ポルシェは2021年のWEC世界耐久選手権に登場する可能性がある、新しい排気レイアウトを採用したポルシェ911 RSRをテストした。イタリアのモンツァで行われた最新のポルシェ911 RSRのテスト映像では、2019年モデル(MY19)に見られる後輪前方でのサイド排気方式ではなく、エキゾーストパイプがリヤに配置されているのが確認できる。
ポルシェのファクトリーモータースポーツを指揮するパスカル・ズーリンデンはSportscar365に対し、リヤマウント・エキゾーストはまだホモロゲーション(公認)を受けておらず、2019/20年シーズンのGTEカーには登場しないと語った。
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しかし、ズーリンデンはこのような排気レイアウトの存在を認め、その開発目的を従来よりも静かに走ることを可能とし、カスタマーが厳しい騒音規制が課せられているサーキットでも使用できるようにしたと説明した。
Sportscar365はリヤのエキゾーストをリダイレクトして束ねることでサイレンサーを装着することが可能になり、その結果、排気音がサーキットの制限値以下に抑制されるようになることを理解している。
「レーストラックの観点からみると、すべての規制はより厳しくなっている」とズーリンデンは述べた。
「我々は10台のカスタマーカーの販売を計画している。そして、それらがテストを行う際に特別な許可を受けることなく、可能な限り多くのトラックで走らせることができるようにしたいと考えているんだ」
■3度目のレイアウト変更
ポルシェが911 RSRのエキゾーストデザインを変更したのはこれが初めてではない。
2017年にWECおよび北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に登場したポルシェのGTEカーは、空力性能の向上を図るため『911』の伝統であるRR(リヤエンジン・リヤドライブ)からMR(ミッドシップエンジン・リヤドライブ)へと進化。その過程でエキゾーストは車両後方の左右各1本ずつの2本出しとなっていた。
しかし、シーズン途中にこれが車両後方中央部からの2本出しに変更され、これにともない911 RSRは大音量で甲高いサウンドを響かせるGTEカーの1台となった。
そんな911 RSRだが、2019/20年シーズンを戦う現行バージョンではふたたび排気レイアウトが修正されている。最新の公認取得車では重量の軽減とリヤデュフューザーの高効率化を目指し、リヤタイヤ前方のサイドフェンダー部から排気する形となっているのだ。
そんななかで目撃された新しいリヤ出しレイアウトは、WECのLM-GTE Amクラスでは現在も使われている2017年モデルとよく似たものとなっている。
■2021年のWECに登場する可能性も
ポルシェの新しいエキゾーストレイアウトの開発は今年初めに開始され、7月にドイツ・ニュルブルクリンクとイタリアのモンツァでテストが実施された。
ポルシェが公認取得を追求している場合、リヤマウントエキゾーストのデビューは次のWECシーズンの開幕戦になるだろう、とズーリンデンは述べている。しかし、競技での使用はまだ決定されておらず、公認が現行車のエボキットとして扱われるか、2021年モデルとして扱われるかは不明だ。
なお、ズーリンデンは車両後部へのリダイレクトは911 RSR-MY19のパワートレインにおける残りの部分に大きな調整を必要としない「非常にシンプルな」プロセスであると付け加えている。
また彼は、この変更により車重が増加する一方で、懸念されるパフォーマンスの不足はWECのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス、性能調整)によって相殺されることを認めた。
「(MY19で達成した)軽量化の成果は確実に失われる」とズーリンデン。
「クルマの乾燥重量は少し重くなるため、重量配分を調整するためのバラストは少なくなる」
「エンジン出力についてはBoPが採用されているカテゴリーであるため、リストリクターのサイズによって補正される。GTEではこの調整がうまくいっており、ライバルと非常に近い位置で争うため心配はしていないよ」
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