かつてはGクラスにプラドやパジェロなどなど、本格クロカンには必ずといっていいほど3ドアモデルが当然のようにあった。というよりそれがベースのモデルが多いこと。でも、今やジムニーとラングラー程度とかなり稀有な存在に……一体なぜよ
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
3ドアSUVはなぜ廃れた!? そろそろ復活してもいいんじゃないか説
■ランクルもRAV4も!! かつて3ドアがベースだったSUVたち
ロングボディだけとなって久しいがかつてランクルもショートボディが存在するなど、3ドアが当然だったのだ
未だに圧倒的な人気を誇るSUVというジャンルは、さまざまなメーカーから新型車が投入され続けている。しかし新たに投入されるSUVの多くが、いやほぼすべてと言っても過言ではないほど5ドアというボディタイプを選択しているのだ。
挙句の果てには頑なに5ドアを設定してこなかったジムニーまで5ドアを追加設定する始末で(これは日本国外の話だが)SUV=5ドアボディと勘違いしている人もいるのではないかと心配になってしまうレベルである。
そもそもSUVという呼び名が生まれる前、クロスカントリー車やRV車と言われていた時代のクルマたちの多くは3ドアボディが基本となっていた。
日本を代表するクロスカントリー車であるランドクルーザーも当初から2ドアがメインであり、4ドアは後に追加。イギリスを代表するクロスカントリー車のレンジローバーもそうだった。今でも高い人気を誇っているトヨタRAV4も初代の最初は3ドアのみだったと言っても信じてくれない人もいるかもしれない。
■悪路走破性を確保するには短いボディが必須のワケって
ランプブレークオーバーアングルこそ悪路走破性の実力を示す数値!! ボディが長くなるとおなかを擦るリスクが増加するのだ
ではなぜ昔は3ドア(もしくは2ドア)のSUV車が優勢だったのかというと、それは不整路での走破性を高めるためだ。
5ドアにするためには必然的にホイールベースが長くなることになり、これは直進安定性の向上や室内空間の確保に繋がるなど、快適性についてはプラスに作用するのだが、その反面荒れた路面などでは腹下を打ち付けてしまうリスクがアップしてしまうのである。
以前、オバマ大統領時代に大統領専用車がスロープに腹下を引っかけてしまい立ち往生するというニュースが話題となったことがあったが、これもロングホイールベースが故に“への字”のようなスロープの頂点が車両と接触してしまって亀の子状態になってしまったことによるもの。
つまり、ホイールベースが長くなれば長くなるほど不整路での走破性が犠牲になってしまうというワケなのである。ちなみにここの数値は「ランプブレークオーバーアングル」という指標で表されており、ショートホイールベースかつ大径タイヤであるほどこの性能がアップするのである。
そのため、本格的な悪路走行をする前提のクロスカントリー車においては、ショートホイールベースのモデルがメインということになっていたワケなのだ。
■今や走破性がメインじゃない!? 使い勝手が主眼に
悪路走破性をメインとしないシティ派がウケているのも大きな要因
5ドア(ロングホイールベース)のメリットは前述したように、直進安定性の高さや室内空間の拡大が挙げられる。また後ろに2枚ドアが追加されることで日常での使い勝手(乗降性)などが大きく向上するというのもメリットと言えるだろう。
近年のSUVでは走破性にそこまで比重を置くユーザーは多くなく、どちらかと言えば日常の使い勝手や運転のしやすさなどを重視することがほとんど。そもそも多くのSUVはモノコックボディを採用しており、ヘビーデューティーな悪路を走りまくることはほぼ想定していないと言ってもいい。
そのため今のSUVユーザーの多くは、一般的な乗用車よりも少し高められた車高や大径化されたタイヤで少し走破性が高められていれば十分満足で、それよりも日常の使い勝手を優先する人が多くなっており、メーカーもそれに合わせて5ドアを設定しているというワケなのだ。
逆に言えば今でも3ドアや2ドアを設定しているジムニーやディフェンダー、ラングラー(こちらは限定車となるが)などは、走破性を重視した本格的なオフローダーということができるのである。
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カッコ良かったなぁ