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電動最終年で苦渋の決断。残る3戦を延期し「代替案を検討」来季の水素にリソース集中か/エクストリームE

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電動最終年で苦渋の決断。残る3戦を延期し「代替案を検討」来季の水素にリソース集中か/エクストリームE

 来る9月14日~15日、続く21日~22日と、イタリア・サルディニア島での変則ダブルヘッダーに加え、シーズン最終戦を初開催のアリゾナ州フェニックスで実施する計画だったワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』だが、ここへ来て当該の3戦を無期限で延期するという苦渋の決断を下すことに。

 来季より世界初の”水素燃料電池スタックを搭載したレーシングシリーズ”として生まれ変わる『エクストリームH』へリソースを集中するための措置とみられるが、電動最終年のシーズンを終えるべく、主催側は「代替案を検討中」だとしている。

水素燃料電池搭載『パイオニア25』が初の公開テスト実施「ハンドリングも非常に良好」/エクストリームH

 前戦スコットランドの会期中にて、イギリスはロンドンで世界初公開となった新たな”ハイドロジェン・オフローダー”こと『パイオニア25』だが、その新型モデルの開発作業を進めると同時に、完全バッテリー式の『オデッセイ21』を使用したエクストリームEの最終年度も継続開催していた。

 しかし、この2024年度は当初よりフューエルセルの本格デビューに先立つ柔軟な移行シーズンとして位置付けられており、双方を運営するために必要な膨大なリソースにより、シリーズは戦略的に方針転換し、残る資源をエクストリームHに集中させることを決めた。

「進化の年である今季、我々は皆、エクストリームEの結論を見つけたいと思っている。そうすれば、始めたことを終わらせることができ、同時にエクストリームHの開発に最大限のリソースを投入することができる」と語るのは、おなじみシリーズ創設者兼CEOのアレハンドロ・アガグ。

「改めて、イタリア自動車クラブ(ACI)、サルディニア州、イタリア軍、そしてフェニックスのオーガナイザーチームに、ここ数週間のすべてのサポートと理解に感謝し、将来のコラボレーションへの扉は開いていることを強調する」と続けたアガグ。

■初の水素レースカーがFIAのクラッシュテストに合格
「我々は今後も、最終シーズンのスケジュールを満たすべく、代替ソリューションとその妥結のために、チームや関係者と緊密に協力していくつもりだ」

 こうした予期せぬ中断にも関わらず、参戦各チームが積み重ねてきた戦績や、そのチャンピオンシップの結末がどのようなものになるにせよ、来季のエクストリームH開幕には「何の影響もない」と主張する。

「もちろんエクストリームHへの移行を進めるなかで、我々は世界初の水素レースシリーズになることに全力で取り組んでいる。イノベーションへの投資と進歩は順調だ。業界が水素の可能性に目を向け続けるにつれ、興奮は日々高まっている」と続けたアガグ。

 初代と同じくスパーク・レーシング・テクノロジーズ社製の車体を持つパイオニア25は、先々月にもサルディニアでのテストを終え、側面衝突と横転の安全性を中心とした「FIAのクラッシュテストに合格した初の水素駆動レーシングカー」の称号を得ることに。さらに今後の数週間はフランスでのテストも予定されているという。

「スコットランド(7月の初公開シェイクダウンテスト)以来の最大のニュースは、シャシーに義務付けられたFIAクラッシュテストを実施し合格したことだ」と、北米のモータースポーツ専門サイト『RACER.com』に語ったのは、シリーズのテクニカルディレクターを務めるマーク・グレイン。

「どちらの場合も……側面衝突と横転の安全性を中心としたいずれの方向でも、衝突テストが見事に合格したことをうれしく思っている。今後もFIAの最終テストがいくつか残っているが、これらふたつが主要なテストだった。これは大きなトピックになるはずだ」と続けるグレイン。

「テストはとにかく私を緊張させたよ(笑)。クラッシュテストはどんなレースカテゴリーであれ、誰もが緊張するものだ。もちろんその目的はクルマを安全にするためであり、これを過小評価すべきではない。なにしろ、これはFIAの基準に合格した最初の水素レースカーなんだからね!」

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