希少な928GTフラッハバウが販売中
なぜそれがオークションへと出品されることになったのか。その理由は知るべくもないが、ともあれそれはポルシェの歴史の中でも特別な、ワンオフモデルであると紹介してもよいだろう。
約2億1700万円! フラットノーズのポルシェ「911」という超希少車とは? 走行距離63キロの奇跡の個体でした
定期的にメンテナンスされていたモデル
ポルシェ「944」のようなスタイルを踏襲した、よりフラットなポップアップ式ヘッドライトを採用した「928」。オプションコードに「639」の表示があることを知れば、330psを発揮する4474ccのV型8気筒エンジンを搭載し、275km/hの最高速を実現すると同時に豪華な装備を満載した「928GT」がベースであることが理解できる。
1989年にオーダーされた928GTは、驚くべきことにそれから現在に至るまで、ひとりのオーナーによって大切に扱われてきた。ファクトリーコードに「09981」と「09991」というふたつの数字がともに残されているのは、当時ポルシェにあった「Sonderwunsch(ソンダーバーシュ)」、そして「エクスクルーシブ」の両部門の関与を物語るもの。
これらはいずれもカスタマーからの特別なリクエストに応えるための部門だが、前者は一時その活動を停止していたものの、2023年に再び復活を宣言している。ちなみにソンダーバーシュとは「特別な願い事」を意味する。
じっさいに928GTのスタイリングを観察してみると、そこにはノーマルの928GTとは異なるポイントが数多くあることが分かる。オーナーが先に触れた639のオプションとともにまず希望したのは、オプションコードで「XB2」と「XC1」と呼ばれるフィニッシュ。
XC2はワイドなスタンダードの928GTよりもボディスカートを、そしてXC1はそれにあわせてワイド化されたリアホイールアーチを意味している。さらにはリアタイヤをホイールアーチにマッチングさせるためのスペーサーやエアロダイナミクスをより向上させるサイドミラーなど、それだけでも928GTの外観はよりスポーティな変化を見せる。
メーターを交換しているがしっかりと記録されている
だがオーナーが望んだ最も大きな「特別な願い事」は、フロントセクションのデザインを改めることにあった。常時ライトが露出していることを好まなかったカスタマーは、944のようなリトラクタブル方式のヘッドライトを装備することで、「フラッハバウ」、すなわちフラットノーズのサブネームを持つ928GTを手に入れることに成功したのだ。
ちなみにポルシェは1987年に、当時の911ターボをベースに142台のフラッハバウを生産しているが、希少性を考えれば、わずかに1台しか存在しない928GTフラッハバウの価値は限りなく大きいといえるだろう。
ポルシェのサービスセンターや専門のワークショップで定期的にメンテナンスを受けてきたことは、車両に添付される書類からも証明されるところ。現在のオドメーターは5万6636kmと表示されていたが、2003年にオリジナルのメーターが交換されているため、実際の走行距離はそれよりも大きな数字になる。それが記録されているドキュメントによれば、メーターは1万1500km以下で交換されているということが確認されている。
パリ・オークションの主催者であるRMサザビーズは、この928フラッハバウに18万~28万ユーロ(邦貨換算約2880万円~4480万円)と比較的幅のあるエスティメートを提示したが、残念ながら今回のオークションでは落札者は現れなかった。現在は20万ユーロ(同2920万円)で販売を継続中。世界に1台のポルシェ928GTを手に入れるチャンスはすぐそこにある。
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みんなのコメント
そして登場したのが928でした4ドアではありませんでしたが
半目リトラクタブルライトや今では当たり前の車体一体型バンパーなど斬新なクルマでした
パナメーラが登場したときは30年以上たって、ついに市販されたなぁと感慨深いものがありました
当時はスポーツカー=2ドアの時代でした