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メルセデス・ベンツEQB 350へ試乗 7シーターの実用性 電動SUV登場 後編

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メルセデス・ベンツEQB 350へ試乗 7シーターの実用性 電動SUV登場 後編

洗練されバランスの良い走り味

前後に駆動用モーターを搭載するメルセデス・ベンツEQBだが、低速域ではリア・モーターが優先的にクルマを進める。効率を高めるため、普段以上に強力な加速を求めたり、高い速度域での走行など、四輪駆動が必要になるまでフロント・モーターの出番はない。

<span>【画像】メルセデス・ベンツEQBとGLB 競合となる純EVクロスオーバーと比較 全134枚</span>

ドライブモードには3種類があり、ドライブトレインやステアリング、サスペンションの特性を変化させることができる。また、それぞれを個別に調整することも可能だ。

エコ・モードとコンフォート・モードでは、明確にアクセルレスポンスが穏やかになる。ペダルを踏み込んでも力強い加速は引き出せないが、多くのクロスオーバー・ユーザーには適した、滑らかで落ち着いた走り味を享受できる。

EQBは洗練され、全体的なバランスも良い。しずしずと走っていると、それを実感できる。

スポーツ・モードへ切り替えると、目に見えてすべての反応が鋭くなる。最高出力に変化はないものの、アクセルペダルの角度に対するパワーの発生の仕方は、遥かにたくましい。迅速な加速も可能になる。

停止状態からのダッシュ力も頼もしい。市街地なら、集団から抜けて機敏に走り回れるだろう。開けた郊外の道でも充分に速い。一部のライバルのように、呆れるほどパワフルというわけではないにしろ。

航続距離はライバルモデルより短め

アクセルペダルを放した時の回生ブレーキの強さは、ステアリングホイールに装備されたパドルを弾くことで、3段階から選べる。エコ・モードを選択すれば、回生ブレーキの効きを走行状況に応じて自動的に最適化させることも可能だ。

最も減速力が強くなるのが、Dモード。多くの状況でブレーキペダルを使わず、アクセルペダルの踏み方で加速から減速までを賄えるようになる。

今回試乗したEQB 350 4マティックが搭載するバッテリーは実容量で66.5kWhと、ライバルモデルより小さい。アウディQ4 eトロン・クワトロには76.6kWhが、BMW iX3には74.0kWhの容量のものが積まれている。

その結果、航続距離も少し短め。電費効率は6.1km/kWと良好ながら、1度の充電で走れる距離は最長で410kmがうたわれている。Q4 eトロン・クワトロより86km、iX3より48kmほど少ない。

そのかわりというべきか、駆動用バッテリーで車重が増えていながら、EQBはメルセデス・ベンツらしい活発で安定した動的特性を備えている。サスペンションのストロークは長く、バリアブル・ダンピングコントロール機能も付き、乗り心地も良好だ。

コーナーでは姿勢制御に優れ、路面からの入力も巧みになだめてくれる。四輪駆動システムの4マティックにより、グリップやトラクションにも不足はない。

幅広いユーザー層に訴求できる実力

ステアリングの操舵感にも感心させられた。ドライブモードに関わらず切り始めからダイレクトで、重み付けも丁度いい。手のひらには、充分なフィードバックも伝わってくる。

ただし、静止状態から前後の駆動用モーターが活躍するほどの加速を求めると、トルクステアが感取されるようではあった。

電気自動車にとって充電時間は重要な要素となるが、EQBの充電能力はDCで最大100kWまでと、こちらも競合の能力と比べると控えめ。それでも、DCなら最短32分でフル充電にできるという。11kWの出力のAC充電器なら、最短で5時間45分が必要になる。

メルセデス・ベンツEQBは、アウディQ4 eトロン・クワトロやBMW iX3などと、見事なライバル関係にある。内燃エンジン版のGLBが備える実用性と不満のない動力性能、快適な乗り心地をしっかり受け継いでいる。

確かに航続距離や充電能力は、日進月歩のなかにあってクラス平均程度。EQBが充電器とつながっている時間は、ライバルモデルよりは長くなるだろう。とはいえ、幅広いユーザー層に訴求できる実力を備えた、純EVクロスオーバーではある。

英国価格はまだ発表されていないが、メルセデス・ベンツGLAとEQAとの価格差を参考にすると、GLBとEQBとの価格差は約1万ポンド(約154万円)になると考えられる。お手頃とはいえなさそうだ。

つまり、今回試乗したメルセデス・ベンツEQB 350 4マティックの英国価格は、5万5000ポンド(約847万円)前後になる見込み。英国での納車は、2022年の春からが予定されている。

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