新開発の3気筒1.6Lターボは250ps以上
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
トヨタGRヤリスに搭載される新しい3気筒エンジンは重量を軽くし、効率を高めることを重視して開発された。開発チームを率いた齋藤尚彦によれば、量産の1.6Lユニットの中でも最も軽量なエンジンだという。最高出力は250ps、最大トルクは35.6kg-m以上は出るというが、あくまでも現状の値ではある。
トランスミッションは6速MTのみで、ATの用意はない。重量を軽くし、運転の楽しさを引き出すためだ。4輪駆動で、トルクはすべてのタイヤへと伝えられる。
このGRヤリスの4輪駆動システムは、重すぎるという理由で、今どきでは珍しくセンターデフを備えていない。そのかわりリアデフの手前側に高性能なカップリングを備え、トルク制御を行う。
ドライバーは前後のトルク配分を3段階から選択できる。ノーマルはフロント60%でリア40%。スポーツでは30:70、トラックでは50:50となる。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式だが、リアはダブルウイッシュボーン式。標準のヤリスはトーションビーム式となっている。
多くのホットハッチ・ライバルと異なり、車高調整機能は備わらない。これも車重を軽くするため。ブレーキはフロントが18インチの4ポッド・キャリパーで、リアが16インチの2ポッド・キャリパーとかなり大きい。
ブランクのあったトヨタはハイパフォーマンス・モデルの開発手法を再習得する必要があり、GRヤリスの開発ドライバーの育成にも時間がかかったそうだ。3名の2018年のWRCドライバーも含めて。
ラリードライバーが望むであろう仕上がり
「最初のクルマはプロトタイプで、ラリードライバーですら制御できませんでした。技術を適正に理解する必要があると、上層部から指示を受けました」 と斎藤は楽しそうに振り返る。
ありがたいことに、豊田章男社長からの指示はずっと以前に解決している様子。AUTOCARはポルトガルのエストリル・サーキットと周辺の一般道で、GRヤリス・プロトタイプの試乗を許されたのだから。
GRヤリスは、アグレッシブなスタイリングを備えた、4輪駆動のホットハッチに期待する過剰な過激さは薄い。どちらかといえば、適度に民主化されていると思えるほど。
1.6Lターボエンジンは、普通に運転している限りは静かで落ち着いている。サスペンションは引き締められているが、例えばヒュンダイi30 Nと比べても、凹凸の目立つ路面では柔軟性を感じる。
しかしパフォーマンスは高い。可能性を解き放てるサーキットでは、3気筒エンジンはレスポンシブでトルクが太く、力強い。圧倒的な音量ではないにしろ、サウンドも好印象。大きく膨らんだボディワークは別として、GRヤリスが信念としたところはレス・イズ・モア。
トヨタは具体的なスペックを明らかにしてはいないが、軽量なボディと充分なトラクションを獲得し、操縦性はとても機敏でダイレクト。直感的に操作できるうえに挙動はニュートラルで、不安感がない。ラリードライバーが望むであろう仕上がりを体現している。
価格はシビック・タイプR並みの可能性も
轍の深いグラベルコースも試乗したが、スタイリングだけでない、ラリーマシンとしての足さばきも披露してくれた。実力は高そうだ。
プロトタイプということで内装は殆どが隠されていた。だが顕になっていた一部は、明らかに新しいヤリスと共通するものだった。GRのロゴとスポーツ・ディスプレイ、トルクコントロールのダイヤルがセンターコンソールに追加されている。
トヨタは、ボディサイズが近似するフォード・フィエスタSTと、一回り大きいホンダ・シビック・タイプRとの中間にGRヤリスが位置すると考えている。確かに性能や性格付けからすると、タイプRの方に近い印象がある。
シビック・タイプRの熱狂的な支持に近いものをGRヤリスも獲得できれば、トヨタの目的の1つは達成できたことになる。
具体的な試乗テストは、スペックが公表されたうえで、2020年後半とされる完成車両を待つ必要がある。価格も重要だ。オリジナルのヤリスとは異る特別な開発内容を考えれば、シビック・タイプRに値段も近くなるかもしれない。
たとえ標準のヤリスから大分高い価格が付いたとしても、ドライバーは熱い情熱と意思を持って開発された、楽しくも手強いマシンを手に入れられることは間違いないだろう。もしかすると、期待とは少し違う内容になるかもしれないけれど。
番外編:グループBとは異なる今のWRCマシン
限定生産で、公道走行がギリギリ許されたような、ホモロゲーション・ラリースペシャルの時代は終わった。
現在の世界ラリー選手権では、1.6Lのターボエンジンの搭載は認められているが、ベースとなったモデルの駆動方式に準じる必要はない。一方で、ボディシェルは量産される一般道モデルと一致する必要がある。
2021年モデルのヤリスWRCは、標準のヤリスではなく、このGRヤリスがベースとなるだろう。3ドアのボディはより多くの空力パーツを付加できる理由で、ラリーチームからの強い要求でもあった。
リアハッチ下側のルーフ・ルーバーももう1つの要求事項。固定式のリアスポイラーとの高低差を生み出すためだ。ルーフラインは、後方視界が確保できるギリギリまで下げることが許されている。
GRヤリスの3気筒1.6LターボエンジンはヤリスWRCに搭載されないと思われるが、ラリーステージでは充分使えるユニットになっている。まだ未公表ながら、WRマシンに次ぐラリーマシンのカテゴリー、グループR5に合致するよう設計されているようだ。
トヨタGRヤリス・プロトタイプのスペック
価格:3万ポンド(420万円)
全長:-
全幅:-
全高:-
最高速度:-
0-96km/h加速:-
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:-
パワートレイン:直列3気筒1.6Lターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:250ps以上
最大トルク:35.6kg-m以上
ギアボックス:6速マニュアル
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