マクラーレン・レーシングは2022年末に、2019年からチーム代表を務めてきたアンドレアス・ザイドルがアルファロメオF1の母体であるザウバーへ向けて移籍。チームはこれまでレーシング・エグゼクティブエンジニアを務めてきたアンドレア・ステラを後任として登用した。
チームCEOを務めるザク・ブラウンは、このチーム代表の交代が直近の技術体制の改革に繋がっていると考えている。
■マクラーレン、テクニカルディレクターの”クビ”によってチームのポテンシャルが解放される?「これまでは限界があった」
マクラーレンは2023年シーズン第2戦サウジアラビアGPの後、テクニカルディレクターのジェームズ・キーの離脱を発表。今後は、スクーデリア・フェラーリから移籍となるデビッド・サンチェスが車両コンセプトパフォーマンス担当、ピーター・プロドロモーが空力担当、ニール・ホールディがエンジニアリング&デザイン担当として、ステラの下に3人のテクニカルディレクターを敷く新たな技術体制へ移行することになった。
加えて、マクラーレンは他チームから技術スタッフを多数引き抜いており、中には上級職を務めてきた人物もいる。
ブラウン曰く、今季の組織改革は2022年型マシンの開発に失敗したことが関係しており、新代表のステラに徹底的な見直しを命じたという。
ブラウンはマクラーレンの2022年シーズンについて「テストでのブレーキダクト問題など、昨年はいくつかの課題を抱えてシーズンスタートを迎えた」と振り返り、次のように続けた。
「マシンは問題なかった。もちろんドライバー関連の問題もあり、それが注目され、見出しにもなっていた」
「その裏で、マシンの開発ペースに関して私は満足していなかった」
「昨年の後半、他チームの開発ペースを見ると、彼らのスタート地点とゴール地点、我々のスタート地点とゴール地点は異なっていた」
「そして議論を始めた。もちろん、年末にチーム代表が交代したが、それによって私はアンドレアとより積極的に仕事をし、彼にチームの見直しというミッションを託すことにつながった。それこそが、彼がやってきたことなんだ」
ブラウンは組織の見直しという点で、外部からチーム代表を迎えるよりも、2015年からチームに在籍しているステラが適任だと強調している。
「彼がここにいたという事実は、彼がゼロから築き上げる訳ではないということを意味している」とブラウンは言う。
「最終的にも、我々にとっても、チーム全体にとっても納得のいく体制モデルを作り上げることができた。そして我々は、その計画を実行に移したのだ」
「そして(人事)発表に至った訳だが、ただこれは以前から検討されていたことで、今季のシーズンのスタートが悪かったことは偶然の一致だ」
マクラーレンは昨年、ダニエル・リカルドを放出して、アルピーヌ育成のオスカー・ピアストリを後任として獲得。ドライバーだけでなく、技術側でもキーが離脱し、サンチェスを獲得するなど人事面で大きな変更も多い。しかしブラウンは、チームを前に進めるために重大な決断を下すことを恐れていないという。
「私の仕事はCEOであり、究極を言うと全責任は私にある」
ブラウンはmotorsport.comの取材に対してそう語った。
「このような大きな決断は、決してひとりで行なうモノではなく、常にチーム首脳陣で相談が行なわれる。なので技術面でもレーシングチーム内でも、アンドレアが私と議論せず、足並みが乱れることはない」
「ただ、F1は競争だ。このスポーツがそうである以上、自分たちが思うようなパフォーマンスを発揮できない時には、軌道修正するための決断を下す必要がある。それが我々のやってきたことで、今向かっている方向には自信がある」
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