2021年8月5日、新型シビックが正式発表された。1972年に誕生したシビックはこれが11代目で、現在に至るまで累計販売台数2700万台を記録している。いまやCセグメントの世界的な人気モデルとなっているが、日本市場では熱狂的な支持を人気を集める時期が長かった一方で、販売が途絶えることもあるなど、波乱万丈な歴史をたどってきた。今回は2代目から世代ごとにつけられたニックネームとともに、その歴史をたどってみたい。
初代シビック 1972-1979
初代シビックは、前後のオーバーハングを切り詰めた2ボックススタイルやFF駆動を採用した合理的なパッケージング、デザインをひっさげて、1972年に登場。ベーシックに徹した国際商品として開発されたモデルで、コンパクトなボディと広いキャビンスペース、小気味良い走りを巧みにバランスさせていた。
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そのユーティリティの高さと乗りやすさでデビュー当初から高い評価を受けたが、世界一厳しい排出ガス規制法といわれたアメリカの大気浄化法(通称:マスキー法)をCVCCエンジンで世界で初めてクリアしたことで、日本市場、北米市場で一気に大ヒットとなった。この初代シビックが、ホンダ4輪事業の基礎、北米市場での成功の基盤となったのは間違いない。
全長は3405mm、全幅1505mm、全高は1325mmで、見た目よりも全高が低く、前から見ても横から見ても台形デザインであるのが特徴。2ボックススタイルだが、当初は独立したトランクを持つ2ドアファストバックで登場、後に3ドアハッチバック、4ドアファストバック、5ドアハッチバックを設定した。
1974年にはCVキャブを2連装したホットハッチ「RS(ロードセーリング)」が登場。痛快な動力性能でFFスポーツならではの軽快な走りをもたらした。
2代目シビック 1979-1983 【通称:スーパーシビック】
2代目シビックは、初代からユニークな台形プロポーションを引き継ぐキープコンセプトで登場したが、ボディは初代よりひとまわり大きくなり(3ドアのスリーサイズは3760×1580×1350mm、ホイールベース2250mm)、当時の国際サイズの室内空間を得たのが特徴だった。
また、スピードメーターとタコメーターを同軸上に配置する「集中ターゲットメーター」やダイヤル選局式のロータリーチャンネルラジオなど新しいアイデアを数多く投入。
ボディは3ドアと5ドアのハッチバックのほかに、4ドアセダンも設定。さらに、ステーションワゴン「シビックカントリー」の追加やワンメイクレース「シビックレース」の開催など、なにかと話題は多かった。
デザイン的にはキープコンセプトだったが、あらゆる面で初代を超えるモデルということで、また初代と区別するために「スーパーシビック」と呼ばれた。
スポーツモデルとしては初代の「RS」を彷彿とさせたのが「1500CX」。このモデルはRSの後継として注目されただけでなく、ワンメイクレース用車両のベースともなった。
3代目シビック 1983-1987 【通称:ワンダーシビック】
1983年に登場した3代目は、初代から続くFF2ボックススコンセプトを継承しながら、「M・M(マン・マキシマム・メカ・ミニマム)思想」の設計哲学のもとに、デザインやメカニズムを大きく刷新して市場を驚かせた。
エンジンは1.3L(CVCC)と1.5Lに加えて1.6LのZC型(Si)を搭載、リアを大胆に切り落とした3ドアハッチバックのデザインも話題となった。
ボディバリーションは3ドアハッチバックと4ドアセダンに加え、5ドアハッチバックをマルチパーパスビークルの「シャトル」として設定、シリーズが大きく拡大することになった。
その後のシビックに綿々と引き継がれていくスポーツモデル「Si」の登場や、全日本ツーリングカー選手権での活躍によって、シビック=スポーティを決定的なものとしたモデルとして記憶される。販売的にも大ヒットした。
4代目シビック 1987-1991 【通称:グランドシビック】
1987年に登場した4代目は、先代で定着したシビック=スポーティのイメージを強調すべく、ボディはさらにワイド&ローなデザインとなり、内外装の質感の大幅向上や4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションなど贅沢な装備やメカニズムが多数採用され、上級モデルを超える内容を誇った。
エンジンはすべて4バルブ化。PGM-FIや電子制御キャブ、VTEC、可変バルブタイミング・リフト、リアルタイム4WDなど、技術的にも大きく進化、走りのパフォーマンスも大幅に引き上げられた。
ボディバリーションは3代目同様、3ドアハッチバック、4ドアセダン、5ドアハッチバックのシャトルが設定された。
また、4代目でもホットバージョン「Si」がラインナップ。ストリートや峠で高い人気となったほか、全日本ツーリングカー選手権を筆頭に、日本中のサーキットでレーシングカーとして活躍した。
5代目シビック 1991-1995 【通称:スポーツシビック】
1991年に登場した5代目は、初代から続くロー&ワイドのプロポーションをさらに煮詰めて登場。スタリングはやや丸みを帯びたものになったが、車高はさらに低くめられた。
4ドアセダンは「シビックフェリオ」として独立。また、北米専売モデルだった2ドアクーペモデルも逆輸入で導入された。
先代から継承された4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションはストロークが伸ばされて路面追従性が大幅に向上。それまでのシビックの中で最も優れた乗り味とハンドリングを実現し、高い人気を得ることとなった。
1.3L SOHC、1.5L SOHC(シングルキャブ/VTEC/VTEC-E)、1.6L DOHC VTECなどを揃えた幅広いパワートレーンも魅力だった。
ファミリー向けのハッチバックとして生まれながら、次第にスポーツ性を増していったホンダ シビック。そのひとつの集大成とも言えるのが、シビック Siだ。初代のSiは3代目シビックのマイナーチェンジの時に追加設定されて大きな反響を呼んだが、この5代目ではシビックシリーズになくてはならない存在となっていた。
合理的なFF 2ボックスコンパクトとして誕生したシビックは、ファミリー向けのハッチバックとしてボディを拡大していく一方で、RS→CX→Siといったハイパフォーマンスモデルが注目を集めるなど、とくに日本市場では次第にスポーツ性を増していった。
▶︎▶︎▶︎次回(1月31日19時公開)へ、つづく
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