■“RX-7の魂”を現代に。マツダ「ICONIC SP」の挑戦
2023年のジャパンモビリティショーで世界初公開されたマツダのコンセプトカー「ICONIC SP(アイコニックエスピー)」は、電動化時代における“ロータリー復活”の象徴として大きな注目を集めました。
【画像】超カッコイイ!マツダ「IONIC SP」を画像で見る
「クルマを愛する人に届けたい」とするマツダの哲学が色濃く反映されたこの2ドアクーペは、単なるショーモデルにとどまらない存在感を放っています。
全長4180mm×全幅1850mm×全高1150mm、ホイールベース2590mmというボディサイズは、現行「ロードスター」(ND型)より一回り大きく、かついまのところ最後「RX-7」である3代目(FD型)に近いプロポーション。コンパクトかつワイド&ローなスタイルが特徴です。
外観は「魂動デザイン」の進化形とされ、薄く開くリトラクタブルヘッドライトや低く絞り込まれたノーズ、跳ね上げ式のガルウィング風ドアなど、クラシックと先進性を融合させた造形美が印象的です。
専用カラー「ヴィオラレッド」は赤い花と楽器のヴィオラから着想を得たもので、27層にも及ぶ塗装工程が車体造形を美しく引き立てています。
インテリアもドライバー中心の設計で、藍染めの糸や牡蠣殻などのサステナブル素材を随所に採用。シフトスイッチには楽器の弦をイメージした独自の意匠が用いられるなど、ディテールにもこだわりが光ります。
シート後方は、荷室ではなく機械部品を収めるメカニカルスペースとされています。
パワートレインは、プラグインハイブリッド方式の「2ローター・ロータリーEVシステム」を採用。
基本はロータリーエンジンが発電に徹するシリーズ式ですが、高性能スポーツカーとしてエンジンが直接タイヤを駆動するパラレル式への拡張も可能な、柔軟な構成です。
システム最高出力は370PS、車両重量は1450kgで、前後重量配分は理想的な50:50を実現しています。
この構成により、外部充電やカーボンニュートラル燃料による発電が可能となり、環境性能とスポーツ性能の両立を図っています。
マツダはこのロータリーエンジンが水素やe-fuelにも対応可能である点を強調しており、将来的な多様な燃料戦略にも布石を打っています。
実際にマツダは、ICONIC SPの意匠を日本・欧州・米国で多数出願・登録しており、市販化に向けた準備を着実に進めている様子がうかがえます。
さらに、ロータリーエンジンの開発専門部署を再始動させたことや、排ガス規制への対応も、ほぼ準備が整った状態とする技術責任者の発言があったことなどからも、現実味のあるプロジェクトであることがうかがえます。
とはいえ、市販化に向けた最大のハードルは、価格となるでしょう。
新開発のプラットフォームと高性能PHEVシステムを採用すれば、車両価格は600万円を超える可能性が高く、場合によっては900万円~1100万円とする予測も存在します。
一方で、ファンからは「500万円以下なら即買い」「800万円でも欲しい」という声も見られ、市場とのギャップが課題となっています。
市販化された場合、このクルマは「RX-7の後継車」として位置づけられることが濃厚です。
現行ロードスターの次期型とは別ラインで開発されており、よりパワフルでプレミアムな「ハローカー」(フラッグシップモデル)としてスポーツラインアップの上位に立つと見られています。
マツダがこのモデルを「ブランド価値の象徴」として位置づけている以上、直接的な利益よりも、企業イメージやファンとの絆の強化を重視した戦略的製品になる可能性もあります。
※ ※ ※
ICONIC SPが本当に市販されるのか、その答えは今後の市場反応とマツダの決断に委ねられていますが、少なくともこのクルマが“ただの夢”ではないことは、すでに明らかになりつつあります。
そして、今秋開催予定の「ジャパンモビリティショー2025」では、さらなる続報や進化した試作モデルの登場が期待されており、ファンの注目はますます高まっています。(佐藤 亨)
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みんなのコメント
結局販売しないのでは?