■ハイブランドとコラボしたクルマたち
クルマは日常の道具でありながら趣味性もある工業製品です。自分の好みとなるように「コーディネート」や「ドレスアップ」をおこなう点は、ファッションと共通点があるのではないでしょうか。
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実際に、ファッションブランドとコラボレーション(以下、コラボ)したクルマがありました。そこで、これまでに高級ブランドとのコラボで話題となったクルマを3車種ピックアップして紹介します。
●フィアット「500」×「グッチ」
1957年に登場したフィアット「NUOVA 500(ヌォーヴァ・チンクエチェント)」は、イタリア人の足車として大ヒットした名車です。
その500をオマージュしてデザインされた、フィアット「500 (チンクエチェント)」は、プレミアムコンパクトカーとして、2007年に発売(日本では2008年)され世界中でヒットしました。
欧州のみならず日本でもオシャレなクルマとして、女性を中心に愛されています。
そして2011年に、フィアットと同じくイタリアを拠点とするファッションブランド「グッチ」が、創立90周年を迎え、その記念としてフィアットとコラボして「500 by Gucci」を発売。
外装のカラーはホワイトとブラックの2色が用意され、それぞれにグッチを象徴するカラーである「グリーン/レッド/グリーン」のストライプが、ボディサイドに描かれました。
ほかにもリアとサイド、ホイールにグッチのエンブレムが付き、内装もシートにグッチのロゴと模様が施され、シートベルトもグッチのカラーに仕立てられています。
この「500 by Gucci」は日本でも限定販売され、価格(消費税5%込)は「500」が260万円、カブリオレの「500C」が294万円でした。
●シトロエン「2CV」×「エルメス」
第二次大戦後のフランス自動車史の名車といえばシトロエン「2CV」。フォルクスワーゲンの「タイプ1(ビートル)」と同じく、復興の礎となる国民車として1948年に発売され、それから40年以上もフルモデルチェンジすることなく販売された超ロングセラーモデルです。
2CVはフランス語で「2馬力」を意味しますが、最高出力が2馬力ではなく、出力によってクラス分けされる車格の分類で2CVクラスという意味でした。
曲面と平面をたくみに組み合わせた車体のフロントに、当初は375cc、最終型でも600ccほどと、小型な空冷水平対向2気筒OHVエンジンを搭載し、前輪を駆動するFFを採用。
内装も極めてシンプルで、無駄なものを一切排除した潔さがありました。
そして、1990年に2CVの生産は終わりますが、2008年にシトロエン創立60周年を記念して、高級ファッションブランドの「エルメス」の手によってカスタマイズされた「2CV エルメスエディション」を発表。
外装はブラウンとベージュのカラーリングで、内装は、シートや内張りのみならず、インパネからハンドル、ウインカーレバーに至るほぼすべての部分を、エルメスならではの本革で装飾されています。
あくまでも記念モデルなので販売されませんでしたが、現代のクルマとは対極にあるシンプルな装備とデザインの2CVを、職人技によって華麗に変身させています。
■ヴェルサーチが似合いすぎるクルマとは!?
●ランボルギーニ「ムルシエラゴLP640 ロードスター」×「ジャンニ・ヴェルサーチ」
ランボルギーニというと、誰もが知る老舗スーパーカーブランドですが、同じくイタリアのファッションブランド「ジャンニ・ヴェルサーチ」とコラボしたことがあります。
それは2008年、当時のランボルギーニのフラッグシップであった「ムルシエラゴLP640 ロードスター」をベースに、ヴェルサーチとランボルギーニによってカスタマイズされました。
ムルシエラゴLP640 ロードスターは、最高出力640馬力を誇る6.5リッターV型12気筒エンジンを搭載するスーパーカーで、多くの富裕層から支持されていたクルマです。
外装にはヴェルサーチのアイコンとなっている幾何学模様が描かれ、内装もシートや内張りの随所に同様な模様が施されています。また、専用のヴェルサーチのバッグが付属していました。
元々、ランボルギーニとヴェルサーチのコラボは2006年から始まっており、このモデルは顧客のリクエストで内外装をカスタマイズする部門の協力により実現し、実際に限定販売されました。
ド派手な印象があるヴェルサーチとランボルギーニですが、見た目は意外とシックな印象です。
※ ※ ※
今回、紹介した3車種は異業種間のコラボでしたが、かつては同業者でのコラボもありました。
たとえば、いすゞはイギリスのロータスやドイツのイルムシャーと組み、三菱はドイツのAMGと組んだことがあります。
これらは、チューニングやカスタマイズを依頼したカタチですが、実際のところは有名ブランドの名を借りたかったというのが本音ではないでしょうか。
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