2021年、ついに待望のフルモデルチェンジで発売された三代目「隼(ハヤブサ)」。でも、名実共に「最強最速」のバイクって、やっぱり上手い人にしか乗りこなせないのでしょうか? 今回は新型「隼(ハヤブサ)」のライディングポジションや取り回しだけに焦点を絞ってレビューします。
<前回からの続きです>
【原付二種スクーター比較】ホンダ「PCX」・ヤマハ「NMAX」・スズキ「スウィッシュ」
まずは新型「隼」の押し引きや取り回しから検証
ご存知の通り「隼」はスズキが誇るフラッグシップモデル。
その唯一無二の存在感が故に、筆者の私(岩瀬)のように「隼=取り扱いが大変」と思っているライダーは少なくないかもしれません。
しかし、実際に「隼」を扱ってみると、いくつもの間違った思い込みがあったのです。
隼の思い込み(1)/デカくて重くて大変じゃないの?
「意外なほど普通に取り回しができる!」
まず、その見た目と大柄なイメージも含め、「隼」って駐輪場などから引き出すだけでも「重くて大変なんだろうなぁ……」と思い込んでいました。
車両重量は先代モデルより2kg軽くなったとは言っても264kgもあり、大型バイクとしても結構重たい部類に入ります。
しかし、車体の引き起こしや、前後の押し引きは不思議なくらいあまり重さを感じさせない作りになっていました。
バイクというのは不思議なもので、押し引きや取り回しのしやすさって単純に重量だけでは判断がつかないことが多く、4気筒の大型バイクでも見た目以上に軽さを感じる車種もあります。
新型「隼」もまさにそんな感じ。
重心が低く感じられるのはもちろん、前後の重量配分が50:50みたいな車体のバランスが均等になっている印象なんです。
しかも新型「隼」は引き起こしが意外なほど簡単で、見た目以上にコンパクトに感じられるんです。
また、バイクに跨ったまま両足を着いてバックするのも抵抗なくできました。
ライダーの体格や車種にもよりますが、一般的な大型バイクだと、これって結構気を使うことがありますが、隼の足つき性の良さと相まって両足だけでスムーズに動かすことができます。
もちろん、小排気量のバイクのような軽さはありませんが、日常的に乗れる普通のバイクといったレベルで取り扱うことができるんです。
さらに扱いやすかったのは、ライダーが跨った状態からサイドスタンドがすごく出しやすかったこと。
もちろん車種にもよるけれど、一般的な大型バイクだと、足元を覗き込みながらサイドスタンドの位置を確認しつつ、ステップを避けながらスタンドを引っ張り出すことが多いかと思います。
でも新型「隼」の場合、極端に言えば、目視しなくてもサイドスタンドが出せるほど自然で引き出しやすい位置にあるので、車体を停車させるのが全く苦にならないほどなんです。
隼の思い込み(2)/前傾姿勢、きついんでしょ?
「不思議とリラックスできるライディングポジション」
跨ってみるまで「キツそうだなぁ」と思い込んでいましたが、新型「隼」はなんというか、自然に前傾姿勢を保てます。
これは長時間乗っても疲れにくく、さらにスポーティで快適なライディングポジションが保てるように徹底的に研究されているのでしょう。
セパレートのハンドル位置が先代モデルより20mm手前(ライダー寄り)になったことで、手首やハンドルを持つ腕にチカラが入らない姿勢を保つことができます。
足を置くステップ位置がややバックステップになっているので、脚の曲がり具合は一般的なフルカウルスポーツと同じくらいの印象でしたが、一番の違いはシート形状。
ロングツーリングも考慮されているので、一般的なスポーツバイクに比べるとシート形状が水平に近くらいフラットになっています。
(下に続きます)
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このフラットなシート形状のおかげで、身体が前方にズレてくることが軽減されるので、リラックスして跨ることができ、上半身に余計なチカラが入りにくいようになっているんだと思います。
そして、先にも言いましたけど、何より意外だったのは新型「隼」の足つき性の良さ。
シート高は800mmと数値でも低めですが、シートの前方が絞られていることもあり、数値以上に足が着きやすいんです。
172cmのライダーが両足で跨るとカカトが2~3cm程度浮くくらいですが、跨ったままスイッチバックができるほど不安なく足を着くことができます。
新型「隼」は想像以上に扱いやすく、その大きさや重量からは想像できないほど、とてもフレンドリーなバイクでした。
バイクだけに限った話ではありませんが、なんでも「思い込み」だけで敬遠するのはよくないものですね…。
さて次回は、走行性能についての「思い違い」を解説します!
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