現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【くるま問答】純正でも採用される「パフォーマンスダンパー」はなぜ効くのか。そしてどのような効果があるのか

ここから本文です

【くるま問答】純正でも採用される「パフォーマンスダンパー」はなぜ効くのか。そしてどのような効果があるのか

掲載 更新 22
【くるま問答】純正でも採用される「パフォーマンスダンパー」はなぜ効くのか。そしてどのような効果があるのか

トヨタ車やレクサス車を中心に、純正で「パフォーマンスダンパー」と呼ばれるパーツが採用されていることがある。またアフターパーツメーカーからも発売されている。名称や装着によって操縦安定性の向上、乗り心地の向上が図れると聞くとサスペンション系のパーツかと思いきや、ポイントはボディのチューニングだという。今回はそのパフォーマンスダンパーについて解説する。

パフォーマンスダンパーはボディのたわみを減衰して走行性能を上げる
車体(ボディ)は通常はなるべく剛性を高める方向で設計・開発される。ボディ剛性が高いとか低いとかは、クルマの走行性能に興味のある人ではよくある話題だ。ボディ剛性を高めれば、設計どおりにサスペンションを動かせるので走行性能は上がり、乗り心地も良くなる。それでもボディは基本的に鉄板を張り合わせて作られるので、いくら剛性を上げても外部からの入力によってボディは微少にたわみ、その後もとに戻ろうとする。つまり、基本的に車体は弾性体なわけだ。

【くるま問答】スペースの問題だけではない! 走行性能にも影響を与えるタイロッドの前引きと後引きについて解説

パフォーマンスダンパーは、弾性体である車体の非可動部に装着することで、ボディの変形による影響を減衰できるパーツと言える。この役割を例えれば、ボディをサスペンションのスプリング、パフォーマンスダンパーをショックアブソーバーと考えるのがいいだろう。

パフォーマンスダンパーは、もともとはヤマハ発動機(以下、ヤマハ)が開発したもので、その誕生について簡単に説明しよう。ヤマハが「車体剛性が走行に及ぼす影響」をテストしている際に、市販の後付けタワーバーなどを取り付けて走行試験を重ねていた。この場合、車体剛性が高まって一見シャープなハンドリングを得たように感じる半面、シャープさによる収束性のアンバランスが生まれたり、乗り心地が硬くなるのを問題視したという。

そこで、タワーバーの代わりに粘弾性ゴムを2枚の金属プレートで挟み込んだものを採用し、走行中の極微小な車体の変形に対して微妙な減衰力を与えた。結果は、車体を振り回して走っても収束性が良く、しっとりかつ正確に走ることができたという。

その後に試行錯誤を重ねることで、基本的な構造をサスペンションのショックアブソーバー(ダンパー)と同じくするパフォーマンスダンパーが誕生したわけだ。ヤマハではパフォーマンスダンパーによって体感できる効果として以下の3点を挙げている。

・操縦安定性の向上
・乗り心地の向上
・車両の上質感の向上

パフォーマンスダンパーは、車両進行方向に対して、直交方向に取り付ける。これはボディがねじられる方向に固定して付けるのならば、装着場所を指定していないが、効果に差は生じる。ヤマハによるテストではクルマの前端と後端の両方にセットで取り付けると、ボディ全体にその効果を行き渡されることができ、効果が最大限に発揮できるという。

パフォーマンスダンパーをはじめて装着されたのは2001年、限定300台で発売されたトヨタ クラウンアスリートVXだった。2004年には日・欧・北米向けトヨタ カローラのスポーツグレード車に量産車として世界初採用された。

近年で装着された例は2021年に発売されたレクサス NXで、基本どおり車両の前後にパフォーマンスダンパーを装着している。これによって走行中に生じるボディのしなりや微振動を吸収し、ハンドリングの特性を一層シャープにするとともに、乗り心地と静粛性の向上を図った。減衰力切り替え応答に優れたリニアソレノイド式AVSを設定している。これによりおおきなうねりと細かな凹凸が複合した路面でも、フラットな姿勢の維持とショックの遮断を両立し、優れた操舵応答性、安定感、快適な乗り心地の実現を狙っているのだ。(文:FAN BOOK編集部 飯嶋洋治)

[ アルバム : パフォーマンスダンパー はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
AUTOCAR JAPAN
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
レスポンス
100kg軽い車重580kgのベーシック軽[新型アルト]が2026年に登場!? 軽量化と48Vスーパーエネチャージで勝負!!! 燃費は30km/L到達か!?
100kg軽い車重580kgのベーシック軽[新型アルト]が2026年に登場!? 軽量化と48Vスーパーエネチャージで勝負!!! 燃費は30km/L到達か!?
ベストカーWeb
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
くるまのニュース
ルーミーって…なんでこんなに売れてるの? どこがいいの???
ルーミーって…なんでこんなに売れてるの? どこがいいの???
ベストカーWeb
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
WEB CARTOP
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
motorsport.com 日本版
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
motorsport.com 日本版
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
乗りものニュース
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
VAGUE
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
バイクのニュース
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
くるまのニュース
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
レスポンス
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
motorsport.com 日本版
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
ベストカーWeb
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
Auto Messe Web
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
モーサイ
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
Webモーターマガジン

みんなのコメント

22件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村