堅実な経営戦略と強力な販売網で他社を圧倒するトヨタ。それだけに、他社と比較すると豪快に失敗した思われるモデルも明らかに少ない。だが、しかし! 過去を遡っていくと……名前は何となく記憶に残っているものの、明らかに影が薄かったモデルが浮き彫りに。
そこで、ここでは1990年以降に発売された5つの珍車・迷車をピックアップ。とはいえ、いずれも一瞬の輝きを放ったモデルだったことも疑いようのない事実なだけに、皆さんの頭の片隅にも残っている!?
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ちなみに、トヨタにはこの他にも(1990年代以降だけでも)セラ、サイノス、セプター、キャバリエ、メガクルーザー、アルテッツァ、ガイア、アレックス、MR-S、オーパ、WiLL Vi、ヴェロッサ、プログレ、iQなどなど、珠玉の個性派絶版車がずらりと控えているが、今回は紙幅が足りないので涙を飲んで省略したい。
文/FK、写真/トヨタ自動車、FavCars.com
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サイノス(販売期間:1991年1月~1999年7月)
美しく洗練されたクーペスタイルゆえ、スマートに働く女性が乗るセクレタリーカーとして位置づけられた
バブル末期に発売された2ドアのスモールスペシャリティクーペ。S13シルビアやプレリュードなどのデートカーが人気絶頂だった当時の世相を反映した“友達以上恋人未満。”のキャッチコピーも話題だったが、それ以上に108万7000円~133万1000円の低価格帯がサイノスの魅力だった。
なぜなら、当時はクルマ(特にスタイリッシュなクーペモデル)を所有していることがモテる男の必須条件だったため、サイノスの登場は多くの若者に夢と希望を与えた。車両スペックを見ていくと、エンジンは4代目ターセル/コルサや3代目カローラIIが搭載していた105psの5E-FEとセラなどが搭載していた115psの5E-FHEの2種類の1.5リッター直列4気筒DOHCを採用。決してハイパワーではなかったものの、900kgを下回る車両重量との組み合わせは小気味良い走りを披露した。
1995年9月にはより洗練されたエクステリアが与えられた2代目が、1996年8月には乗車定員4名のコンバーチブルが発売されるも販売は伸び悩み、1999年に生産終了。駆動方式がFFではなくFRだったらと思う部分もあるが、もっと高い評価が与えられてもよかった1台ではないだろうか?
カレン(販売期間:1994年1月~1998年9月)
サイノスより少しスポーティ感が強かったカレン。デートカーにも、セクレタリーカーにもカテゴライズされない、中途半端な立ち位置が仇となった?
スポーティなイメージを打ち出していた兄弟車のセリカに対し、エレガントなミディアムクラスのスペシャリティクーペとして3ナンバーのワイドサイズボディが与えられたカレン。当時のトヨタにはカリーナEDやコロナExivといった4ドアハードトップモデルが存在していたこともあって、カレンはやや影が薄かったことも事実。
しかし、ワイドで切れ長な3連コンビネーションランプや薄型グリルで構成された涼しげなフロントマスクは今見ても新鮮で、メリハリの効いたフロントフェンダーから大きく張り出したリアフェンダーへとつながるグラマラスなシルエットもまたしかり。いっぽう、エンジンは2.0リッター直列4気筒のスポーティツインカム(180ps)とハイメカツインカム(140ps)の2種類をラインナップ。
また、スーパーストラットサスペンション、スポーツABS、デュアルモード4WS、ビスカスカップリングLSDを設定するなど走行性能を心おきなく楽しむための装備も充実していたが、販売期間は4年8カ月と短く……。1代限りで姿を消すには惜しすぎると言わざるを得ない、ムーディかつスポーティなスペシャリティクーペだった。
7代目セリカ(販売期間:1999年9月~2006年4月)
セリカの長い歴史に終止符を打ったモデル。先代とはうってかわって、スパルタンな面構えとなったものの、販売倍数は伸び悩んだ
1970年の発売以来、モータースポーツでの活躍も追い風となって常に高い人気を維持してきたセリカの8代目ZZ系は、従来モデルにも増してスペシャリティの要素を強調した1台だった。その走りは評価も高く、2タイプの高性能エンジン、新たに設定された6MT、新設計リアサスペンション、軽量・高剛性ボディの相乗効果による走行安定性の高さも魅力のひとつだった。
2002年8月のマイナーチェンジではディスチャージヘッドランプを全車に採用したほか、前後サスペンションも新設計のリニアコントロールバルブ付ショックアブソーバーを採用して優れた操縦性&走安性と快適な乗り心地を両立。エクステリアもフロントバンパー・リアコンビネーションランプ・リアライセンスガーニッシュの意匠変更によって、さらなる洗練さを手に入れている。
アグレッシブな面構成とシャープなラインを融合した先進的プロポーションが奏功したのか、派手なボディカラー&エアロパーツにメッキホイールや電飾などでアングラ的な雰囲気を楽しむ“スポコン”のベース車としても人気を博したが2006年4月に販売が終了し、36年間の長い歴史に終止符を打った。
ヴォルツ(販売期間:2002年8月~2004年4月)
アグレッシブな雰囲気の外観は若者受けするには十分かと思われたが、最終的には販売台数が1万台に到達できないうちに生産終了となってしまった……
わずか1年8カ月で姿を消した短命モデルが、トヨタと米国のゼネラルモータース社の共同で企画・デザインされたヴォルツだ。
アクティブなライフスタイルを志向する若者をターゲットに開発されたヴォルツは、コンパクトクラスの全長ながらラージクラスのトレッドとミニバンの室内高を持つディメンジョンでゆとりある室内空間を実現しつつ、ドライビングプレジャーを追求した基本性能の高さも大きなアドバンテージとなった。
エンジンは190psの2ZZ-GEと132/125psの1ZZ-FEの2種類の1.8リッターを設定。スポーティな2ZZ-GE搭載車では高効率の4速電子制御式ATと小気味良い走りが味わえる6MTが、実用性が高い1ZZ-FE搭載車ではFFのほかVフレックスフルタイム4WDが選べるなどラインナップも充実。
エクステリアもVラインを基調とするフロントグリルや、スポーティさとワイド感を両立したフロントバンパーでアグレッシブさを前面にアピールした。走りの楽しさとステーションワゴンの優れた機能性を持ちあわせる個性派クロスオーバーSUVだっただけに、アウトドアブームに沸くいまの時代だったら、ひょっとしたら受け入れられていたかも!?
SAI(販売期間:2009年12月~2017年11月)
プリウス、アクアとともに期待の大きかったモデルだったが、販売台数は伸び悩んだ
サイは、『才に満ちた先進性』と『彩を放つ上質感』を兼ね備えたハイブリッド専用セダンとして登場。2.4リッターのアトキンソンサイクルエンジンにモーターとリダクションギヤを組み合わせたハイブリッドシステムによる優れた燃費性能をはじめ、室内表面積の約60%にものぼる部品に植物資源を原料とするエコプラスチックを採用したり、環境負荷の少ない竹繊維スピーカーをスーパーライブサウンドシステムの全スピーカーに採用するなど徹底した環境への配慮も大きな特徴だった。
また、優れた空力性能を象徴するトライアングルシルエットをセダンで初めて具現化したエクステリアもクラストップレベルのCD値0.27を実現している。7つのSRSエアバッグの全車標準装備に加え、後席SRSサイドエアバッグやミリ波レーダー方式の前方・後方プリクラッシュセーフティシステムの設定など、高い安全性能を担保した先進装備も自慢のひとつだった。
そんな“これからの時代の小さな高級車”を謳ったサイではあったが、348万9000円~402万3000円という高めの価格帯やセダン離れが加速していた時代の流れには勝てず、その存在感を発揮することはできなかった。
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みんなのコメント
٩( 'ω' )و
ネットに繋いで…」て→当時の通信環境だと…テスト以上の何者でも無い
MRSもZZTセリカも→当時の流れでは☆普通だし
( ̄^ ̄)ゞうーむ
時代背景」を知らない☆若い記者さん?なのかな
リアル世代の人に☆当時のことを聞けば?良いのに