表彰される人は、経営者ばかりではない
自動車分野で功績のあった人に対して国土交通大臣が行なう「自動車関係功労者大臣表彰」が2024年10月23日、本省大会議室で開催されました。今年受賞した関係者は207人、バイク関係では6人が選出されました。多くはショップ経営や流通に携わる販売分野での功労が評価された受賞ですが、整備分野での功労者として、バイク分野からも唯一の受賞者が選出されました。四輪車の影になりがちなバイク整備にも、脚光を浴びる人が誕生しています。
【画像】2024年の「自動車関係功労者表彰」に選出さたバイク整備士を画像で見る(6枚)
表彰されたのは、大阪府羽曳野市に本社がある「株式会社ファースト」に勤務する地名坊功(じなぼうつとむ/55歳)さんです。同社は1990年に創業し、「ファーストオート」という店舗名で大阪府内に6店舗を展開しています。
大阪本店は地階に大型整備工場を設置し、全員が整備士資格を取得。オイル交換などの日常メンテナンスからカスタムまで幅広い要求に応えています。そんな中で地名坊さんは工場長を務めています。
整備士としてのキャリアはファーストオート開業前から始まり、四輪車のディーラー整備としての出発でした。そこで10年余の経験を積み、22年前に二輪車整備士として同社に勤務しました。同店のスタッフは地名坊さんをこう評価しています。
「整備の相談事、難しい整備は工場長に。と言われて、みんなから頼りにされています」
最初は四輪車、でもバイク整備に転身する人は多い
自動車整備を希望する若者が減っていることに加えて、専門教育を受けた新卒者は四輪車の整備を目指すことが多いです。さらにこうした人材は安定したディーラー系への就職をまず目指すケースが多く、バイクの整備業界は近年、人手不足感を強めています。ただ、決められた四輪車整備に飽き足らず、より幅広いバイク整備に目を向け、キャリアアップを目指しバイク業界に足を踏み入れる人は少なくありません。
地名坊さんは通算33年の整備士人生を振り返り、受賞の喜びを語ります。
「整備士の仕事は奥が深く、はじめは作業をやり切ることに精一杯で、お客さんのことまで気が回りませんでした。それが変わっていきます。お客さんの乗り方や年齢によって、この人にはこういう説明をした方がより伝わりやすい、こういう提案をすると、もっと楽しく乗ることができる。そういう提案をしてきたことが、あとから“よかった”と言ってもらえることがやりがいになって続けることができました」
そして、まだバイクに乗っていない人も、今乗っている人も、どんどん乗り続けてほしいと言います。
「若い時にバイクに乗ることも、年齢を経て乗ることも、それぞれに良さがあり、楽しみ方も違います。若い頃に乗り始めて、ずっと乗り続けてもらうと、若い頃とは違った感じ方をすることができます。また、若いうちはフレッシュな感動があると思います。ぜひ多くの人にバイクに触れてほしいと思います」
なお、2024年の「自動車関係功労者大臣表彰」では、バイク業界から販売関係で6人が受賞しています。
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