現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 『トヨタ・チェイサー』JTCCラストイヤーのチャンピオンカー【忘れがたき銘車たち】

ここから本文です

『トヨタ・チェイサー』JTCCラストイヤーのチャンピオンカー【忘れがたき銘車たち】

掲載 4
『トヨタ・チェイサー』JTCCラストイヤーのチャンピオンカー【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、『トヨタ・チェイサー』です。

* * * * * *

『トヨタ・コロナ・エクシヴ』JTCCで長く愛された無冠の快速車【忘れがたき銘車たち】

 全日本ツーリングカー選手権(JTCC)は、2.0リッターNA 4ドアのスーパーツーリングカーによって争われた自動車レース。このJTCCをトムスを初めとするトヨタ陣営は、シリーズ初年度の1994年にコロナ、2年目の1995年からはコロナ・エクシヴを主力車種に据えて戦ってきた。

 エクシヴがシリーズ最終年の1998年までプライベーターたちの手によって走り続けたのは、この連載で以前お伝えしたが、そのエクシヴに代わるトヨタのニューマシンとしてJTCCに送り込まれたのが、今回紹介する『トヨタ・チェイサー』だ。

 JTCCを走ったチェイサーは、JZX100型で、結果的にチェイサーとしては最終型となったモデル。現在もD1グランプリなどドリフト競技の最前線で活躍している車両だ。

 トヨタはそれまで、コロナやエクシヴといったFFマシンで戦ってきたが、1995年頃より敵陣のBMWを見て、JTCCの前後同サイズのタイヤを履く規定であれば、FRマシンのほうが有利であろうという見解から、FRマシンでの可能性を模索し始めた。

 実際に1996年から新型FRマシンの開発をスタート。トヨタのFR車のなかでも、“マークII 三兄弟”と呼ばれるマークII、チェイサー、クレスタから最もスポーティなイメージを持つという理由で、チェイサーが選ばれた。

 本来、チェイサーはスポーティグレードの“ツアラーV”で、2.5リッター直列6気筒の1JZエンジンを搭載するなど、エクシヴよりも上の車格を持つ車両だった。

 そんなチェイサーをレーシングカーとして開発していくうえで課題となったのが、衝突安全ボディ『GOA』の採用による剛性不足とボディサイズが大柄になったことによる、空力面の不利さである。

 剛性不足に関しては、当時のトヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE、現TMG)の協力を得ながらロールケージ形状を最適化。さらに、各チームが独自に規定の範囲内でスポット増しを実施するなど、徐々に改善を図っていった。

 空力面については、チェイサーがデビューすることになる1997年にJTCCが国内独自ルールとして、『オーバーフェンダーの装着やリヤウイングの大型化』などを認めたことにより、結果的にチェイサーのデメリットを補うことにもなった。それに加え、トヨタとTRDの手によって風洞実験が行われ、ドラッグの低減を目指した改良が施された。

 さらに、コロナ時代から研鑽が重ねられ、チェイサーにも搭載された3S-GE型エンジンは、大柄で前面投影面積が大きくなったことによるストレートスピード不足を補うために改良された。

 エクシヴを走らせ始めた頃にはトムスとTRD、両方の開発したエンジンが投入されていたが、この時代になるとTRDのエンジンへと一本化され、性能アップが急がれた。

 こうして苦しみながらも、チェイサーは1997年に実戦デビューを果たす。デビューイヤーは、表彰台わずか1回とエクシヴの後塵を拝することも多かったが、シーズンを通して開発が進み、翌1998年に飛躍が期待されたチェイサー。

 しかし、1997年いっぱいでライバルのホンダ、ニッサンがJTCCからの撤退を表明する。残されたチェイサーは、同じトヨタ車であるプライベーターのエクシヴとともに1998年シーズンを戦い、チャンピオンを獲得する。

 本来戦うべきライバル車を失った状態で王者となったチェイサーは、シリーズの終焉とともに、わずか2年という実動期間でその役目を終えたのだった。

こんな記事も読まれています

「君はその一瞬一瞬すべてにふさわしい」レッドブル代表がフェルスタッペンの戴冠を称賛。懸命に作業に取り組んだクルーにも感謝
「君はその一瞬一瞬すべてにふさわしい」レッドブル代表がフェルスタッペンの戴冠を称賛。懸命に作業に取り組んだクルーにも感謝
AUTOSPORT web
[ダイハツ]に期待しかないよ!? 今後作ったらアツい[クルマ]を語ってみた
[ダイハツ]に期待しかないよ!? 今後作ったらアツい[クルマ]を語ってみた
ベストカーWeb
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
AUTOSPORT web
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
AUTOSPORT web
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
AUTOSPORT web
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
ベストカーWeb
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
AUTOSPORT web
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP

みんなのコメント

4件
  • この後、ツーリングカー冬の時代になるんだよなぁ
  • 車漫画『ワン・アンド・オンリー』を思い出すなぁ。最後に主人公がこの車に乗って東京・公道レースに参戦していました。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村