点では、当時の日本製スポーツカーをリードする存在だった。
実際、当時発表されたCd値は0.385。これは従来型の0.467を大幅に凌ぐものだ。さらに従来型のフェアレディZで指摘されていた高速走行時のノーズリフト現象も大幅に改善されており、フロント側の揚力係数は従来型の0.41から一気に0.14にまで低減している。
搭載されたエンジンは、2.8Lと2Lの直列6気筒SOHC。注目すべきはやはり2.8Lユニットの新設定だ。このL28E型と呼ばれた直6ユニットは、以前から輸出仕様のフェアレディZに搭載され、北米を中心に大人気を博したものだった。
L28E型の2.8L 直列6気筒エンジンが発生した最高出力は145ps/5200rpm。並行して販売された2Lモデルが130ps/6000rpmと、ほぼ同等のパワースペックを発揮していたことから、数字的にはさほど大きな魅力は感じなかったのも事実だったが、やはり大排気量エンジンらしいトルクフルな走りは見逃せないポイントだった。
事実、両車の最大トルクを比較してみると、まず2Lユニットは17.0kgm/4000rpmであるのに対し、2.8Lユニットは実に23.0kgm/4000rpmという値。その差は歴然としていた。トランスミッションは、5速MTと3速ATが設定されている。
ボディはシートアレンジの違いによって2シーターと2by2の2種類が用意されたが、最もスポーティな仕様となったのは、もちろん2.8Lユニット+5速MT+2シーターという組み合わせである。
ちなみに当時メーカーが発表した加速データによれば、この仕様での0→400m加速は16.6秒。日本国内で販売されたモデルには180km/hで作動する燃料カットによるスピードリミッターが備えられるが、輸出モデルでは軽く200km/hをオーバーする最高速を可能としていた。
新時代への発展を遂げたフェアレディZで最も大きな改革が行われた部分として忘れてはならないのは、やはりリアサスペンションをはじめとするシャシまわりだろう。リアサスペンションは従来のストラット式独立懸架からセミトレーリングアーム式へと変更され、これは運動性能の向上とともに、フェアレディZに快適で重厚な乗り心地を与えることに大きく貢献した。
ブレーキもフロントにベンチレーテッドディスクを備える4輪ディスクに変更されている。さらにオプションでエンジン回転数感応型のパワーステアリングも設定され、フェアレディZは単なるスポーツカーから、常に快適なクルージングが可能な高速クルーザーとしての性格を強めた。ワンランク上のスポーツモデルへと発展したのである。
フェアレディZは、まさにこの時代を象徴するジャパニーズスポーツだった。
日産 フェアレディZ 280Z-T 2by2 主要諸元
●全長×全幅×全高:4620×1690×1305mm
●ホイールベース:2520mm
●重量:1305kg
●エンジン型式・種類:L28E型・直6 SOHC
●排気量:2753cc
●最高出力:145ps/5200rpm
●最大トルク:23.0kgm/4000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/70HR14
●価格:237万3000円
[ アルバム : フェアレディZ(2代目) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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