3月14~16日、2025年MotoGP第2戦アルゼンチンGPがアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドで行われた。ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)は、予選およびスプリントと決勝全てにおいてホンダ移籍後のベストリザルトを更新する大健闘な週末を送った。
ドゥカティからホンダに移籍し、2シーズン目を迎えるザルコ。初年度となった2024年は、コンセッション(優遇措置)を駆使してもなおホンダ4台が苦戦している状況だった。その状況下でもザルコは中盤戦以降に5度の予選Q2進出、20戦中14戦においてポイントを獲得するなど時折光る速さを見せていた。
小椋藍、2戦連続トップ10入りもまさかの失格「レースには満足だが、残念でならない」/第2戦アルゼンチンGP
ホンダは今季もセッション(優遇措置)を駆使して、一刻も早く現状を打破するためにオフシーズン中に幾度となくプライベートおよび公式テストを経て2025年シーズンへと臨んでいる。その成果は開幕戦タイGPでも目に見え始め、ザルコとワークスチームのジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)がダイレクトでのQ2進出を獲得。さらにザルコはスプリントはポイント獲得にあと一歩まで迫る10番手、決勝ではホンダ移籍後のベストリザルトを更新する7位でフィニッシュした。
この結果はザルコのモチベーションアップにも繋がったのだろう。そんな彼は今回の第2戦アルゼンチンGPで初日のフリー走行1回目では、終盤までリザルトのトップを独占。ホンダ陣営の中でも飛び抜けた速さを見せ、プラクティスでダイレクトQ2進出を手にすると、予選ではポールポジションのマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)から0.288秒差の3番手を獲得した。
ザルコにとっては、2024年第15戦インドネシアGPでの7番手というベストリザルトを大幅に更新し、さらにホンダにとっては2023年第6戦イタリアGP以来の通算500回目となるフロントロウスタートとなった。これにはザルコも「予選3番手を獲得できてとても嬉しいよ。これで表彰台がとても現実的になってきた」と嬉しさも口にしていた。
表彰台も見据える位置なだけに満を持して挑んだスプリントは、序盤に苦戦を強いられてしまい順位を落としたものの他車をオーバーテイクし順位を挽回。終盤にはトップ3の走りを見つつ、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)への追跡劇も披露し、4位でフィニッシュした。わずかに表彰台には届かなかったが、他車をオーバーテイクできるだけの戦闘力がホンダRC213Vにあったことに嬉しさを滲ませていた。
さらに日曜日の決勝レースでは、好スタートを決め2周目に一時3番手に姿を現す場面も見られたが、バニャイアのペースには少し及ばず3番手を争う集団の中でバトルを展開。その後5番手まで順位を下げてしまったが、うまくタイヤマネジメントしつつ終盤までポジションをキープしていた。終盤には激闘の末にラスト2周で先行を許してしまい、最終的に6位で終えた。
表彰台を目指していただけに、ザルコにとってはやや悔しさが残る結果となったが、予選の一発の速さとレースにおける戦闘力を見せ、ホンダの進歩を証明できたことはポジティブなことだろう。そんな彼は決勝後に次のように振り返った。
「表彰台まで届かなかったけれど、レースを通して強さをみせることができたと思っているよ。最大限の力を引き出せるようにすべてやりつくしたつもりだから、ライバルたちの速さの理由を見つけるためにデータを見返したいと思う。この週末は夢のようで大きなモチベーションに繋がったし、トンネルの出口の光が見えたような気がしているんだ。支えて力を尽くしてくれたすべての方に感謝しているよ」
長く苦戦が続いていただけに、ザルコとホンダにとって今回の結果はとても嬉しいものになったに違いない。少しずつ復調が期待されているホンダおよびヤマハの日本メーカーだが、2025年シーズン2戦目で始まったばかりということもあり、さらなる躍進が待ち遠しくなりそうだ。久しぶりの表彰台および勝利をホンダに授けるのは、どのライダーだろうか。
[オートスポーツweb 2025年03月19日]
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