現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」(以下、TTレース)が、2023年5月29日に始まりました。当初設定された10時40分スタートからやや遅れて、11時05分に最初の走行が始まり、おおむね順調に初日のセッションが終わりました。
初日のスケジュールは、プラクティス(タイム計測をしない練習走行)とクオリファイ(予選)の順で開始されました。
【現地】2週間の長丁場! 2023年の「マン島TTレース」は日程が大幅に変更
今年はTTレース改革の一環として日程の流れが変更となっており、初めてTTウィークが月曜日始まりとなり、しかもこの日はマン島島民の休日でもあります。「アフタヌーン・プラクティス」として昼からの走行時間が設定されました。
これまで、プラクティスは学校や仕事に影響がない午後6時からのイブニング・プラクティスが設定されていましたが、初日はできるだけコンディションの良い時間帯に走行させたいという狙いがあると思われます。
マン島では、この時期の日没時刻は夜の10時前後なので、イブニング・プラクティスの時間帯も十分明るいのですが、夕方から気温がぐっと下がり、路面温度が下がること(昼間の気温は18度程度、夜に向かって10度程度に下がる)、西日がきつく、日なたと日陰の明度の差が大きいこと、そして何らかの事情で走行中断になった場合に時間変更がしにくいこともあり、アフタヌーン・プラクティスから実施されることになりました。
走行に先立って、ニューカマー(初参戦)のライダーとサイドカーチームの先導走行が実施されました。
これは、普段はレコードライン(レースでタイムを出すためのアウト・イン・アウトの走行ライン)を走ることが難しい公道ならではの措置で、「ミルキー」のあだ名で知られる地元在住のベテラン元ライダーで現在はライダー・リエゾン(ライダーと主催者の調整役)担当のリチャード・クェールさんや、トラベリング・マーシャル(地元在住の元TTライダーで構成される、バイクで走りながらコースの安全をチェックするオフィシャル)たちの先導で走行が始まりました。
初日、絶好調だったのがマイケル・ダンロップ選手です。
ダンロップ選手は故ロバート・ダンロップ選手の息子で、マン島TTレース最多勝利の故ジョイ・ダンロップ選手の甥でもあります。ゼッケンは今年も彼のアイコンになっている「6」番。走行前は常に先頭を陣取り、ピットに戻ってきてカテゴリー違いのバイクに乗り換えるときは全力で走ってすぐにコースインするなど、気迫を感じさせる走りを見せました。その結果、スーパーツイン、スーパースポーツ、スーパーストック、スーパーバイク全てのカテゴリーでトップタイムを刻み初日を終えました。
サイドカークラスは、昨年2レースともに表彰台に上がったピーター・ファウンズ/ジェバン・ウォムズリー組がトップタイムを刻みました。
現役最多勝利中で「チーム無限」の「神電」に乗っていたことでも知られるジョン・マクギネス選手は、スーパーバイククラスで4番手のタイムを刻むなどまずまずのスタートでした。51歳のマクギネス選手がどのようにTTに挑むのかも注目です。
また、日本から唯一の参戦となる山中正之選手は残念ながらローレルバンクで転倒を喫しましたが、マシン・身体ともにさほどダメージはないとのことでした。
TTレースはこのあと6月2日、金曜日まで予選が続きます。
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