11月6日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されたスーパーGT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』の決勝。レースは序盤から荒れた展開となり、9周目に3~4コーナーで発生した多重クラッシュの処理のためセーフティカーランとなるが、その後SCラン中の14周目、GT300クラスの17番手を走っていたマッハ車検 エアバスター MC86マッハ号にapr GR SPORT PRIUS GTが追突するアクシデントが起きた。マッハ車検 エアバスター MC86マッハ号はリヤに大きなダメージを負い、モノコックにもダメージが及んでいる状況だという。またapr GR SPORT PRIUS GTも、プリウスPHVのラストランを苦い結末で終えることになってしまった。
スーパーGTのセーフティカーランは、一度メインストレート上でGT500、GT300に隊列を整え再度コース上を周回するスタイルだが、13周目、ストレートに整列した隊列のなかで大きなクラッシュが起きてしまった。冨林勇佑がドライブしていたマッハ車検 エアバスター MC86マッハ号に対し、序盤ポジションを上げていた中山友貴のapr GR SPORT PRIUS GTが追突。ドライバーふたりともに怪我がなかったのは不幸中の幸いだったが、マッハ車検 エアバスター MC86マッハ号はリヤエンドに非常に大きなダメージを負ってしまった。
aprが次なるGTA-GT300規定車両を開発中!? 車種は新型プリウスか、それとも……!?
レース後、TEAM MACHの玉中哲二監督に聞くと、「レースですから仕方ないです」と語りながらも、車両のダメージについてはモノコックにまで及んでいるという。「うしろまわりはすべて使えない状況で、残っているのはエンジンだけ」と玉中監督。来季に向けては「考えます」とのこと。
このアクシデントについては、中山、そしてaprの金曽裕人監督が謝罪に訪れたが、「金ちゃん(金曽監督)が謝りに来てくれたので、クルマ一台作ってもらいましょうか(苦笑)」と冗談めかしたのは玉中監督の人柄か。
「我々はショールームを作ったので、来年が終わったら、そこに展示しようと思っていたんです。僕が最後に乗ったクルマなのでね。部品を集めて飾れるかどうか」
■プリウスPHVもラストレースを飾れず
一方、クラッシュしてしまったapr GR SPORT PRIUS GTも、今回は特別なレースだった。チームから公式には出ていないが、今回が2019年にデビューしたFRレイアウトのプリウスPHVのラストレースだったのだ。8月に既報のとおり、aprは次なる車両を開発中と言われている。
金曽監督は、「それより、ぶつけてしまった5号車の玉中さんに申し訳ないです。何度も謝りに行きました。昔からの仲間なのであれこれ言われることはありませんでしたが、本当に申し訳ないです」と改めて詫びながら、プリウスPHVについても「このクルマはいろんなところで苦しんで4年間戦ってきた。FR、今のレギュレーション、ハイブリッドとFRの組み合わせなどいろんなことを学んで、今回のレースはかなり見えてきていたんです」と語った。
「このレースは1点でも獲って帰ろうと思い、追い上げて面白くなってきそう……というところで終わってしまった。仕方ないところではあるんですけどね。いちばんの苦労人でもあったドライバーたちにもスタッフにも喜んでもらおうと思っていましたが、こんな結末になるとは。とはいえドライビングミスでもあるので、最後はプリウスPHVにかわいそうなことをしてしまいましたね」
かつては毎年のようにタイトルを争っていたaprの31号車だが、FR化してからは苦労の連続でもあった。「このプリウスPHVは、過去でいちばん苦しんだクルマ。FRのハイブリッドも苦労した。でもその分、勉強できたことがたくさんあったので、僕としてはこのクルマは好きな一台です。これで学んだことが、GRスープラやGR86に活かせている。“次に生まれ変わるクルマ”は、そのいちばん良いところをとってできあがってくるはずです」と金曽監督。
「だからこのプリウスPHVの役目は終わったんですが、最後に“ご老体”をきれいに終わらせてあげられなかったのは、クルマに申し訳ない気持ちですね」
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