145kmのコースを平均速度241km/hで完走
ロータス・カールトンで2000年のネバダ・オープンロード・チャレンジに挑んだ、ジョー・エリス氏に話を聞く。「セルフレベリング・サスペンションで、リアタイヤが直立するよう工夫しています。タイヤ全体で熱を分散させるために」
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「ゴールに向けて120Lの燃料を消費するほどリアが軽くなり、セミトレーリングアーム式のリアはキャンバー角が変化するんです。それを抑えることが目的でした」
「わたしが戦ったクラスの1人は、タイヤがバーストしてポルシェを廃車にしていました。ドクターヘリの近くだったのは幸運でしたね。でも、彼らは砂埃が落ち着く前にエンジンを再始動させていましたが」
2000年の初戦は、ハイウェイ318号線を封鎖した全長90マイル(約145km)のコースを、時速150マイル(約241km/h)の平均速度で完走。1999年式コルベットに次ぐクラス2位だった。
エリスはデフクーラーを完成させるため、その冬のクリスマス休暇をテキサス州で過ごした。「デフフルード交換をしようとしたら、殆どフルードが流れてきませんでした。その時に、クーラーへ風が当たるようファンを追加しています」
「外気の気流が直接当たらないようにしたのは、飛んでくる小石やハエが心配だったから。過去にオープンロード・チャレンジへ挑んだ1人は、ハエが原因でタイヤがパンクしたと話していました。確かに、ハエは沢山飛んでいましたからね」
ゴール手前の横風でセンターラインを逸脱
2000年に時速160マイル(257km/h)を超えられなかったエリスは、2001年に再挑戦。さらに上の記録を目指した。
「レース前の車検では、消化器やロールケージ、燃料タンクなどの安全装備を基準に、目指せる最高速度が決められます。2001年に持ち込んだカールトンは、トップクラスの時速180マイル(約289km/h)クラスへ割り振られました」
「スピード計測地点でその速度を超えて走っても、失格になるんです。走行中、スピードメーターを見ると時速180マイル(約289km/h)を指していて、計測器の判定は時速177マイル(約284km/h)だったようです」
「ゴールが見えたところで横風が吹き、クルマが振られてセンターラインを超えました。ヒヤッとした瞬間でしたね」。相当に勇敢なドライバーとコ・ドライバーは、単にアクセルペダルを踏み倒し、前方へ集中していれば良いわけではない。
岩場の多いナローズと呼ばれる区間は、コース上で難しいセクションの1つだという。「最低速度を下回っても良いのはここだけ。全長12マイル(約19km)のストレートの後なので、コーナーに侵入するとクルマが大きく傾いているように感じるんです」
「ダンパーは加熱し動きも悪くなります。ナローズを過ぎた辺りで、ブラックマークが残っていました。スピンした跡でしょうね」
「145kmを走るのに、30分しかかかりません。ドライバーは集中力を保って、クルマはフルードを保つ。あの地域にいる、大きな七面鳥も厄介です。そこまで高速で走るクルマには慣れていませんから」
アクセル全開なら3速でもホイールスピン
エリスは、2001年のオープンロード・チャレンジも完走。2000年に優勝したシボレー・コルベットと、1937年式フォードF-1ピックアップ・トラックに次ぐ3位だった。
「記録はあまり意識していませんでしたが、追い風が吹いて素晴らしい走りでした。平均では時速164マイル(約264km/h)。翌年のアンリミテッド・クラスへの出場権を得たんです。しかし、9.11同時多発テロが勃発。結婚もして、それが最後となりました」
真っ白なロータス・カールトンはネバダ州を疾走するように、今も英国各地の自動車イベントへ出向いては、その勇姿を多くの人へ披露している。最高速度を追い求めるように、意欲的にエンジンは雄叫びを上げている。
グレートブリテン島の中南部、ターウェストン飛行場にお招きした今回も同様。エリスが滑走路でアクセルペダルを踏み込むと、4速のまま160km/hから猛然と加速していく。
彼によれば、アクセルペダルを全開にすれば3速でもホイールスピンするという。実際、回転数を問わずパワーがみなぎる。
「最も効果的に走るため、オープンロード・チャレンジでは5速で6500rpmを保って走りました。6速はオーバードライブ過ぎて、逆に勢いが落ちます。下り坂では、6速に入れて回転数を下げて温存しながら280km/hを保てましたが、トルクが足りません」
もう一度挑戦したい気持ちが湧いてくる
今回は、5速に入れて少し加速した程度でストレートが終わる。「225km/h位に届いただけですね」。と、ヘルメットを被ったエリスが微笑みながら口にする。それからフルブレーキングで停止。焼けた匂いが周囲に漂う。
これまでの経験から、エリスは表向きにはネバダ州へ戻ることはないと話している。しかし、息子のエドにはもう一度走りたいと口にしているという。
クラッシュへの恐怖や、ロータス・カールトンをスクラップにする可能性が、彼の気持ちを止める理由にはならない。「このクルマへ乗る度に、太陽で照らされる感覚や燃料の匂い、漂う熱を感じ、あの時の記憶が蘇ってくるんですよ」
「ゴール時には、ドーパミンが溢れて気持ちが高揚するんです。中毒性があるんですね。もう一度挑戦したいという気持ちが湧いてきます。馬鹿げた妄想も」
「カールトンをさらにチューニングして250psパワーアップさせれば、時速200マイル(約321km/h)も可能でしょう。そこまでするべきか、悩むところではありますが」
「ハリウッド映画のキャノンボールに、大きな影響を受けてきました。砂漠を貫くハイウェイを全開で疾走する姿に、想像力が掻き立てられます。最近は、再び気持ちがうずいて仕方ないんですよ」
協力:アガメムノン社、ターウェストン飛行場
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