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ホンダ フォーサイト[名車バイクレビュー] 時代に乗れなかった悲しき“ビッグスクーター”

掲載 更新 9
ホンダ フォーサイト[名車バイクレビュー] 時代に乗れなかった悲しき“ビッグスクーター”



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1990~2000年代250ccスクーターブーム回想

軽快さと機動力を重視した「フリーウェイ」。一方で、ロー&ロングな車体にゆったりと乗る「フュージョン」。これら1980年代に登場した2台の250ccモデルにより、後に続く軽二輪スクーターブームを先取りしたホンダだったが、その後、トレンドの行方を読むことはできなかった。

フリーウェイ/フュージョンは傍流と判断され、主流となる次世代モデルとして「フォーサイト」を発売。フュージョンはラインナップから外された。しかしながら、後の250ccビッグスクーターブームの萌芽は、じつはフュージョンの方だったと言える。

本記事では、そんな1990年代から2000年以降にかけての250ccスクーターブームの推移について、主観も含めつつ振り返りたい。

“F”の頭文字から始まるようになったホンダ250ccスクーター

ご存知かもしれないが、ホンダの250ccスクーターは車名に共通項がある。フリーウェイ(FREEWAY)/フュージョン(FUSION)/フォーサイト(FORESIGHT)/フォルツァ(FORZA)/フェイズ(FAZE)などだが、見ればわかるとおりアルファベット表記だとすべて“F”で始まる。

これはホンダ2輪車の型式名の前半(M=軽二輪クラス/F=スクーター形式)に関係あるようだが(その後に続く番号は開発順番)、いつからそう定まったのかは諸説あってわからない。だが、筆者がバイク雑誌編集部に在籍中でフォーサイトが登場したころ、ホンダの広報担当者が「今度もFで始める車名にしました」と言っていたから、1990年代半ばごろに“F”で車名を揃えるといったこだわりが社内に生まれたのだろう。

―― 【1989 HONDA FREEWAY】

―― 【1986 HONDA FUSION】

―― 【2000 HONDA FORZA】

―― 【2009 HONDA FAZE】

時代に乗れなかったフォーサイト

そのフォーサイト(型式名MF04)が登場したのは、1997年6月。

250ccスクーターに関して、フリーウェイ/フュージョンと異なる2路線を展開してきたホンダだが、フォーサイトがどちらのスタイルを踏襲したのかと言えば、たぶんフリーウェイ系だろう。

―― 【1997 HONDA FORESIGHT】フュージョンに代わり、1997年6月に登場したフォーサイト。エンジンはフリーウェイの改良型で、最高出力21ps/7000rpm、最大トルク2.4kg-m/5500rpmの性能を発揮。従来のフリーウェイ/フュージョンの2路線のいいとこ取りを狙ったものの…。ラグジュアリー路線のマジェスティ250/スカイウェイブ250に比べると、ハンドルマウントのコックピット、曲面多用のフォルムなど大人しめの印象で、クラスをリードする存在には至らず。だが、利便性や実用性能を評価する層もあり、2007年まで販売継続されるロングセラーモデルとなった。発売当時の価格は47万9000円。

だが、ここでねじれが生まれたと思うのは筆者だけか。ハンドルマウントのメーターパネルや、ロー&ロングなスタイルではない車体からフリーウェイ系だと感じるのだが、ラインナップ上ではフリーウェイはこの時点で存続し(1999年まで生産された)、フュージョンはフォーサイト登場を機にラインアップ落ちしたのだ。

ホンダはかねてより、250cc大型スクーターの市場創出に取り組み、フリーウェイとツーリング用途にマッチしたフュージョンをそれぞれ発売し、ユーザーニーズに応えてきたと、フォーサイト発売の広報資料冒頭で述べ、以下のように続けている。

「このフォーサイトは、これまでに培ったノウハウを基に、都市部で求められる取り回しの良さや俊敏な機動性と、長距離ツーリングでの快適な乗り心地を高次元で融合させた、スポーツ感覚あふれるスタイリッシュなスクーターとなっています」

つまり、この時点でフュージョンを退場させた理由は「あんなに低く長い車体は不要、それよりも俊敏な機動性は外せない。だが、ツーリングの快適性も盛り込もう」という狙いだったと思われる。実際フォーサイトのサイズは、フリーウェイよりもひとまわり大きくゴージャスで、全長2070mm/ホイールベース1450mm/車両重量162kgとなり、同クラスのスポーツモデルに比肩するボリュームサイズになった。

加えて、シート下トランクは40L容量まで拡大され、900mmまでの長尺ものが収められるスペースを確保。シート下のメットイン機能が当たり前となったこの時期、シート下に収納部がなく、車体後部の小さな収納スペースしかないフュージョンでは厳しいとホンダは判断したのだろう(純正の専用ヘルメット=ハーフサイズ以外は収納不可)。フォーサイトは、フリーウェイより利便性を向上、動力性能や空力特性も進化したモデルとなっていた。

しかし、流行とは不思議なもの。満を辞して登場したフォーサイトよりも、生産終了となったフュージョン人気が盛り上がり始めたのだ……

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みんなのコメント

9件
  • xee886366
    フリーウェイ250のサイズ感はたまらなく良かった。コンパクトな車体に250エンジン。以降のビクスクは肥大化、鈍牛化が進んでしまった。
    PCXに250エンジンくらいが良いのに。
  • doo********
    フォーサイトが出た当時ヘッドライトがCBR1100XXスーパーブラックバードみたいでかっこいいと思ったけどな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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