2020年9月27日、F1ロシアGP決勝が行われ、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが2位に入った。ホンダ勢がついに4台全車入賞を果たすと同時に、9戦連続表彰台を達成した。では、各ドライバーはロシアGPをどう評価したのか。レースを振り返りながら見てみよう。
滑りやすい2番グリッドでスタートダッシュ決まらず
ロシアGPは思わぬ事件から始まった。ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が決勝スタート前のレコノサンスラップに出て行く際、スタート練習を規定外の位置で行ったため、ペナルティの審議対象になった状態でレーススタートが切られることになったのだ。
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そんな中、2番グリッドのフェルスタッペンはスタートでの逆転を狙ったが、逆に3番手のバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)の先行を許してしまう。さらにフェルスタッペンはターン2をオーバーランしてポジションをひとつ失うが、ターン7で再び抜き返して3番手の座は死守した。
その直後、後方でアクシデントが発生しセーフティカーが導入される。セーフティカー明けのレース再開後、ハミルトンに10秒ペナルティストップの裁定が下り、ハミルトンが16周目のタイヤ交換時にそのペナルティを消化すると、レースはボッタス対ハミルトンの戦いになっていく。ただ、フェルスタッペンはミディアムタイヤでのマシンバランスに苦しみ、少しずつボッタスとの差が広がっていく。フェルスタッペンは25周目にミディアムタイヤからハードに交換するとペースを取り戻したが、ボッタスとの差はすでに大きく、そのまま2位でゴールすることになった。
レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンは、予選後にギアボックス交換を行い、5グリッド降格の15番手からレースをスタート。開始直後のアクシデントの影響を受けて最後尾まで下がったため、セーフティカー導入の間にソフトタイヤからハードへと交換するも、このハードタイヤがうまくフィットせずになかなかペースが上げられない苦しい展開になっていく。それでも27周目にミディアムタイヤに履き替えると一気に速さを取り戻して、最後尾から10位まで盛り返してフィニッシュした。
一方、9番グリッドからソフトタイヤでスタートしたアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーは、序盤に7番手までポジションを上げ、18周目にハードタイヤに交換。残り11周時にバーチャルセーフティカーが導入されたタイミングで2度目のピットインを行いミディアムタイヤに交換すると、派手なオーバーテイクを披露して9位に入った。もう少しバーチャルセーフティカーが長ければ、もう少し展開が向けば、おもしろいことになっていた。
母国GPとなるダニール・クビアトはスタートでハードタイヤを選択。序盤に7番手までポジションを上げ、他車のピットインにより一時3番手を走行。さらに30周目までピットインを引っ張り、ミディアムタイヤに交換すると8番手でコースへ復帰する。ここからクビアトはさらに上位進出を図るが、抜きにくいサーキットだけにオーバーテイクはならなかった。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、ロシアGPを終えて「レッドブルのフェルスタッペン選手がレース序盤から2番手をキープし、メルセデスの2台に割って入る2位表彰台を獲得しました。チームメートのアルボン選手は15番手スタートで簡単ではありませんでしたが、2ストップ戦略を確実に活かし、最後はポイント圏内の10位までポジションを上げるという力強いレースを見せてくれました。アルファタウリの2台もスタート時の波乱を避けてクビアト選手が8位、ガスリー選手が9位と2台入賞を果たしました。2人ともいくつものオーバーテイクを見せ、いいパフォーマンスだったと思います。ホンダ勢は4台とも完走し、昨年のモナコGP以来の全車入賞と、ここ数戦のことを考えるとよい状態でレースを終われたと感じています。ここから欧州に戻り、1週間空けてドイツでのレースになります。ニュルブルリンクは現行レギュレーションでは初走行となりますので、十分シミュレーションなどで検討し、準備を整えて臨みたいと思います」とコメント。ドライバーは次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「このサーキットはあまり相性がよくないということを考えると、2位は喜ぶべきものだと思います。久しぶりにチームのために多くのポイントを取れたこともよかったです。グリッド内側はグリップが低いので、スタート直後の数コーナーはなかなか難しかったのですが、それでもすぐにダニエル(リカルド)を抜き返すことができました。ミディアムタイヤではオーバーステアが出てしまい、メルセデスのマシンを追いかけるのが難しかったのですが、ハードタイヤに交換したあとは速さがあり、自分自身のレースに集中することができました。久しぶりに表彰台を獲得できてうれしく思っていますし、このサーキットでボッタス選手の8秒後ろでのフィニッシュというのもいい結果だと思います」
アレクサンダー・アルボン
「今日は1ポイントを得るために多くの仕事をしなければならず、簡単なレースではありませんでした。序盤はハードタイヤを履いて集団の中での走行となり、なかなかオーバーテイクできずに大きくロスしてしまいました。ミディアムタイヤに交換してからは少しよくなったので、できるだけ順位を上げようと取り組みましたが、なかなか難しく、フラストレーションの溜まるレースでした。常にトラフィックの中にいてクリーンエアで走れず、一つもいいラップはありませんでした。ギアボックス交換のペナルティを受けたので、今日はダメージを最小限に抑えるレースでしたから、すでに頭をドイツへと切り替えています。2週間後はもっとスムーズなレースウイークになればと思います」
ピエール・ガスリー
「簡単なレースではありませんでした。いいスタートを切って7番手を走っていましたが、レース中盤でアレックス(アルボン)とキミ(ライコネン)と競っている際に多くの時間を失ってしまいました。 シャルル(ルクレール)には抜かれてしまいましたが、僕もスピードはあったので、なんとか抜き返そうとしていました。もしもバーチャルセーフティーカーがもう少し長ければ、僕が行ったピットストップが有効だったと思うのですが、予想よりも短いタイミングで終えてしまったので、逆にポジションをロスしてしまいました。それでも、ポジションを取り戻すために何台かのマシンを抜くことができました。マシンがよかっただけに少し残念ですし、いいペースだったのでもう少しいい成績を残せたのではと思っています」
ダニール・クビアト
「今までホームGPはあまりうまくいっていなかったので、今日は本当にうれしいです。タフなレースで、戦略を機能させるために常にプッシュしなければなりませんでしたが、こういうレースが僕は好きです。ハミルトンが後ろにいたときも、数周の間は彼を抑えることができたほどで、今日のペースは素晴らしいと思いました。僕はいつも決勝では強さがあるので、今日も朝から自信がありました。7位が見えていただけに、オコンを抜けなかったことには悔いが残ります。僕のほうが速かったのですが、このコースでのオーバーテイクは、現代のF1マシンでは難しかったです。今日のドライビングには満足していますし、チームに貴重なポイントをもたらすことができました。マシンも、ペースもいいので、残りのシーズンでもプッシュし続け、チャンピオンシップでの順位を上げられればと思います」
タイヤを供給するピレリは、ロシアGPについて「気温30度を超える暑いソチのコンディションの下、昨年よりも一段階軟らかいタイヤ選択だったこともあり、さまざまな戦略が見られました。ソチでは1ストップが主流となりますが、全3種類のコンパウンドが異なる戦略の中でそれぞれの役割を演じていました。特にソフトタイヤにおいて、サーマル・デグラデーションの管理が鍵でした。一方、ハードタイヤによる非常に長いスティントもいくつか見られました」と分析している。
次戦は2週間後、10月9日から11日、ドイツのニュルブルクリンクで第11戦アイフェルGPとして開催される。
2020年第10戦ロシアGP 決勝 結果
優勝 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)53周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+7.729s
3位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+22.729s
4位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+30.588s
5位 3 D.リカルド(ルノー)+52.065s
6位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +62.186s
7位 31 E.オコン(ルノー)+68.006s
8位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+68.740s
9位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+89.766s
10位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+97.860s
[ アルバム : 第10戦ロシアGP 決勝 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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