規制は戦略にあらず 欧州自動車業界の課題とは?
ルノー・グループのルカ・デ・メオCEOは、中国自動車メーカーの欧州進出を妨げる理由はないとしながらも、既存メーカーが彼らと競争できるような明確な産業戦略を打ち出す必要性を強調した。
【画像】躍進する中国自動車メーカー【欧州に進出したBYD、オラ、ニオ、ハイファイの代表的なモデルを写真で見る】 全69枚
9月2日にドイツ・ミュンヘンで開幕した国際モーターショー「IAAモビリティ2023」では、BYD、ニオ(NIO)、セレスなどの中国ブランドとともに、ルノーの新型EV、セニックが展示されている。デ・メオCEOは会場でインタビューに応じ、中国ブランドが欧州市場に浸透しつつあることへの見解を披露した。
「わたし達にできる唯一のことは、それを受け入れ、実際に彼らを見て謙虚になること、しかし被害者面をしないことです」と彼はAUTOCARに語った。
デ・メオCEOは、米国のインフレ抑制法(IRA)のような保護主義的政策を欧州にも導入すべきだという意見を一蹴。ある市場で新しいプレーヤーが急速に成長したからといって、必ずしも彼らがその市場を支配するようになるとは限らないとした。
「日本や韓国が欧州に進出したときも同じでした」
「欧州にある非欧州ブランドをすべて合計しても、25%に過ぎません。これは個人的な意見であり、あなたの意見とはまったく異なるかもしれませんが、わたしは確信しています。保護主義、自由放任主義、レッドカーペットの間で揺れ動く人々がいる。欧州の消費者のために良いことをする人々が市場に参入し、消費者が望むものを提供することを認めてはいけない理由はないと」
しかし、デ・メオCEOはこうした新規参入者の登場を挙げ、欧州メーカーも中国メーカーと同様の支援制度を利用すべきだと主張した。
「我々はまた、世界的に非対称的な競争をしていることを認識しなければなりません。米国はIRAと保護主義的なゲームをしていますし、他方で我々は、製造業への補助金を含む明確な産業政策や投資への資金提供など、権威によって大きく支えられている中国のエコシステムに直面しています」
「欧州社会の習慣や規則にないもの、それは製造業の支援です。我々はイノベーション・プロジェクトには資金を提供しますが、製造には資金を提供しない傾向があります。そのため、プラットフォームを開発するための資金は得られますが、そのプラットフォームを生産ラインに乗せることはできないのです」
「資金はあっても、一部分にしか対応していない。自動車を売るには生産しなければならず、生産するには工場やインフラを建設しなければなりません。そして、セクターを超えた一般的な補助金制度は製造業の発展を支援するように設計されたものではなく、研究開発のみを対象としています」
欧州自動車工業会(ACEA)は、米国、中国、欧州の3つの制度構造と影響を比較した、独立機関による調査結果を数週間以内に発表する予定である。
「比較するのは非常に難しい。非常に有益なものになると思います」とデ・メオCEOは語った。
同氏は、欧州メーカーは欧州委員会の「意見を聞きたがっている」と述べ、メーカーに課される炭素削減規制は構造的支援の代用品としてはふさわしくないと示唆した。
デ・メオCEOをはじめ、業界代表者はこの議論のどのように推進できるだろうか。この問いに対し、彼はこう答えた。「それは、我々がACEAと行っている仕事の一部です」
「確かに、スタート地点は輝かしいものではありません。我々は少し守りの姿勢を見せてきましたが、最終的には行動をとることになったためです。我々は『ノー、ノー、ノー』と言い、文句を言いながらも結局は実行に移してしまう。それが業界の信頼性に影響を与えたのだと思います」
欧州の自動車メーカーは、独自の方法で脱炭素化の目標を達成できることを示さなければならない、と彼は言う。単にICE(内燃エンジン)車の販売終了を義務付けるだけでは、包括的な脱炭素化戦略にはならないことを示唆する発言だ。
「業界には新しい世代のリーダーがいます。我々は少なくとも、交通の脱炭素化という全体的な目標を共有するプロフェッショナルな集団であることを示し、信用を得る機会を持たなければなりませんが、戦略が必要です」
「戦略を立てるには、アイデアを持ち寄り、計画を立て、タイムラインを定め、目標を定め、リソースがあるかどうかを確認し、KPI(重要業績評価指標)を定めて効果があるかどうかを確認する。そして、一定の柔軟性を持って物事を実行するのです」
「今、行われているのは規制を定義し、規制を積み重ねるというアプローチです。規制は戦略ではありません」
現在の欧州のシステムは、自動車メーカーが水素パワートレインや合成燃料など、さまざまな脱炭素戦略を追求することを有機的に認めていない、とデ・メオCEOは指摘する。
「F1を見てください。ミディアムタイヤでスタートし、うまくいかないと判断すればハードタイヤに履き替え、雨が降ればインターミディエイトに履き替え、クラッシュが起きればセーフティカーが入り、また履き替える……。そして最後には、『ハードタイヤしか使わない』ということにはならないことがわかるでしょう」
「自動車会社は、雨が降ってきたのにハードタイヤを履き続けるという状況にあるように感じます。話し合いもない。ただクラッシュは起きないので安心してください……」
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みんなのコメント
トヨタ憎しでEVのみ可とした者の末路です。自業自得です。
お得意の「ゴールポスト移動」させてもゴール前でトヨタがシュート放つ瞬間だし。