レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、ダニエル・リカルドがレッドブルを去った2018年シーズン末は、彼のF1キャリアにおいて極めて重要な瞬間であり、それ以降このスポーツにおいて“ハニーバジャー”は闘争本能を失ったと考えている。
RBは9月26日、リカルドに代えてリアム・ローソンを起用することを発表した。ローソンは来月オースティンで行われるF1第19戦アメリカGPから最終戦アブダビGPまで、角田裕毅とともにレースに出場する。
去り行くリカルドに仲間たちからメッセージ「次の冒険を楽しんで」「シューイは思い出」「F1に残したものは大きい」
レッドブルのジュニアドライバーだったリカルドは、2011年にスペインのチームのHRTでキャリアをスタートさせた。トロロッソから2シーズンにわたりレースに参戦した後、2014年にレッドブル・レーシングに移籍し、5シーズンにわたって成功を収めた。
しかし2019年にレッドブルを離れてルノーに移籍したときに、リカルドの運命は変わった。移籍は、ルノーF1のチーム代表シリル・アビテブールからの誘いだけでなく、レッドブルにおけるマックス・フェルスタッペンの台頭の影響もあってのことだった。リカルドは、競争力のないルノーのマシンに苦戦し、以前の成功を再現することはできなかった。
リカルドは困難な2シーズンを経てマクラーレンに移籍し、2021年のイタリアGPでもう一度勝利を果たした。しかしマクラーレン在籍中は一貫性のなさに苦しみ、契約満了の1年前にドライバーとチームの双方の合意のもとで早期に契約を解除した。
ドイツのウェブサイト『Motorsport-Total.com』の独占インタビューで、マルコはリカルドの軌跡を振り返り、リカルドがレッドブルを離れたことが彼のF1キャリアの転機だったと指摘した。
「レッドブル・レーシングを離れるという決断が、彼のキャリアの転機だったと思う」
「そして彼はルノーでもマクラーレンでも勝てるクルマを持っていなかった。確かに彼はモンツァで優勝したが、それは特別な状況でのことだった」
「何が起こったのか正確にはわからない。もしわかっていたら、我々は彼を助けていただろうからだ。しかし、スピード、そして何よりもブレーキが遅れていて、そうして右や左に走り出していた……。この数年、彼は努力していたが、もはやそこにはなかった。闘争本能は消えていた」
マルコによると、リカルドがフェルスタッペンの横で果たす役割と、2019年からレッドブルが使用することになっていたホンダのパワーユニットのパフォーマンスに疑問を抱いたことが、チームを離れるという彼の決断につながったという。
「彼はホンダのエンジンについてある程度の懸念を抱いており、どうやらルノーとシリル・アビテブールの甘言に耳を傾けていたようだ」
「報酬の面では、ルノーが彼に提示したものと我々が提示したものの間に大きな違いはなかった」
「私は彼に『シューイをやるのは難しくなるだろう』とも言った。ルノーが表彰台に上がることは、あまりなかったと思う」
「彼は我々のチームにやって来て、2014年には3勝を挙げ、優勝なしの(セバスチャン・)ベッテルを破った。その後はダニール・クビアトが彼より速い時があったものの、シーズンを通して彼はクビアトもコントロールしていた。」
「そしてマックスが来て、彼はどんどん強くなっていった。それが彼が我々ではなくルノーを選んだ理由のひとつであることは確かだ」
先週末のシンガポールでは、リカルドの運命は不透明だったが、レース後のホスピタリティユニットに戻ったリカルドをチームが列を作って出迎えたことは、これから起こることを暗示していた。マルコによると、実際にはリカルドはレッドブルから状況を伝えられていたという。また、ファステストラップの記録は彼にふさわしい送別だとマルコは考えていた。
「(タイミングは)さまざまな要因と義務に関係している。彼はそのことを知らされた。そして価値ある別れのパフォーマンスは、ファステストラップだったと思う」
「それでも、彼が潜在能力を持っていることは明らかだった。継続的ではなかったし、レッドブル・レーシングに来ることを正当化するレベルではなかったが、非の打ちどころのないパフォーマンスだった」
「彼が角田裕毅よりもはるかに秀でていなければならないことは、明確に伝わっていたと思うが、彼がそれを達成したのは数レースだけだった。だから、放蕩息子がレッドブル・レーシングに復帰するという話は、残念ながらうまくいかなかったのは明らかだ」
「彼は自分自身に満足しており、状況を受け入れていると非常にうまく語った。今後の彼の計画がどうなるかは、これからわかるだろう」
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