可愛らしい雰囲気からは想像できないゴキゲンな走り!
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今や世界的ムーブメントになったと言っても過言ではない一連のレトロ風ブームの先駆けとして、1999年に登場したミラジーノ。
2ボックスボディで、大きなメッキグリルに丸型2灯ヘッドライトから連想されるのはイギリスの名車、ローバーやオースチンなどのオールドミニだが、実はモチーフになっているのは1960年代にダイハツが乗用車&商用車の第一弾として開発、市販化したコンパーノだったりする。
そんなミラジーノが安全性の向上を中心として、2000年にマイナーチェンジ。この時、追加されたのがミニライトスペシャルターボで、イギリスのミニライト製アルミホイールを標準装備したのがトピックだ。EF-DET型660cc直3DOHCターボを搭載し、駆動方式はFFと4WD、ミッションはそれぞれに5速MTと4速ATが用意された。
可愛らしさというかオシャレなイメージを前面に押し出したこの手の軽カーは、普通NAのATで普段乗りにチャラッと乗れれば良いものを、ターボ4WDのMTまで揃えたところにダイハツの「もしかして方向性を見誤ったんじゃないか?」と思うほどのヤル気を感じずにはいられない。
ミラジーノのモデル変遷において、ミニライトスペシャルターボが存在したのは2000年10月以降で、(1)2002年8月までの中期型、(2)2002年8月から2003年8月までの後期型、(3)2002年8月以降の最終型(取材車両はこれに含まれる)と、大きく3つに分けられる。
それぞれ微妙に変更ポイントがあるが、まず注目したいのはエンジンのスペック変更。いずれも同じEF-DET型で最高出力こそ64psで変わらないものの、最終型では最大トルクがそれまでの10.9kgm/3600rpmから10.5kgm/3200rpmにダウン。もっとも、ノーマルで比べた場合、ピークトルク値と同時にその発生回転数も400rpm低くなっているため、中後期型も最終型も中間加速を始めとした実際の動力性能に大差はない。
トップマウント式インタークーラーは、まずフロントグリル開口部から走行風を取り込み、ボンネット裏に設けられたダクトを経由して冷却される。つまり、ボンネットにエアインテークダクトが存在せず、見た目からはターボ車だとわからないのが実にイヤラシイ。
ただし、これは中期型からで、前期型のみインテークダクト付きボンネットを採用というのは、変態グルマ好きにぜひ押えておいてもらいたいポイントだ。
また、メカニズム面で大きく変わったのがフロントブレーキ。中後期型が13インチのベンチレーテッドディスクだったのに対して、最終型ではコストダウンによって12インチのソリッドディスク化が図られている。
取材車両はミニライトスペシャルターボであるにも関わらず、最大のポイントと言えるミニライト製アルミホイールを、オーナーの趣味でRSワタナベRSエイトに交換してしまってるのがまず笑える。
車高が下がっているのはZOOM製のダウンサスが組まれているから。リヤサスは、ホーシングに対して左右2本のトレーリングアームで前後方向の、ラテラルロッドで横方向の位置決めを行う3リンク式リジッドを採用している。
ダイハツの軽自動車は総じてインテリアの質感が高いのがポイント。ダッシュボード周りは基本的にノーマルだが、シフトノブがコペン純正オプションのアルミ製に交換されたり、オートゲージ製3連メーターが追加されたりなど手が加えられている。
独立2眼タイプの140km/h&1万rpmフルスケールメーターを採用するのが最終型の証。スポーティなインテリアを演出するのにひと役買っている。ステアリングコラム上に装着されるのはデフィ製ブースト計だ。聞けば、トラスト製プロフェックイージーで最大ブースト圧を0.7キロから1.0キロにアップしているそう。
ブラック表皮にグレーのパイピングがクラシカルな雰囲気を醸し出すシート。見た目から想像する以上にサポート性は良好だ。
ラゲッジスペースはミニマムだが、開口部が大きいリヤハッチゲートのおかげで使い勝手は良い。リヤシートの背もたれを倒せば、ラゲッジルームの拡大も可能だ。
触媒後からフルで交換されるD-SPORT製マフラーによって、エキゾーストサウンドはアイドリング時から盛大。シフトレバーで1速を選んでスルリとスタートすると、2000~3000rpmで流していても感じられるトルク感。車重800kgちょいと軽量で、超コンパクトなボディサイズも手伝って街中での走りはすごく軽快だ。
しかし、このクルマが本領を発揮するのは4000rpmからだ。グワッと盛り上がるターボ車ならではのパワー感を伴いながら弾けるように加速。8000rpmまで回してシフトアップしていくと、パワーバンドを外すことなく次のギヤにバトンタッチする。いやはや、この鋭い加速感は想像以上。しかも、絶対的パワーはたかが知れてるから、街中でも前方がクリアになった瞬間、何度でもその加速感を味わえるのが素晴らしい。普段乗りでも存分に性能を引き出して楽しめるというのは、まさにこういうクルマのことだ。
■SPECIFICATIONS
車両型式:L710S
全長×全幅×全高:3395×1475×1425mm
ホイールベース:2360mm
トレッド(F/R):1300/1260mm
車両重量:810kg
エンジン型式:EF-DET
エンジン形式:直3DOHCターボ
ボア×ストローク:φ68.0×60.5mm
排気量:659cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:64ps/6400rpm
最大トルク:10.5kgm/3600rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/3リンクリジッド
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ(FR):165/55-14
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
この頃、軽の車って使い勝手ばかりが評価軸になるけど、こんなデザイン優先の車もいい。